見出し画像

【読書記録】シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

いつぞやTwitter(現X)のRTで見かけた本。
シャーロック・ホームズとクトゥルフ神話のコラボと聞いて、クトゥルフ好きとしてはかなり気になっていました。

そしてつい先日、偶然本屋で見かけました。

ある日突然H・P・ラヴクラフトが血縁であることを知らされた作家ラヴグローヴ。彼はラヴクラフトが保管していたジョン・ワトスン博士による秘められた原稿を託される――1880年ロンドン、ワトスンはひょんなことから怪事件を追う探偵ホームズと出会う。事件の背後にいるのはクトゥルーの古き神々!ふたりは深淵へと足を踏み入れる。ホームズ物語とクトゥルー神話を大胆にマッシュアップした前代未聞のパスティーシュ

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

裏表紙の説明で既に面白そう。
そうだ、読書しよう。

冒涜的な本屋でちょっと面白かった

という訳で、いつの間にか出てた続編含めて買ってきました。
まだ出てないみたいだけど、三部作なのでもう一冊あるとのこと。

ちなみに、アーサー・コナン・ドイルの作品群は読んだことがありません。
よってホームズ周りの知識は、ほぼFate/Grand Order(とちょっとだけやった大逆転裁判)由来になります。
FGOでスキルマして聖杯入れるぐらいには箱推ししてるけど、未履修で本当にすまないとは思っている。
いつか履修したいんだけど、あのシリーズ多過ぎるんだ……。

しれっと重なってる星5達


読み終わるまで大体2時間ぐらいでした。
FGOとクトゥルフ好きとしては、かなり面白かったです。
笑いながら宇宙的恐怖小説読むの、クトゥルフ神話TRPG経験者ぐらいだと思う。

【2023/10/14 追記】
投稿したよーってツイートしたら、まさかの早川書房さんにRTされて滅茶苦茶ビビった。

検索されてるんだな……


下線より先、ネタバレあります




以下、個人的に好きなところの抜粋です。


登場人物
シャーロック・ホームズ……コンサルタント探偵
ジョン・ワトスン……アフガニスタン帰りの軍医
ヴァレンタイン・スタンフォード……もとワトスンの手術助手
トバイアス・グレグスン……スコットランド・ヤード警部
グンフェン・シュウ……アヘン窟の経営者
チャスティティ・タスカー……大英博物館学芸員
マイクロフト・ホームズ……シャーロックの兄
ジェイムズ・モリアーティ……数学者。教授

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

始まる前に黒幕判明するなんて誰が思ったよ。
黒幕絶対お前だな、モリアーティ…今回は何やらかしたんだ……。


「わかっていないようだな」族長は言った。「おまえにはまだ見えていないことが多すぎる」
「では、視野を広げるにはどうすれば?」

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

”明かす者”だねぇ!!
明らかな地雷を喜々して踏みに行ったFGOホームズが見える見える。
ここらへんから本格的にクトゥルフし始めてきて、楽しくなってきた。


私たちの学位取得教育とでも呼ぶべきものが行われたのは、大英博物館の地下にあり、その他の立派な施設から離れたほこりっぽい記録保管庫で、やや遠回しな表現で「封印書籍部」として知られているところだった。
(中略)
ほどなく私たちは、本当に必要な本を選別することができた。その中にあった『妖蛆の秘密』は、グンウェンがボックス・ヒルで使った呪文の概要だった。著者のプリンは十三世紀の十字軍兵士で、シリアで捕虜となったときに魔術師から教えを受け、またアレクサンドリア図書館でも学んだという。ホームズはこの著作に熱心に取り組んだ。ほかにあったこの種の本は、ロデリック・ハロウビーがそこからタ・アーの場所を探り当てたという『無名祭祀書』の無修正版だ。私が自分の調べているものからたびたび目を上げると、ホームズはときに数ページにもなる長い文章を書き留め、ときに挿絵を描いていた。
まだほかにもあった。『イオドの書』や『エイボンの書』、『屍食経典儀』、『ナコト写本』、『ニューイングランド新天地の魔術的脅威』、『断罪の書』などだ。これらの本はしばしば、現物は存在しないと言われているほかの書物や、『サンの七秘聖典』のような聖典、地上にはなく暗黒の神々のいる場所にのみあるという『ニンの牌』の文章に言及していた。

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

クトゥルフ神話TRPGの探索者って、きっとこうやって魔導書の研究してるんだなぁ……。
それにしたって大英博物館の地下、魔導書あり過ぎて爆笑した。


封印書籍部にずっと滞在していれば避けられないことだろうが、私たちは『ネクロノミコン』へと導かれた。
いやむしろ、もしその書物がそこにあったとしたら、導かれたはずだったと言うべきだろう。
(中略)
『ネクロノミコン』はクトゥルーとその仲間についての究極の情報の宝庫で、ホームズと私はこのところずっとそこに向かって研究と調査を積み上げてきていた――私たちの最終目的地であり、入念に心構えと準備をしていた目標だったのだ。

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

一番やばいと知ってて読む気満々で準備してるの、ちょっと可愛いじゃん。
英語版でも研究するのに平均50週間かかる代物なんですが???
というか今の君達、神話技能が凄いことになってそうだね???


彼女はうつむきながら戻ってきたが、手ぶらではなかった。封印書籍部の訪問名者が書かれた台帳と、それぞれの訪問者が閲覧した書物のリストを手にしていたのだ。
(中略)
彼女は最後に『ネクロノミコン』が閲覧された時期までページをめくった。去年の五月だ。
(中略)
「ワトスンと私が問題の男を見つけましょう。もし彼が本を持っていたら、説得して戻させます。それで、その男の名前は?」
「ええと、何だったかしら……?」
ミス・タスカーは台帳の記入欄を指でなぞっていって、その書き込みで止めた。
「ああそう。モリアーティ。そうです。プロフェッサー・ジェイムズ・モリアーティ」

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

やっぱりお前かモリアーティ!!!!
しれっと記憶を曇らせるみたいな魔法も使ってるし、ネクロノミコンなんて物騒なもん窃盗するな。


「そろそろ時間だ」モリアーティが懐中時計を見て言った。「夜の闇がいちばん濃くなる。ほら、新月は従来新しいことを始めるときだというだろう。新たな始まりのときだ。ヒンドゥー教徒はそれを重要視して、たいてい新月を待ってから式典を開催したり独創的事業に着手したりする。イスラム教徒は新月をもとにして暦を決めるし、ユダヤ教徒もそうだ。ただし、言い伝えによると、もっと古くには、新月のときに異界とのあいだの障壁が最も薄くなるため、髪との霊的交わりがたやすくなるという信仰もあった」
「この場合は、ナイアルラトホテップだな」とホームズ。
(中略)
「おお、よくぞ!ご明察!」とモリアーティ。「いつからわかっていた?」

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

いつものノリでクトゥルフ神話トークをする二人、面白過ぎない?
あとニャル様狂信者モリアーティも威力が強い。
数学教授だし、自分でクルーシュチャ方程式も解けそう。


28章 這い寄る混沌がやってきた!

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

この本読んでて一番笑った。
招来出来ちゃってる段階で、やってきた!とか言ってる場合ではない大惨事確定なんだわ。




そのうち続編も読みます。

以上!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?