かわいい絵を描いているから優しい人とは限らないんやで、という話

今回も、架空の話をしようと思う。

イラストが趣味で、たまにSNSに載せている。基本的に犬や猫など、かわいい動物を描いている。心がすさんでいてかわいいものしか描きたくないのだ。

人様のお宅のかわいいお犬様やおキャット様を、夜な夜な「か、かわいい」とつぶやきながら絵にしている初老。なかなかの地獄であるが、SNSにはかわいいイラストしか載せていない。

そんなわけで、たまに「こんなかわいいイラストを描く人だから、きっと心のきれいな優しい人なんでしょうね」とお世辞を言っていただくこともある。お世辞なのに「いえ心は汚いです」と返してしまう。

あんまりこういうことをいうのははばかられるが、全員ではないにせよ、かわいい絵を描く人のなかにはとがった性格の人が多いような気がする。もちろん私も尖りまくりの棘だらけ、まんべんなくびっしり棘がついているせいで遠目からならむしろ球体にみえている、という感じである。

そんなすさんだ性格なのだが、SNSにこんなコメントがついた。

「うまいですね。おとなですか?」

大人ですよ、と返したのだが、その後なぜか私を中学生と断定するコメントが相次いだ。それらのコメントは自称女子中学生や女子小学生なのだが、何かおかしい。特に女子小学生を自称するアカウントは微妙に説教臭いし、隙あらばこちらの住所を聞き出そうとするし、語彙が中年男性の使うものに酷似している。きしょめのコメントなのである。

きしょめのコメントを繰り出す自称女児に困り果てた私は、ヲチ仲間に助言を求めた。仲間うちでネットの面白動画や面白アカウントを共有するグループラインに、自称女児のコメントのスクショを送り、議論した。議論の結果はやはり中年男性であろう、ということであった。

初老女のアカウントを女子中学生と勘違いし、女児を自称してコメントする中年男性。これ以上の悲惨な状況はなかなかない。我々は歓喜した。

こうして困った状況は興味深い状況に変化し、我々はこのアカウントを観察した。するとこちらの態度の変化に気が付いたのか、しばらくしてコメントはつかなくなった。私は勝った。

しかし、それと同時に私の動画の視聴回数は減った。悲しい。もしかしたら複数のアカウントで視聴してくれていたのだろうか。多少おかしなコメントでもないよりマシなのだ。

もっと中学生ぽく反応すればよかった。すこし後悔している。

再度申し上げるが、これは架空の話である。

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