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投資家と格付会社と経営者の視点

本論は、あくまで個人の今までの体験、学習、研究に基づく私見であり
所属する(してきた)組織を代表するものではありません。

今宵の早稲田大学ビジネススクールの修了生向けの月1オンライン講義は、管理会計の西山茂先生による「リーダーが押さえておくべき会計のポイント」。サブタイトルの「ー昨今の状況を踏まえてー」がキモでした。

「修了生」向け講義だったので、2時間のおおよその構成と、その中で個人的にグッときたポイントを共有します。

ざっくり構成

ーまず

数社の社名を示され、「昨今の状況」で売上高や営業利益が上がったか、下がったか、その理由は何か、を考える問いからスタート

ー続いて

その後、いずれも貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)などの財務諸表と開示されている戦略の観点から、示された社名の中から
①「昨今の状況」でも業績が堅調に推移した会社の要因
②同業2社で業績に差異が生じた要因の分析
③以前は高利益率で好業績だった会社の特徴
などの分析がなされました。

ーそれを踏まえ最後に
「リーダーが押さえておくべき会計のポイント」が整理されました。

西山先生は会計の専門家でありつつ、その数字に至る背景の戦略も確認された上でのご説明だったので、納得感ありまくりの2時間でした。

個人的にグッときたこと

「投資家と格付会社の視点の共通点と相違点」的な話。
以下、僕の理解をベースに整理します。いずれも共通するのは、企業にキャッシュフロー(C/F)を継続して生み出してもらうこと
違うのは、C/Fの作り方とB/Sの使い方。

ー投資家の視点

期待するのは「将来性」や「成長性」。

ゆえに、C/Fについては、事業の好不調などを勘案し、ある程度、事業、対象地域、顧客を分散したポートフォリオを組み、事業の成長と衰退も見込んで、組換えながら作り出すことも悪くない、という考え方。

B/Sは、そのためであれば、金利以上の利益が出せるなら、B/Sを悪化させても借入で調達することも事もよしとすることもあり。また、業歴が長く、事業の成長が見込めず、キャッシュが積み上がっていれば、配当として返して欲しいと期待。

ー格付会社の視点

重要視するのは「債務償還能力」。
要は、借りた金が返せる力。言い換えると「安全性」。

C/Fについては返済原資を安定して生み出せるか、そのために、借りたキャッシュを「資金使途」に従って使い、期待通りの利益を上られるか、がポイント。

B/Sは、無借金が良いわけではないけれど、自己資本比率が高く安定し、万が一に備えたキャッシュが確保されていることをよしとする。なので(やや極論すると)先が見通せない新規事業などにより多角化するより、適度な成長があれば望ましいものの安定してキャッシュを生み出すことを期待。

ー両方の視点の整理

投資家は、一般的には短期的な業績を意識するような印象があるものの、個人的には「長期的」に継続して「成長」する「将来性」を期待しているように見受けています。

格付会社(債権者)は、確実に貸したお金を返してもらう必要があるので「安全性」を重視。その文脈で、成長を期待しないわけではない。

このように、最終的にはC/Fを生み出すことを期待するのは、投資家も格付会社(債権者)も変わりません。が、そのための事業の扱い方と、主に借入に対する考え方が違います

まとめ

かなり端折りました。
経営者は、最終的に期待することは同じながら時間軸と事業の捉え方が違います。業界、その中でのポジションなどを超えて、手許現預金を減らすことなく、投資家以上に高いC/Fの創出を望み、かつ、格付の維持や向上を願います。よって現場は、「投資家」「格付会社」「経営者」の三連方程式を解く必要があります。

その視点を整えるのに活かせそうなのが、西山先生も仰っていた「ESG」や「SDGs」的なこと。しかし、これも「投資家」や「経営者」が、必要だと考えない限り、絵に描いた餅や制約にしかなりません。

個人的に今、「投資家」「格付会社」「経営者」の三者の交差点(調整役)的な立ち位置なので、今宵、西山先生が整理してくださった「事業の扱い方」と「時間」に対する、それぞれの認識の整理が必要な気がしました。

また、個人的には根来先生の「戦略を教えているが、それだけではダメだと気づいた。とにかくキャッシュを生み出せることが大事だと再認識した」的なご発言も、印象的でした。

改めて、非常に有益な時間をお作りくださった西山先生、そしてZoomを設定してくださった事務局の皆さん、ありがとうございました!

なお、勢いで書き留めたので、若干内容が薄い気もしますし、そもそも全てはカバーしていません。あくまで、ご参考までです。

ありがとうございます!頂いたサポートで、コミュニティ活動&幹事で知見を得て、また、共有します!