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「中国化・韓国化」するpixivとオタクの未来

今回は題材として日本最大級のイラスト共有サイトであるpixivの上位タグ10個の変遷を追いながら、近年急速に進むpixivの「中国化・韓国化」を検証し、副産物的にコンテンツの栄枯盛衰の一面も探る。最後に、現状をもたらした原因を考察する。 腐女子の時代:2008 - 2015初期のpixivの構造は、「独走する東方に追いつこうとする腐向け作品」である。東方は、2008年5月から2013年7月に艦これがトップになるまでの約5年間、多少の変動はあれどほぼ一貫して1位を独占し続けて

    • コンテンツ産業に潜む中国政府の影

      一昔前の中国(中華人民共和国)のイメージは、拙速な工業化で都市部は大気汚染に苦しみ、地方は鉄道すら通っていないような格差社会、共産党政府による監視社会、傲慢でなんとなく意地の悪そうな国民、欧米や日本の製品をパクる粗製濫造の国、といったかなりネガティブなものであった。事あるごとに「中国は崩壊する」と中国崩壊論が叫ばれ、「所詮は中国人」と半ば彼らを蔑む風潮があったことも否定できない。 しかしながら、近年、中国を語る際の枕詞は次のように変化した:経済成長著しい中国、技術の発展が目

      • #2 宮崎勤とバブル崩壊

        1989年7月、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人として宮崎勤が逮捕された。今日において彼を語る際、必ずといっていいほど言及されるのがオタクバッシングである。狂気的な犯行の原因を自室に積まれていたサブカルチャー雑誌に帰結させ、マスメディアが「オタク=犯罪者予備軍」のレッテルを貼ったことはオタクの受難のはじまりとして広く認識されている。ゆえに、宮崎はオタク最大の敵であるかのように扱われ、ついには一種のタブーとなった。 第2回では宮崎とオタクの関係について整理した上で、当時の

        • #1 前史

          平成以前のオタク本連載では私の独断と偏見をふんだんに用いて平成から令和にかけてのオタクの変容、ないしそれを導いたコンテンツの歴史について述べる。しかし、前提として昭和後期のオタク(ここでは「おたく」と表記した方が正しいか)とコンテンツの大まかな関係推移を理解しておかなければならない。私は平成生まれなので、この時代に関しての知識は乏しいと言わざるを得ない。そのため、ここでは最低限の、きわめて一般的な論を記すにとどめる。 1945年の終戦をもって、日本のカルチャーは一つの大きな

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          “本当に”帰ってきたヒトラー

          8年程前,『帰ってきたヒトラー』という映画が話題になった.ベルリン中央の総統地下壕で死んだと思われたヒトラーが,目を覚ますと2014年のドイツに転生していたというところから物語は始まる.初めはコスプレコメディアンとして転生ヒトラーを扱っていたドイツ人も,彼の話術とカリスマ性に惹かれ,やがて……というわけだ.いや,そうだったと思う.なにせ観たのはかなり前だ. 同作は『帰ってきたムッソリーニ』などの派生作品が作られるほどヒットした.多くの人が色々な感想をもったと思う.だが,20

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          生成AIの凄さが未だに分からない

          2022年から2023年にかけて爆発的に流行し,現在も話題に事欠かない生成AI.流暢な日本語で返答するChatGPT,既に人間の域に達しつつあるNovelAIやmidjourneyのようなお絵かきAIなど,様々な種類のものが今この瞬間も進化を遂げている. しかしながら,はっきり言って私はそれらの凄さ,人類に対する貢献についていまだに理解できない. 対話型AIについてChatGPTに代表される対話型のAIは,もっぱらインターネット上の情報を学習し,投げられた文章に最も適した

          生成AIの凄さが未だに分からない

          日本文化が犯されているよ

          15年前に中国で作られた餃子に異物が入っていたやら床に落ちた食材を使っていたやらというニュースをを見て,日本人は中国を粗製濫造のパクリ大国と嘲笑っていた.北京五輪2008のパンフレットに出てきたキャラクターに「涼宮哈爾濱」などと名付けて遊んでいた.ところが15年経ってみると日本のカルチャー市場は中国人が席巻している. 私はこの状況を甚だ阿呆だと思っているし,歴史と将来に責任を持たない〈日本人〉は滅びてしまえと思っている.当然日本文化は一文化として素晴らしい.その上日本のカル

          日本文化が犯されているよ

          【オタク論】「おすすめの東方二次創作ってありますか?」

          と聞かれたら僕は間違いなく『東拘永夜抄』(2014年出版)をお勧めする。この本は加藤智大というシリアルキラーの著書第3弾で、彼は2008年に秋葉原通り魔事件を起こしたことで東京拘置所に収容された。2015年には死刑が確定し、2022年7月26日に執行された。 実は本書は単なる彼の自伝で、別に東方要素はない。強いて言えば章分けが「Stage」6つと「Extra Stage」1つになされている位である。 彼は母親から教育虐待を受けていたことで知られているが、僕は事件を正当化す

          【オタク論】「おすすめの東方二次創作ってありますか?」

          ガルパンが終わるとき

          『ガールズ&パンツァー』(以下ガルパン)が素晴らしいということは周知の事実であろう。私としては『東方Project』(これについてはまたいつか書く)のようにn次創作が四半世紀は続いてほしいのだが、残念ながらガルパンは既に古典の仲間入りをしている状況である。本稿ではガルパンの良さと孤独、そして完結がいかに大変な出来事かということについて語ろうと思う。 ガルパンはいいぞ などという言葉では表しきれないほどの魅力をガルパンは秘めている。まずは作品単体として見ていこう。よくガルパ

          ガルパンが終わるとき

          4分27秒で『ぼっち・ざ・ろっく!』をリタイアした話

          ぼっち・ざ・ろっく!(以下ぼざろ<この略し方はリゼロみたいで気に食わない>)というアニメが流行っているらしいということは日常的にインターネットを見ていると分かるもので、私もいつか観よう観ようと思って半年近くが過ぎた。実は放送前から期待を寄せていた作品ではあった。だからdアニメストアで探して「気になる」ボタンを押しておいた。 ぼざろを知ってまず思い浮かんだのは、当然のことだがかの有名な『けいおん!』である。2009年に1期、2010年に2期、そして2011年に劇場版と続いたこ

          4分27秒で『ぼっち・ざ・ろっく!』をリタイアした話