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GABA GABA HEY!【主催者による感想文】

2024.10.13京都音まかす
HAND MADE Rock 'n' roll イベント
GABA GABA HEY!

・出演
KITA坊主バンド
清水宏
ミズカミ&アンボイ
夢野カブ&Terry

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以下、感想文です。

ライブハウスに通い始めてそろそろ20年が経つでしょうか。今回初めてロックイベントの主催・企画をさせていただきました。

…この書き方は少し大げさで、要はブッキングをして、お金出して、あとは演者の皆様と、会場の音まかすスタッフ様にお任せするだけなんですけどね。

それでも初体験はいつでも何でも緊張するもの。ドキドキする胸を抑えながら、いざ会場へ。

関係者として初めて目撃する「リハ」。その間邪魔にならないよう、居場所を求めてうろちょろ&右往左往。その姿を日本語で形容するなら、正しく「邪魔」なのであろうな。

16:30開場。

いつもは待ち遠しさから長く感じる、開場から開演までの30分。準備をする側からするとこんなにも早く経つんですね。大袈裟に言えば、目を閉じて開けると経っていた、それ位の体感。

そして17:00開演。

1バンド目はKITA坊主バンド。

ボーカルのKITAの氏とは、好きなバンドのファン仲間として知り合って以来、15年の友人関係。その後弾き語りの歌い手としてデビューした氏。その始まりのきっかけは私の言葉だったらしい。ええと、言った本人覚えてません。笑

そんな経緯はありつつも、友人枠としてではなく、あくまでその熱くてストレートな音楽性に惹かれてブッキングさせていただきました。

愛知や岐阜を主戦場にしているKITAさん達。なので、身軽に動けるソロ弾き語りの方が京都まで来てもらいやすいかなと打診したら、なんとバンドフルメンバー6人揃い踏みで来てもらえることに。頭の中で鳴り響いたのは、KITA坊主バンドの代表曲『友よ君に会いに行く』。感謝。

前述の出会いのきっかけになったバンド横道坊主の『情熱』を入場SEに、6人が登場。

結論から言うと、トップバッターとして最高のパフォーマンスを見せてくれました。ライブハウスではほとんど演奏経験がないという彼らなれど、抜群に音が気持ち良くて、聴きやすくて。KITA氏の前のめりな勢いも手伝って、場内がみるみるあたたまって行くのを感じました。

ちなみに今回の裏テーマとして、「初見でも間違いなく楽しめる人選」を、こっそり設定していました。せっかくの機会、お目当てのバンド以外もしっかり楽しんで、なんなら好きになって帰ってもらいたい!

その辺り踏まえてのブッキング、KITA坊主バンドは抜群に応えてくれました。というか、そんな主催者目線を向ける余裕がないくらい、普通にお客さんとして、全力で楽しめました。ブッキング大正解!

KITAさん、けんてぃさん、よっしーさん、金次郎さん、ゆいさん、ゆりこさん、本当にありがとうございました!

この日が京都初登場のKITA坊主バンド

2番手は、企画者の肝入り、今回の隠し球中の隠し球、スタンダップコメディアンの清水宏(しみずひろし)さん。

劇団出身の芸人さんで、スタンダップコメディの舞台以外にも、バラエティ番組の御出演やアニメの声優など、多彩な活動をされています。

圧巻なのはその取材力。政治でも社会問題でも、とにかく自分の耳と足で突撃して、納得行くまで取材する。そこから生み出されたネタは、とにかく説得力があるし、わかりやすく、誤解を生みやすいスタンダップコメディでありながら、抜群の着地点で皆を楽しませてくれます。

とまあ、能書きはこの辺りにして。

結局この場にお呼びしたのは、過去に清水さんのライブを見て腹抱えて大笑いした自分が好きだから。この感覚を、音楽を聴きに来た皆様にぶつけたら、最高の化学反応が起きると踏んだからです。

清水さんの芸風的にもロックとの親和性は最高で、なんなら過去にあの三宅伸治さんと2マンライブで競演された事もあり、そう考えるともはやなんの心配もいらないのです。

そんなこちらの思いをよそに、テキーラを飲みだしてほろ酔い気分にになり、幕間中に場内のお客さんにやたら絡み…もとい挨拶しまくる清水さん。かなりグイグイ行ってる。

し、心配になって来た!

けれど、入場SEを受けて登場して、ジャケットの前ボタンを留めて身だしなみを整えると、そこからはスイッチオン!真骨頂の乱れ打ち!

気付けば、やや後方に寄りがちだった客列が、次第に前に広がって来てるし、後ろから眺めていると、前方のお客さんのシルエットが度々肩を振るわせている。これ愛想笑いや雰囲気笑いじゃなく、ガチで笑ってるやつ!

音楽ネタや社会問題から、果ては世間ではタブー視されるテーマまで、独自の解釈で次々と笑いに変えて行く清水さん。それを受けて大笑いするロックファンの皆様。ああ、これはもう企画者冥利に尽きます。

清水さん、素敵なコメディのステージをありがとうございました!

