増鏡①

人類学は民俗学の延長線。様々な民族の生活様式などを楽しく収集するのが一般的イメージだが、その本質は民族の性向を読むところにある。
『増鏡』は平安時代を描いた歴史書だが、後世の人達が困らないように戦争の経緯と状況を古老が語るスタイルの物語だ。
「賢者は歴史に学ぶ。愚者は経験に学ぶ」
日本人は体験談はないが、戦争のサイクルは70~80年になるため必然的に歴史から学ぶ必要がある。経験に基づく「大丈夫」という判断は根拠がなく何の役にも立たない。世界では常時戦争しっぱなしなのだから、いつでも吹っ掛けられる。対岸の火事ではなくなっただけの話だ。

ウクライナ情勢が大きく変化してきている。
膠着状態からワグネルの撤退。
ロシアは急遽不利な状況に追い込まれた。
まるで日露戦争時のレーニンの動向に似ているが(民間の反乱とPMCの反乱では意味が違うが)、戦局はウクライナ有利になった。

エフゲニー・プリコジン氏。サンクトペテルブルク出身。プーチンと同時代にソ連崩壊から違法カジノなどで稼ぎ、犯罪を繰り返して長く刑務所に入っていた人物。プーチンの夕食会に関わった事から「プーチンのシェフ」と呼ばれていた。プーチンは副市長時代に違法カジノを摘発していったが、一部のカジノは袖の下をもらってお目こぼしするという共存関係にあった。
PMCと呼ばれる民間軍事起業は欧米社会ではどこでもある。
しかしロシアではPMCは違法で、刑法に引っかかる存在。にもかかわらずワグネルは5堂々と看板を出している。組織内の人員がどういう人間か。彼の経歴を考えると想像に難くない。

プリコジン氏は2016年の米大統領選でロシア系企業がSNSを使って大量にフェイクニュースを流しトランプ勝利に影響を与えたという点でも言及している。

さて、民族の話に戻すと、このプリコジン氏はコーカサスに源流を持つ。広義でスラブ民族でユダヤ教に所属している。ソ連崩壊後のオルガルヒー(新興財閥)となったが、これはプーチンがずっと戦っていたものだ。不思議なものでユダヤからロシアを取り戻す戦いを続けていたプーチンが自身のうちに抱え込み成長させていた。

「ワグネルの反乱」の動機はわからない。プーチンからするとロシア兵が死なずPMCの死傷者数はカウントされないため、「被害の少ない戦争」を演出することができた。しかし実際はそうではなかった、という実質的な面もあるだろう。一方ウクライナのぜれんすきー大統領もまたユダヤ人。彼がというよりも彼を大統領に押し上げたグループの方に意味がある。
一言にユダヤ人といっても濃淡もあれば一枚岩では全くない。
ただ土地に縛られず国際的につながるネットワークを持っている点で民族的特色を持つ。

プーチンは共産主義がソ連崩壊とともに標ぼうできなくなったため、ロシア正教を基軸としている。ユダヤ教徒はキリスト教に迫害され続けた歴史を持つため、どこかで(あるいは初めから)亀裂があったのかもしれない。一方ウクライナと本気でどこまで戦うのか疑問が出る。本質的にはロシアとほぼ兄弟関係(というよりロシア民族にとってはキエフは京都のような存在)なので戦いたくはないはず。であるにもかかわらずここまで膠着しているのは「起こされた戦争」なのかもしれない。

日本では欧米寄りの報道しか流されないためプーチンが戦争を起こしたという批判しかない。しかしそもそもはウクライナがNATOに加盟したことから端を発する。ロシアにとって生存権が脅かされたから軍事行動に出た。
東の方でも同じ動きをしている国があるが、どこまで何を考慮した結果の判断なのだろうか。欧州の東西冷戦に起因するNATOに日本が加盟する必然性はない。
昨年から台湾と琉球の暴力団組織が提携をし始めている。
似た動きはないか。
次は東のネットワークを見てみようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?