夜が明けない【#08】

ここのところはどうも精神的に弱ってしまってしょうがない。

理由は色々ありすぎるというか、常に頭の中で何かと闘っているタイプの生きづらい人種なので、本当にひょんなことからメンタルの悪循環に陥るケースが少なくない。

無理やり当てはまる言葉を探すなら多分キャパオーバーなのだと思う。(←こういうことを言う時に、自分という人間が対して何も努力していないあげく人に迷惑をかけまくるタイプなのに一丁前に被害者ぶっているのが気持ち悪くて仕方ない。といった感覚を覚えるのだが、そういった何のプラスにならないカスのメタ認識やそれに伴う自己肯定感の無さこそがこの生きづらさのなによりの現れなのだろうなとも感じる。

メタ認識のメタ認識



今でこそ声がデカくて明朗快活なキャラクターを纏いながらインターネットの海を渡り歩いているものの、
もともと僕はあまりメンタルが強い方ではなく、元を辿れば現在メインで活動している朱上言のXアカウント(@G_T_S_ultra)自体が、高校生の頃に精神的な負荷から体を壊し1ヶ月ほど自宅で療養していた際に「この余った時間で発信活動がしたい」と思い立って立ち上げたものであるため、
当時からすでに自分を動かすものも滞らせるのも常にその強いメンタルの起伏であったと言えるのかもしれない。(テンションが高い時は素でも本当にnoteみたいな感じなので普段の振る舞いが嘘というわけではないが。)

なによりも、このメンタルの削れによってnoteを書く気力がどんどん削がれてきているのがマズい。

「こんな高卒低学歴素人のドブカス文書を誰が求めてるんだよ!」と脳内のじぶんアンチスレがうるさいが、問題は決してそんなところなどにはなく、結局のところ恐ろしいのは元々決めていた目標を達成できないことなのだ。

年内に50本更新すると公言している手前はどういった形であれ目標を達成できない可能性などあってはならない
ただでさえ才能も求心力も全く持ち合わせない自分なのだから、堅実な積み重ねすらできなければそれは最早どうしようもないぞと切迫している。

とにかく何か、何でもいいのでこの悪循環を止めなければいけない。
なんでもいい。



・出発

3月某日の未明、春の気配など微塵も感じさせない冷え込みの中で僕は家を出た。
耳と指先が切れるように痛い。

自転車で遠くへ行くつもりだが、僕は「帰り道」というものが死ぬほど大嫌いなので、行きはレンタサイクルを借りて帰りは電車に乗るつもりだ。(類似の例として『洗い物』『部屋の片付け』『謝罪』なども挙げられる。元に戻すことにエネルギーを割くのが激烈に苦手だ。)

今は多少金がかかってもやりたいようにやろう。

ひとまず駅まで歩きレンタサイクルが借りられる場所へ。
大阪に住んでいる以上は節々でレンタサイクルを使うことはあるのものの長距離の移動で使ったことは一切なかったのでかなり緊張感がある。

なんとか無事に借りることはできた。

が、しかし

猛烈にバッテリー残量が少ない。

こればっかりは自分の確認不足なので「最悪どこかのスポットで乗り捨てていくか…」と諦めて漕ぎ始めてみるも、何故か後輪がガッタンガッタンして進めたものではない。
タイヤを触ってみるとベコベコに空気が抜けている。
どうやら適当に車両を選んだ結果めちゃくちゃなハズレ個体を引いてしまったようである。

ネットで調べてみたところレンタサイクルではわりとあるあるな出来事らしく、事前にバッテリーや空気圧の確認をするのがベターなんだとか。

しかしこれではとても遠距離など走れたものではない。
100mほど進んでしまっていたが諦めてレンタサイクルが置いてあった場所に引き返し、一度返却してタイヤの空気圧とバッテリー残量が一番マシなものを選びなおした。

個体差がすごい。

最初に借りた分の固定料金で130円くらいロスしてしまい出鼻をくじかれたし、諸事情で移動のタイムリミットもあるのでたまったものではない。

しかもなんだかんだしている間にちょっとトイレに行きたくなってきた。
とにかく先に進みたいのでトイレは一旦耐えることに。


幾分か時間が経ち、かなり進んだところで風景が明らかに「都市」を帯びてきた。

しばらく進んでみて思ったのだが、大阪で長距離のサイクリングをしてもマジで全然楽しくない。信号の間隔が狭くて気持ちよく進めないし、早朝でもまあまあ人がいる上にその時間にほっつき歩いている人は基本ガラが悪い。
多分夜遅くまで酒とか飲んでた結果この時間に徘徊しているから声もデカい。
めっちゃ怖い。

全然不快が勝つ。

というか、人の多さをみていて思い出したのだが今日は土曜日じゃないか。
これから行く場所は観光スポット?的なところでもあるようなので早朝とはいえ人はたくさんいるかもしれない。
着く前からなんだか辟易としてきた。