楽屋にて、清水宏さんとKITA坊主氏

…それにしても、このあとの演者さん、やり辛いだろうな。笑

なんて事は事前に織り込み済み。だからこそ、3番手にはこのお2人をブッキングしました。ミズカミ&アンボイ!(バンド名なので敬称略)

お2人の世界観が外的要因でブレるイメージが、全く沸かないのです。案の定のっけからワールド全開。

定番のスキマノザラシ(お2人の所属するバンド)の曲は勿論、カバー曲ですら、両名の手にかかるともはや著作権を放棄してオリジナルの面構えに。

場内が世界観に肩まで浸かった辺りで、半年前から仕込んでいた爆弾が投下されました。

このイベントならではのボーナスシーンとして、あるバンドのある曲を特別にリクエストさせていただきました。反応できた方々は満面の笑みに、ネタがわからない人でも、まあこの2人にかかれば絶対カッコいいから問題なし。愛はナビより足で探すのです。

そこから『蒼白の子供』に繋ぐ流れも最高でした。つーか、ボーカル1人、ギター1人であのバンド感出すのすご過ぎます。カッコよ過ぎです。

振り返れば。事の発端は数年前。まだ彼女すらできてない頃の自分に対して、ライブ終演後に酔っ払ったミズカミさんが「お前の●●●の時は俺が歌う!」と言って来たのが始まり。確か十三だったかな。

当時はロックスターの言う事なので話半分で聞いていたのですが、その時に私の中にイベントの種が小さく芽生えたのは間違いなく。

この辺り、ミズカミさんがステージで語った記憶とは大きく食い違っていますが、気にしちゃいけません。笑

私がミズカミさんの歌を心から欲して、ミズカミさんがその思いに応えてくれた。それで十分なのです。

そんな気持ちが詰まったステージ。もちろん他のお客様には関係のない話。そんな皆様にもしっかり楽しんでいただけたと確信できる、素敵なロックンロールでした。

ミズカミさん、アンボイさん、心からありがとうございます。これからも1ファンとして変わらずつきまとい続けるので覚悟して下さいませ。

ミズカミ&アンボイ

そして、最後を締めていただくのは、このお2人しか考えられませんでした。夢野カブ&Terry!(こちらもバンド名なので敬称略)

カブさんは、多い時には年間150近いライブで日本中を飛び回る、存在自体がロックでありライブみたいな表現者。

Terryさんは、過去数多くのバンドに携わり、最近ではレッドバロン(バイクショップ)のCMタイアップ曲を歌う、超々凄腕ギタリスト。

初見もファンも、清も濁も、上下左右も、個も多様も、お2人の鳴らす音の前には等しく「垣根」という言葉を失います。ましてや、ここは百戦錬磨のお客様が集う京都音まかす。当然のように大興奮のるつぼと化した場内でした。

…多分。と言うのも、釘付けだったので、周りがどうだったか見てる余裕なかったです。間違いなくそうなってたと確信してますけどね。

先のミズカミ&アンボイと同じく、2人の人間が発信できる表現のキャパを、軽々と超えていくロックンロールなシーンが次々と。この上なく満足、そして堪能させていただきました。

夢野カブ&Terry

以上4組が出番を終えましたが、もちろんこれで終わるわけはなく。

最後のたくらみとして、個人的なわがままをひとつねじ込ませていただきました。夢野カブさんにスキマノザラシの『ギターギター』を歌わせたかったのです。(敢えてのこの表現です)

数ヶ月前に打診したところ快く引き受けていただきました。未音源化、歌詞も公式な物がない曲を。まごう事なき無茶振りです。本当にありがとうございます。

というわけで、イベントラストは、夢野カブさん、Terryさん、ミズカミさん、アンボイさん、さらには急遽飛び入りで京都が誇るドラムマスター山本将弘さんが加わり、大セッションパーティー!

…その中にひときわ目立つ異次元からの来訪者が。スタンダップコメディアン清水宏さん!

楽屋裏を告白してしまうと、当初は清水さんがセッションに参加しやすいように、別の曲を予定していたのですが、こちらの手違いで変更になりまして。清水さんに謝ってセッションはなしに…。

なったかと思いきや、清水さん自ら他バンドと話し合い、セッション参加が決定しました。知らない曲のはずなのに!

と言いつつ、清水さんの過去のライブを体験した方々なら、この行動力、取材力こそがスタンダップコメディアン清水宏が清水宏たる由縁である事はわかっていただけると思います。

そんな風にファン目線では納得しつつも、主催者目線ではもうドッキドキ。一体どんな事になるのか、喉から心臓が飛び出そうな気持ちでその時を迎えます。曲はスキマノザラシの『ギターギター』。

…いや、もう、素晴らしかった!

こちらの危惧からそう遠くはないスレスレのコーナーリングをかましながら、着地点はこの上なくど真ん中のウルトラC。ロックとコメディが奇跡のマリアージュ。

乗り切った清水さんも素敵だったし、ランデブーした5人の懐の深さにも大拍手。主催者企画者云々以前に、ファンとして嬉し過ぎてたまらなくて胸が熱くなりました。

大役を果たした清水さんがステージを降り、夢野カブさん、Terryさん、ミズカミさん、アンボイさん、飛び入りの山本将弘さんの5人で、スキマノザラシの持ち曲で、夢野カブさんもしょっ中カバーされてる『レンズ』を演奏。

こんなにも楽しくて幸せな日があって良いのでしょうか。この上なき大団円。

…主催者のくせして、自分ばかり楽しんですいません。

御来場のお客様はしっかり楽しんでいただけましたでしょうか。

御出演の皆様は気持ち良く演奏できたでしょうか。

音まかすの皆様の目にはどう映ったかなあ。

何年か後に、「そういや、あんなイベントがあったなあ」と、ふわっと思い出していただけたら嬉しいなあ。

構想から6年、コロナ禍で一度は中止になったいわく付きのわがままイベントも、これにて終幕。

御来場の皆様、御出演の皆様、音まかすスタッフ様、フライヤー作成に御協力いただいたお2人、来れなくてもSNSなどで応援していただいた皆様。あと、このわがままを許してくれた妻に。

本当に、ありがとうございました。

ありがとうございました!
イラストは漫画家の有川祐さん画

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