2023.2.22

ロームシアターで岡田利規演出の木ノ下歌舞伎『桜姫東文書』を鑑賞。石橋静河の動き方、ダンスで鍛えられた人の動きがかっこいい。
斜めに振った舞台、引幕、銭湯のように掘り下げられた窪みに鎮座するサウンド・システム。入子構造のような舞台の前方には、待機中の役者が大向こうをかける客席兼舞台脇のような空間が。メタ的な視界に、舞台と客席の関係が揺らぐ。
あえての不自然な動きと立ち回りのストップモーションによる誇張表現。感情を抜いたセリフ回し、色気のない立ち居振る舞いによって、歌舞伎の魅力である人情溢れる部分が削ぎ落とされ、奇妙さだけが強調される。身内だろうが何だろうが、敵討ちのためには躊躇わず殺害するという常軌を逸した考え方も、狂っている。強姦された相手に恋するって、気持ち悪すぎる。それが良しとされるなんてありえないし、今だと炎上するやつだ。
いろんな感情が湧き上がってきて、総じて満足感のある演目だったけど、個人的はちょっと不要に間伸びしているようにも感じた。

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