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日本の色 10月(季節を味わう#0028)

「季節を味わう」では、毎月第3水曜日に季節を象徴する日本の色をピックアップ。
10月にもたくさんの色があります。その中から私の好みで選びました。

【柿色】

橙色に赤を混ぜたような色が柿色。食べごろの柿のような色です。
柿は弥生時代以降に桃や梅、杏子などとともに陸から伝来したもので、沖縄県を除く日本の全都道府県に分布しています。古くから果実は食用に、柿渋は防腐剤に、幹は家具材に、葉は茶の代わりとして飲まれており、日本人にとっては馴染み深い植物であるといえます。
そのためでしょうか、柿色を基本として、柿にちなんだ色は、照柿色、紅柿色、柿渋色、洒落柿、大和柿、濃柿、晒柿、柿茶などたくさんあります。


【竜胆色】

秋に咲く竜胆。小さく可憐な竜胆の花は古くから日本人の心を魅了してきました。平安時代の作家、清少納言の『枕草子』にも書かれています。

竜胆は、枝ざしなどもむつかしけれど、異花どもの皆霜枯れたるに、いと花やかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし。
(清少納言『枕草子』64段より)

現代語訳は「竜胆は、枝の張り具合などはむさくるしいが、他の花々がみんな霜で枯れてしまった中で、とても派手な色彩で顔を覗かせている様子は、非常に趣きがある。」
清少納言は花の形よりも、竜胆の花の色の華やかさに注目していたのがわかりますね。

(2023年10月18日)


色見本については、「伝統色のいろは」様より引用させていただきました。



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