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16歳とガールズバンドと通販。

おかげさまでつい先日、開店して満16年が経過した模型用品専門店のG PARTSと申します。

創業当時は「けいおん!」が大ブーム

正直、おぎゃあと産声をあげた赤ん坊が高校生になるまでの年月続くとは思ってませんでした。創業時とは随分取り巻く状況は変わりましたが、思いつく変化をお店の視点からいくつか挙げてみましょう。

■当時のお客様がほとんどいなくなった

すでに干支がひと回り以上回ってますので、模型趣味を続けているだけで奇跡に近いですよね。

もちろんプロモデラーとして模型誌面に名前や作品が載るような輝かしい活躍をしていらっしゃる方もいる(スゴイ)わけですが、大半が方が一般のお客様ですので、年月とともに老眼や飽きで模型から離れる方も多いはず。そうなれば興味の対象も変化して然るべきです。哀しいかな、それが趣味というもの。

■スマホ経由で来店するお客様が過半数となった

これは暇なときにアクセス解析を覗くとわかるんですが、かなりの数のお客様がPCではなくスマホ経由になりました。ユーザー数がPCと逆転したのは5年くらい前からでしょうか?

16年前はまだスマホは無くパカッと開く携帯電話でしたから、ブラウジングや利便性が圧倒的に悪くて当然携帯経由でユーザーを増やそうと思ってもなかなか増えなかった時代。メルマガもPC用と携帯用の2つを作らなければいけませんでしたが、携帯は反応自体悪く、あまり注力できませんでした。

そこへスマホが登場するや、瞬く間にスマホ経由が急増していきます。
今は配信は100%HTMLメルマガで、PC用とスマホ用が同じソースで作れるので、配信に費やす作業や時間もかなりスリムになりました。

※もしPCでメルマガ読んでいただいている方は、是非スマホでも登録してみてください

■改造用の素材があまり動かなくなった

『古いキットを改造して腕を磨け』
『売ってないなら自分で作れ』

・・・なんていう時代じゃありません。
個人的には「プラモデル」と「改造」はワンセットという感覚なのでちょっと寂しいですけど、時代と共に徐々に売れる物が変わるのは当然です。

お客様の中には「G PARTS」という店はずっと当時から変わらないと思ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはかなりお店で動いているものも変わっています。

そもそも旧キットなどの古いキットの再販頻度や、流通自体が減少していますし、立体化も3Dプリンタが出てきて以降、使うツールも徐々に変わりつつあります。最近のキットの出来の良さは多くの方がすでにご存じのとおりです。

■通販自体が『陳腐化』した

当時ネット通販専業という個人事業主がどれくらいいたか知りませんけど、まだまだそんなにいなかったのではないか、と思います。

でも今は個人でネットショップを開業しようと思えば、知識やランニングコストゼロでも始められる時代。以前の記事で描きましたが、画像処理ソフトなんかも極端に進化しました。

副業も容認の会社も増え、参入のハードルは16年前と比べて全然下がっていますが、むしろそれによって、ネット通販というECインフラ自体が社会的に陳腐化しました。会社によっては、通販部門がグループ全体の足を引っ張っているところすらあると思います。

もしそんな会社さんがあるようでしたら、大怪我する前にすぐに通販部門を閉じることをお勧めします。むしろ実店舗「だけ」で販売することに注力する方が重要です。今ならむしろ「ネット通販では手に入りません」という付加価値を、その製品に与えることができます。

個人的には本来、『こんなものにニーズがあるの?』などと上司に言われてしまうくらい尖った製品や、実店舗ではユーザーの掘り起こしが難しいサービスほど「ネット通販向け」だと思ってます。どこにでもあるものを、ただポツンと置いても簡単に売れる時代じゃありません。

今のように、ネット通販を当たり前で簡単なものにしてしまった時代だからこそ、今後ネット通販参入を考えているかたは、事前マーケティングや必要な人員、広告経費など、コスト意識をこれまで以上に高く持って参入すべきではないか、と考えています。

■今も変わらないもの

『けいおん!』は今でも大好きな作品で、当時アニメの学校のモデルになった、滋賀の豊郷小学校旧校舎に聖地巡礼したのもいい思い出です。

その後、これまた大好きなガールズバンド作品『ぼっち・ざ・ろっく!』も空前の大ヒット。映画もヒットしているそうで嬉しい限りですが、今年に入っては東映アニメーションオリジナル作品の『ガールズバンドクライ』がスゴイ。

全編3DCG作品でありながら、このEDが手書きアニメというエモさ。

これはむしろ「ネット通販あたり前」の時代に「ネット通販は敢えてやらない」的なエモさに近い(近くない)。いやちゃんと書くなら、3Dと2Dのアニメーションをツールとして考えた時の使い分け方じゃないでしょうか。

アニメのことはよくわかりませんが、3Dがダメとか、そういう次元の低い論点で作品全体を評価するのではなくて、作品の要は「脚本」ですよね。『けいおん!』も『ぼっち…』も脚本だったと思います。

ものを売るのも、大事なのはその脚本です。通販における脚本の良し悪しも「伝える努力」次第です。

だから、どこかユルそうだけど、やるときはやる。
16年経ってもガールズバンドアニメがすごいのは、自分たちの声や音を全力で伝えようとする、そんな放課後ティータイムや結束バンドやトゲトゲのメンバーのような登場人物達が魅力的だから。伝えるための脚本が真面目だからです。
そんな姿勢で通販をやってくれる事業者さんがこれからも増えるといいなって思っています。ガールズバンドクライロス。

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