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『ツユチル・レター〜海と栞に雨音を〜』の感想

2021年6月30日に発売された百合ゲーム、ツユチルレターですが、クリアしたのでレビューをしていきたいと思います。(発売から2週間以上経って記事公開……)
ネタバレは極力避けていきますが、気になる未クリアの方は2以降は読まないでください。
また記事内では便宜的に主人公・ヒロインと呼び分けていますがストーリー的にはそういう区別はないです。


1.ゲームの概要(のようなもの)

Steamでのみ販売されている全年齢ADVゲームです。価格は1800円。

【構成】ひとつの物語を二人の視点で描いていく形で進んでいきます。
二人の心情描写がかなり細かく丁寧に描写されており、これがこの作品の良いところであり、この細かすぎるのが悪いところでもあります。(これについては後述します)

【エンディング】ルートは固定で1つです。分岐・選択肢もない完全な一本道なので、必ずハッピーエンドとなります。……良いですね。

【プレイ時間】(申し訳ないことに起動画面でかなり放置してしまっているため正確な時間は測れないのですが)ほぼオートモードでプレイして4~5時間といったところだと思います。
1800円でサクっとプレイするにはちょうど良いボリュームではないでしょうか。

【ボイス】フルボイスです。

【世界観】舞台はお嬢様学校です。主人公とヒロインは先輩後輩ですが、いわゆるエス的な姉妹制度ではないです。
学内でも百合カップルは当たり前のようにいるようで、女同士だから〜的な葛藤もないです。(令和の作品です)

【言語】やたら設定が豊富でボイスこそ日本語のみですが、テキストは日本語/English/簡体中文/繁体中文が選べます。
そのうえサブテキストというものが設定でき、以下のようにテキストに2言語が同時表示できます。日本語音声を聞きながら英語や中国語の勉強もできるかもしれません…。

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しかし某推しのラブがどうこうなるゲームもですが、中国にも日本の百合が認知されつつあるという最近の流れは嬉しいものですね。

【オチに関して】今回の二人のお話は今作で完結しますが、一部謎を残したままです。
これは今作直後から繋がる『新たなカップルの続編』に繋がっていくようなので、楽しみにしておきましょう。


<<<<以下ある程度のネタバレ注意>>>>






 


2.良かったところ


1. 舞台設定
お嬢様学校という舞台はド定番ですが、やはり良いです。浪漫です。
またこの作品の特徴でもある手紙という文化も古風で雰囲気があり、素敵でした。
そして梅雨というテーマがお嬢様学校、手紙、すれ違いから始まる百合という要素を見事にまとめており、静かでしっとりとした雰囲気を演出しています。

2.丁寧な心理描写
脅迫状から始まる恋』という180度異なるお互いの気持ちがどのように通い合っていくのかを、主人公とヒロインそれぞれの視点で描写しながら話が進んでいくので、とてもとても丁寧な心理描写が描かれます。

3. 終盤のイチャイチャ
凄まじいです。中盤のすれ違いの反動もあってか無限にイチャ付きます。デートとかやばいです。

こいつら何回「好き」だの「かわいい」だのを言い合うんだ…



3.悪かったところ

1.丁寧すぎる描写
概要に『二人の視点で描いていく』と書きましたが、これは『場面ごとに視点が入れ替わる』とかではなく『同じ場面(会話)を二人の視点で2度見る』ということで、けっこう冗長に感じてしまいます。
序盤〜中盤の二人が会話しているシーンはほとんどがこれに該当します。
会話もセリフは全く同じものを聞くので分量の半分は既読となってしまい、自分はセリフ部とかをつい飛ばし気味に読んでしまいました…。
また、場面が戻って他方の視点に変わるタイミングも結構唐突で、話が戻ったのか進んだのか分からない時も多々ありました。

同じ場面を他方の視点で見て「この時こっちがこう思ってた時、あっちはこう思ってたのかぁ」と判る描写というのは百合作品ととても相性が良いと思うので、セリフはある程度省略する等の一工夫が欲しかったですね。

悪かった点は上記1つであり、以降は気になった点(ネタ)です

2.選択肢がない
選択肢がないのでセーブをするタイミングがなかったことにクリアしてから気付きました。
場面を見返したい方は適度にセーブをしておきましょう。(そんなに長くないのでスキップでもすぐ辿れますけれど)

3.ヒロインの口癖
100%そういう意図でないのは分かりますが、「女の子が好きじゃない」は何度か聞いてるとゲシュタルト崩壊してきて変な意味に聞こえてきます。「女の子同士の裏があるやり取りは好きじゃない」と正確に言った方が無難かと思いましたまる。

4.傘の持ち手側
梅雨といえば雨、雨といえば相合傘ですね。紫陽花も綺麗で素晴らしいスチルです。

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4.総じて

なんかこの記事、悪かった点の文量が多く、良かった点の文量が少ないように見えますが、不満があるのは表現手法の部分でありストーリー自体はとても良かったことを強調しておきます。(個人的にこういう感性の部分の良さは実際にプレイして感じて欲しいので、長々と説明するのはあんまりしないです、多分)
優しいストーリーで描写も丁寧、人を選ぶ要素もなく万人にオススメできるとても良い百合でしたので、(発売から2週間以上経っていますが)未プレイの方はどうぞ買ってみてください。
続編も出るようなので!

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