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一昨日みたもの2023/08/16

一見のBARで飲む。トイレは席から近くドアを閉めると席での会話が少しフィルターがかかった状態で聞こえてきた。座っている人々の飲む仕草、手をつく所作すべてが聴こえる。言葉で説明しても伝わらないかもしれないが、音を見ている。見ることに目をこらすと、音から見ていることが多くなった。

一昨日の一昨日ぐらいにも「昨日みたもの(耳と目を澄ますとき)」というものを下書きに残していた。BAR、ビルの同じ階にはスナックやBARが三軒ある。トイレはひとつ、ある客はトイレに毎回人が入っているという話をしている。わたしは耳を澄まして、音で不在を確認してからでていくということを言った。それに答えて別のお客さんが「犬の鳴き声は毎回聞いている」といった。近頃スナックに犬が留守番をしている。外からアニョハセヨーという元気な声もきこえる。

一昨日の話に戻る。といっても同じような話であるが。わたしはただ木製のドアを見据えているだけなのだが、たしかにあちらの空間を見ていて、そのことは見ることと同じく、どこかに記していなければ忘却してしまうような、固有な体験であるように思った。

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