8月円高アノマリーはホンマか?
8月に入ってやたらと、円高アノマリー(8月は円高になりやすいとされる)を見聞きしますよね。でも、ほとんどの情報が3~5年多くても10年のもの。ってことで、50年分調べてみました。
”円高”アノマリーなので調べたのはクロス円の
USDJPY、EURJPY、GBPJPY、AUDJPY
です。ついでに円とは直接関係ないものの気になったので
EURUSD、GBPUSD、AUDUSD
もチェックしておきました。それでは早速データをどうぞ!
1971年~2020年の月足の騰落率を一覧にしたものです。8月は途中(12日まで)のデータです。
表の見方
縦軸が年、横軸が月、数字は騰落率で先月より上がっていたら(円安なら)0より大きく、下がっていたら0未満になります。例えば2019年7月の終値が100円で8月の終値が101円なら2019年8月の枠に1%と表示されます。
結果
8月の列の一番下を見ると円安:円高=23:27、円高出現率は57%。これはアノマリーとは言えないですね。せめて75%くらいあると「おお!」ってなるけど。まだ終わってない2020年8月(0.76%)も含まれてるので、それを除いたとしても22:27(55%)なので、やはり8月円高アノマリーなんてのはないというのがよく分かります。
直近は?
長期データだけ見ていると近年の変化に対応できなくなるため、直近5年、10年もチェックしておきましょう。
直近5年だと確かに円高傾向(円安:円高=1:4)にありますね。昔より8月円高アノマリーが騒がれるのはこの辺にあるのかもしれません。ただ、直近10年まで広げると4:6なのでやはり大したアノマリーではないということが分かります。
8月より面白いのは3月で、直近5年が0:5、直近10年が5:5ということは、6~10年前は5:0だったということです。3月に何かあるのかもしれませんねぇ。
米大統領選がある年の8月は円安?
これもたまにネットで見かけるのですが、「8月は円高になりやすいが、米大統領線がある8月は過去3回連続で円安になってるぞ」ってアノマリーです。
上で見てきたように、そもそも8月円高アノマリーは存在しないので、前提が成り立ってないのと、たった3回で何をゆーとんねんと思いますが、過去50年で12回行われた米大統領選(2020年を入れると13回)の年の月ごとの円安円高回数を一応まとめてみましょう。※9,10、11月の合計が11ですが、これは1972年の騰落率が0%のためです。
表から分かる通り、大統領選がある年の8月は円安になるアノマリーなんぞ存在しません。確かに、2016、2012、2008の直近3回は円安になってるけどトータルではほぼ半々(6:7)ですね。もちろん、たった13回で何ゆーとんねんというツッコミはごもっともですが、3回よりはマシでしょ笑
お次はEURJPYです。最近、わりと動いてるのに全然トレードできてない(涙
ユーロ発足が1995年(正式にECUからEUに切り替わったのは1999年)なのでデータは1996年からにしました。約25年のデータです。
結果
8月は8:17(68%)でそこそこ円高傾向です。もう数年円高になって75%くらいまでくれば、ユロ円に関しては8月円高アノマリーがあると言えるのではないでしょうか?
9月は逆に円安傾向が見られるのでこちらも頑張って?ほしいです。
直近は?
直近の8月はやや円高傾向だけど誤差ですね。11月、12月ももう少し頑張ってほしい笑
米大統領選のある年は?
これはちょっと面白いです。サンプル数が少なすぎるというのは重々承知の上で、米大統領選がある12月のユロ円は必ず円安になります!!!いやー聖杯見つけちゃったぜ笑 ということで今年の年末はユロ円全力ロングだな。投資は自己責任でお願いします。
結果
ポンド円は18:32(64%)という結果でした。こちらもアノマリーと呼ぶには至ってないものの、定点観測しておきたい数字ですね。
直近は?
直近の8月は円高傾向を強めてますね。同様に2月、5月も円高傾向。逆に、4月、11月は円安傾向があります。特に4月は50年間でも30:20(40%)とやや円安傾向にあるので、4月のポン円は円安になるかもっと頭の片隅にいれておくのはアリかと思います。
米大統領選のある年は?
10月が3:9(75%)で円高傾向です。サンプル数12はもちろん少ないんですが、個人的には75%はなかなかの数字だと思ってます。今年の10月はポン円ショートか笑
結果
50年だと顕著な傾向はないももの、8月だけは60%台に乗せているので、やや円高傾向かなぁという印象ですね。
直近は?
直近だと8月以外に2月3月が円高傾向、7月が円安傾向にあります。
米大統領選のある年は?
9月に円高傾向、11月に円安傾向があります。82%は気になる数字ですなぁ。
次からは直接、円とは関係ないものの、メジャーな3通貨ペアのデータを載せておきます。
結果
8月は12:13(52%)とキレーに半々ですね。実はクロス円とは違うところに新たな発見があるかと思ったんですが、見事な肩透かし。
直近は?
貯金は2月、10月が円高傾向、3月、7月、12月が円安傾向でした。直近5年くらいなら100%円高or円安になってほしいもんです。
米大統領選のある年は?
サンプル数は少ないものの4月と6月は特徴的ですねぇ。もう過ぎたけど笑
結果
こちらも8月は16:34(68%)でやや円高傾向って感じ。5月も同様ですね。
直近は?
出た!ポンドルはここ10年必ずドル高になります!今年はもう過ぎたけど来年5月は全力ショートで!この記事だけで2つも聖杯をはっけんしてしまったぜぃ笑
米大統領選のある年は?
大統領選に限ると大した傾向がないんですよね。4年周期のリズムがあったら面白いんですけどね。
結果
8月は20:29(59%)のためドル高傾向なし。その他、特筆すべき傾向はないですね。あと、1972年のデータはぶっ壊れてる可能性大ですが、ソースがそうなってるので、そのまま載せてます。
直近は?
なんと!8月は直近10年で90%、5年で100%ドル高傾向です!全力売りだな。
米大統領選のある年は?
こちらは2月が25%なのでちょっと気になりますね。
多少の偏りや過去10年なら100%円高、ドル高になるものを見つけることはできました。だからといって、飛びつくのは自殺行為です。
例えば、AUDUSDの8月の値動きが10年で9回ドル高になっているかといって、8月最初の営業日の8月3日に売ってたら110pipsほど担がれることになっていました。8月13日現在はだいぶ下げてきましたが、それでも30pipsほどの含み損を抱えていることになります。
アノマリーに乗っかるとしても8月の10年分の値動きはしっかり確認して、自分なりの戦略が立てられた場合のみポジションを取るようにしましょう。
参考までに下に過去10年のオジドルの8月のチャート(日足)を載せておきます。左端のローソク足が7月最終営業日、右端のローソク足が9月最初の営業日です。その間が8月のローソク足です。青線はSMA50です。
・2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年8月13日現在
いかがですか?ここ10年で2014年を除いてすべてドル高になってる8月のオジドル日足チャートを見てもらいました。
売り持ちしてれば簡単に儲かる年もあるものの、逆行に耐えないといけない年(2013、2015、2016)もあるのが分かると思います。
また、後半上げ続ける年(2010、2011、2014、2017)もあるので、決済にも熟慮が必要です。
2018は最後の週で下げてますが、ここまでホールドできるか僕は微妙なところです。
ということで、アノマリーを信じ切って乗っかる人は少ないと思いますが、90%、100%という数字に惑わされず、値動きも必ずチェックするようにしましょう。データも大事、チャートも大事。
かしこ
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