そこから自転車専用道を突っ切り、

川を渡る。


先ほどまでの都会的な街並みは一気に薄れ、親しみのある少し寂れた雰囲気が漂う。

ここはいい。
ここはなんか自分が居てもいいような気がする、包容力がある。

いい感じの場所だなぁ、などとぼんやり思いながら進んでいると、突然先ほど見て見ぬ振りをした尿意が牙を剥いた。


尿意をパーセンテージで表すなら120%だった。

さっきまでいっても87%くらいだっただろう、いきなりどうした。
猛烈に寒かったので仕方ない部分もあるが。

近場のコンビニに入ったのだが、トイレの前には「24:00〜6:00 トイレ貸出停止」の張り紙が。
これは非常にマズい。

その後、死にそうになりながら手近なコンビニを4件ほど回って、やっとの思いでトイレをかしてもらえるファミリーマートを発見した。

流石に何も買わないのはアレなので、寒さへの対抗策も兼ねてあったかい飲み物を購入。
本当にありがとうございます。


ピンチも乗り越えたところで距離的にも残りわずか。

これはなんかかっこいいジャンクション


川?には船が。


目的地付近に着いたのでレンタサイクルを返却。

レンタサイクルってなんかマンションの駐輪場とかにあることが多くてビビる。
今回がまさにそれだったので最初敷地内に入って良いのかどうかからわからず、数分間あたふたしていた。

ここまでありがとう、レンタサイクル。



・目的地へ

ここからは徒歩だ。

自転車に乗っている時と何も変わらないはずなのに、自分の足で歩き始めると途端にこの時間に1人でフラフラしていることへの不安感みたいなものが込み上がってくる。

街灯も少ない。

しばらく歩いていると少し開けた場所に出た。
大通りというか、車が比較的走っている感じの場所。

今回の目的地は海なのだが、すでに距離的に1kmを切っているはずなのに全く海の予兆を感じない。
あまりにも陸だ。

何だかものすごく不安になってきた。
これ本当に辿り着けるのか、大阪に海なんてあるのか?


しかしそんな心配も杞憂でしかなく、
先ほどの地点からさらに少し歩いたところで一気に視界が開け、ほんのりと潮の香りが漂ってきた。
















海だ。







ここは大阪港の中央突堤、通称ダイヤモンドポイントと呼ばれる海を眺められるスポットである。

極限までインドア派だし、海からはかなり遠い場所に普段いる上に、出身が海なし県の奈良なのでマジで「海に来た」というだけの事実でかなり圧倒されてしまう。
こういう時に「自分の感動のコストが低くて得したな」と思う。

僕はひとまず、端の方にある階段に腰掛けた。

波の音がする。



・日出

空が少し白んできた。
到着してから十数分。
ぼーっと海を眺めていたらあっという間だった。

じきに日が昇る。


そう、今日はこのためにここまで来たのだ。

波の音を聴き、海の向こうから登ってくる太陽を見て、自然を感じることによって何か少しでも気分がプラスになれば良いなと思っている。



……しかし何か変だ。
何かものすごくこう、違和感があって…。


なんか…海側は暗いのに、


振り返ると、来た方が明るくなってきてる……?


えっ、これもしかして……






「日の出」じゃなくて……







「夕日(日没)」のスポット……


……なのか…………?????




え、え?

えっこれなんか、ミスってる…?

いやなんかどうりで…ぜんっっっっぜん人いないなぁとは思ってたけど……。

明らかに海とは逆側(←)が明るい!

「土曜日なのに見にくる人は僕以外1人もいないんだなぁ…」とか思ってたけども。


適当に「大阪」「海」とかで調べて出てきた場所に思いつきで来たので日の出と言い切ってる記述は確かに見てないけども。


いやだって…!だってさ…!

「ダイヤモンドポイント 大阪」で検索したらさ!なんか太陽映ってたから…!

なんか…日の出とか見れるんかなぁ…?って思うやん!?


いや、今見ると全然夕日だなこれ。



あーーーーーー!!!!!!!

なんか言うてる間にめちゃくちゃ背後で夜が明けて来てるって!?!?!?!?

まってまってまって、待ってって!

まだ心の整理ついてないから!


とか何とか言って慌てていたら完全に夜が明けてしまった。


あーーーーー………。


あぁ、ああ。



あーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!



毎日辛いしどうにもなんねぇーーーーー!!!!!!!!!!


自分のこと全然好きになれねぇーーー!!!!!!!!



自分の好きな人が全然自分のこと好きじゃねぇーーーーー!!!!!!!!



誰かにとっての何者にもなれねぇーーーー!!!!!!!!!




友達欲しい!寂しい!愛してほしい!もっと人にちやほやされたい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



くそーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!



今日だってなんッッッッにも上手くいかない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



どんなに丸裸にネガティブさを吐露しても、僕がまだかまだかと期待して待ち望んでいた方向からは太陽は登ってくることはなかった。

でも案外そんなもんなのかもしれない。

うん、案外そんなもんだろ。

何の比喩というわけでもないのに、何か納得感みたいなものがやんわりと自分の中にあった。
これまで通り、塞ぎ込んだり浮き足だったりしながら自分のペースで頑張ろう。





あーあ!帰って仕事しよ!!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?