マガジンのカバー画像

明治の雑誌・本の版画から

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明治の雑誌・本には木版画や石版画が掲載されています。 版画も印刷なのですが、味のあるものがけっこうあります。 オリジナルの図版を使って、版画の魅力を紹介していきます。
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2023年9月の記事一覧

ミュシャをまねる 『新古文林』明治38年7月号の表紙画

 このマガジンの更新は久しぶりだが、今回は、明治期の画像表現と模倣の問題について取り上げてみたい。  図版は、明治の文芸雑誌『新古文林』第1巻第3号(明治38年7月、近時画報社)の表紙画である。  印刷は多色石版である。  作者は目次によると石川寅治。   石川寅治(1875−1964)は、小山正太郎の不同舎で学び、明治34年に太平洋画会を結成した。帝展の審査員、東京高師の講師をつとめ、手堅い画風で知られる。    一見して、アルフォンス・ミュシャ(1860−1939)の