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明治の雑誌・本の版画から

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明治の雑誌・本には木版画や石版画が掲載されています。 版画も印刷なのですが、味のあるものがけっこうあります。 オリジナルの図版を使って、版画の魅力を紹介していきます。
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#ハガキ文学

藤島武二の『ハガキ文学』の表紙画

『ハガキ文学』表紙画《星の神》  今回は、藤島武二の雑誌『ハガキ文学』第2巻第12号(1905年8月1日、日本葉書会)の表紙画を紹介しよう。 目次によると題は《星の神》、印刷は石版である。  石版は平面的な表現になりやすいので、塗り絵のように色分けして、配置や中間トーンによって、奥行きを出そうとしている。  たとえば、草花は女性の前に位置し、背景の装飾的な夜空は一番奥にあるように描かれている。 ミュシャの影  筆を持って書きものをする女性が描かれるが、誌名が彼女の

付録の絵葉書

雑誌のおまけ     今回は、雑誌付録の絵葉書の石版印刷について紹介してみよう。 前にも書いたけれど、日露戦争(1904〜1905年)の時期に絵葉書ブームがあり、多くの絵葉書販売業者ができて、さまざまな絵葉書が販売された。  それだけでなく、雑誌に絵葉書がおまけとして綴じ込みでついている場合も多かった。付録の絵葉書がとりはずされずに残っていることは少ない。読者たちは、絵葉書を壁に貼って鑑賞し、また、ファン同士の通信に使うことが多かったためである。それで絵葉書の残っている雑誌