2024.2.22

予測してたとおりの最悪の結果を通告された。二枚舌の詐欺師集団に対する怒りはあるが、周りの方々にメンタルケアをしていただき、助けられているなと感じた。悔しさをバネに、資格取得に向けて頑張ろう。
吹っ切れたのでこんプロラジオを聴いたら、私の感想も読んでくださっていて嬉しかった。誰かに伝えたくてしかたなかった。お二人とも私と同じように幸せを噛み締めながら鑑賞されたようで、分かる分かると頷きながら感想を拝聴。普段Podcastを聴いていると、お二人が身近にいるように錯覚してしまうが、いざ自分のお便りが読まれると、読む側/読まれる側の関係、演者/鑑賞者の関係を再認識する。なんか遠い存在に思えた。記念に、送った文章を残しておく。私がお便りを送るなんて非常に珍しいから。

小出さん南波さん、こんばんは。映画『夜明けのすべて』についての感想です。
三宅監督の長編映画はすべて観ておりますが、シネコンの大きなスクリーンで三宅監督の作品を観るのは今回が初めてで、贅沢さを噛み締めながら鑑賞しました。(やや長文になるので、この文章の前半に特に言いたいこと、後半にそこそこ言いたいことを書きます。)

(特に言いたいこと↓)
予告編で、山添くんの「しばらく一人で怒っててもらってもいいですか」という台詞を聞いた時は、相手を突き放すような発言かと思っていましたが、本編を観ると暖かく手を差し伸べる発言だったので、こうも印象が変わるものかと驚きました。同じ言葉でも文脈によって全然違う意味になるから、映画や小説や人間関係って面白い。言葉だけでなく仕草やシチュエーションについても同じで、この映画では丁寧なカットの積み重ねで人々の助け合いや連帯が表現されており、"恋愛関係ではない男女"というのも、その一例にすぎないと思いました。
それぞれの痛みを抱えた人たちが生きる場所として、街の風景がきちんと映像に捉えられていることにも感動しました。重力の負荷を意識せざるを得ない坂道の数々。そんな街で山添くんが自転車に乗ったり、藤沢さんが歩いたり、2人が陸橋の下で立ち止まったり。それだけでなぜか嬉しくなりました。山添くんは電車に乗れないけれど、ときたま映る線路や電車が画面外の世界を示唆してくれて、夜の街で光る電車が星みたいに綺麗でした。
また、所々にユーモラスなシーンがあり、心の中で小さくツッコミながら楽しみました。山添くんの髪を切る前におもむろにバリカンを起動させる藤沢さんには、もしかしていきなり剃るの?!丸刈りにする気か?!と動揺させられ、山添くんのヘルメットを被ったまま神棚を拝む栗田さんには、いつまで被ってんねん…と笑ってしまいました。お菓子、お守り、プラネタリウムのチラシ、なんでも誰にでも配りまくる藤沢さん。無くなりかけのポテトチップスを筒ごと口に当てて流し込む藤沢さん。おかしみのある事象に対して、ほとんどツッコミを入れない登場人物たちの優しさ、否定せずに受け入れる優しさが愛おしかったです。

(そこそこ言いたいこと↓)
・出演されている方々のプレゼンスは押し並べて良かったのですが、特に中学生二人の瑞々しさが大好きでした。三宅監督の過去作の『ワイルドツアー』を彷彿とさせ、あの二人にも特有の関係性があると思うと、とんでもなく眩しかったです。
・前作『ケイコ 目を澄ませて』に引き続き、光の動きが印象的で、山添くんが自分の部屋に閉じこもっている時に、屋外で走行する自動車の影が動いていくところが特に良かったです。光や音への知覚が揺さぶられる鑑賞体験をしたため、映画館を出た後にいつもの風景が変わって見えました。三宅監督の映画を見ると頻繁にそうなるので、ある種のアトラクションみたいだなと思っています。
・ファミレスで藤沢さんが履歴書を書いていて、カットが変わると急に飲み物がこぼれた状態になっていたところが、好きでした。実際にこぼすシーンが省かれたことで、画面上に起こるハプニングに驚かされることなくモノローグに集中できました。
・小出さん南波さんの『夜明けのすべて』の感想がとてもとても楽しみなのですが、ついでにNetflixドラマ『呪怨:呪いの家』の感想もお聞きしたいです!(既にどこかの媒体でお話されていたら、すみません)

アップリンク京都でヨルゴス・ランティモス監督『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を観た。変すぎた。監督も脚本も俳優も癖が強い。余白の多い画面構成が気持ち悪かった。広角レンズで執拗に空間の隅を写し、ズームアウトやズームインを多用する不自然さ。この監督は、ずっとこんな調子なのか。
バリー・コーガンのキャラ立ちの良さは言わずもがな、ニコール・キッドマンも怖え。あの顔であの表情は怖え。子どもより自分が大切、という趣旨の発言をさらっとするの怖え。子どもたちが父親に媚びを売るのもしんどかった。なんなんだあの家族。精神的にはとっくに崩壊している家族だった。バリー・コーガンの食事シーンが素敵で、鑑賞中におなが減った。パスタを貪りたい。

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