僕が大学院を中退した理由⑦

思い出しながら書いていく。案外鮮明に思い出せるものだ。

本当に抹消したい記憶は、僕の場合は都合の良いように改竄されることがある。(これはまた別の話、気が向いたら記事にしようかな)

さて、ダラダラと4年生の春を過ごした僕だが、当然大学院に進学するためにはその資格を得なければならない。

僕の場合、教授が学部内でそれなりに地位のある人だったのと、3年生までの僕の成績がそこまで悪くなかったのとが相俟って、推薦入試を受けることができた。

大して大学院に進学する気も意欲もないヤツが、推薦入試で大学院に進学する。お笑い草もいいところだ。

(※いや正確には、実は進学してもいいんじゃね?とは思ってた。研究には興味なかったけど、大学院の講義には興味があった。)

志願理由書に嘘で塗り固められたキラキラの「進学希望理由」を書いて、面接では何を研究したいかとか、意欲があるとかそういう真っ当なことを真面目な顔して話し、僕は推薦入試で合格してしまったのである。

ここら辺で、僕の中の違和感が頭をのぞかせ始める。

志願理由書には、当然自分が今やっている研究の内容を書かなければいけない。

4年生の春学期の時点で、僕は研究をやっていなかった(散歩とバイトしかしてなかった)。もっと言えば、研究方針すら定まっていなかったのである。

とは言え志願理由書を空欄にするわけにもいかず、僕は夜な夜な教授とテレビ電話をして「研究内容」の項目を埋めた。もう、ほぼ教授が考えた。

こんなやつを推薦するか?そして大学側も、合格させるか?

大学院を中退した理由以前に、僕には大学院に進学した理由すらわかっていなかったのかもしれない。

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