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【米国経済の動向】5月20日週相場振り返り 5月27日週シナリオ

今週は重要材料はなく、大きな相場の流れも変わっていません。引き続き市場のトレンドは利下げがいつか?であり、インフレ率に着目している状況ですが、その方向性を左右する材料待ちという状況です。

たしかにFRBメンバーの発言や議事要旨、ちらほら米指標などありましたが、相場の方向性が決まるわけでもなく、大きく相場を捉えるとさほど気にする必要もないからです。

とはいえ毎週書かせていただいている記事ですので、着目すべきポイントをコンパクトにまとめたいと思います。


相場の流れを理解するため、
先週の記事ご覧頂いていない方は
先に見ると理解しやすいかと思います。






Ⅰ.米国経済


まずは米国経済からポイントをまとめていきます。FRBメンバーの発言や議事要旨を見ると特に変更はなく、一言でいうなら「インフレ率2%に向けての見通しが立つまで据え置きを維持する方針」といったところかと思います。PMIではサービス業景気指数が2023年6月以来の高水準であったことからインフレがやや意識され米金利高となりましたが、材料としては弱いです。週末のミシガンでは期待インフレがやや低下基調となりました。インフレに関する材料はこれくらいでインフレに対する懸念は特に変わっておらず、「足元のインフレ率に対してやや下げ止まり感はあるものの、時間が経つごとに緩やかに低下していくだろう」といった見方だと思います。

市場の利下げに対する織り込み具合を見ると、9月に50%の利下げ開始と予測しています。その後は12月か?といったところであり、年内1.2回(やや1回寄り)の利下げを織り込んでいる状況です。この指標に関しては以前もお伝えした通り、経済指標などの発表が出るとリアルタイムでコロコロ変わるため過度に鵜吞みにし過ぎる必要はなく、参考程度で宜しいかと思います。

6月FOMCでドットチャートが更新されますのでそちらの方が重要となりますが、個人的には年内の見通しは市場の織り込み観測と特に乖離なく、2回もしくは1回へと下方修正されるのが大方の予想です。ただ25年度の利下げペースに大幅な変化などあれば、金利安の織り込み時期が遅れる形になると思います。

Fed Watch Tool

最近の注意するべき点として、FRBと市場とのギャップに惑わされないことです。最近は経済指標の結果等で市場は振り回される傾向にありますが、結局はFRBの決定に基づくため、ドシっと構えて大きく相場を捉えていれば問題ないかと思います。単月のデータが良くても安易に利下げをすると雇用や消費にプラスとなりインフレを押し上げる要因となりますので、彼らはそんなことはしないはずです。データの積み上げが大事になり、インフレ目標達成への光が見えた時に利下げが行われるため、それまでは据え置きを維持する可能性が高いでしょう。どちらにせよ次回のドットチャートを確認するまでFRBの動向を真剣に考える必要はないかと思います。5月28日週はFRBが重視する個人消費支出PCEございますが、サプライズがなければ相場への影響度も限定的でしょう。



米金利

以下は10年国債のチャートでございます。赤枠で囲ったところが今週の推移です。議事要旨で利下げを急いでいないスタンスや米PMIによる影響で短期的には上昇しましたが、上昇幅は限定的でした。パウエル議長も追加利上げはほぼ否定しており、インフレ再燃も今のところ可能性としては低いため、高値を目指すに値する材料は特にありません。

どちらかというと、現状は利下げ1~2回分を織り込んだ水準で推移しているので比較的安定しているかと思います。しかし、米金利安材料や米国債需要、6月からのQT緩和開始になると短期的に米金利が下落する可能性もあります。今は金利安方向のほうが敏感に反応するでしょうが、底堅さもありますので金利安の織り込みを探りながらのトレードが良いかと思います。

米10年債金利(週値幅0.1%)




米国株

米国株式市場において今週の注目はNVIDIA決算でした。1Qの結果は、売上高/純利益とも予想を上回り、2Qのガイダンスも予測を上回ったことからさすがNVIDIA様でしたね。今世界のトレンドは「生成AI・半導体」であり、NVIDIA一つの企業で株価指数まで影響を及ぼすほどです。今の株高を牽引してるといっても過言ではないでしょう。

以下は、米国株式を代表する3つの指数を載せています。マクロ的に見ると、昨年10月に金利高と中東リスクを織り込み上昇相場へと転換しております。それから今年に入り「利下げ」が意識される中で、まだ実際には利下げは行われていませんが、その期待感により(2回分程度)株が買われています

ただ、その利下げ期待感による株買いもある程度織り込まれつつある状況だと思っています。つまり期待感だけでは高値を突破するのは難しく、あとは米国景気観や企業の業績を伴うことが重要となってくるでしょう。

ダウに関してはほかの指数とくらべて利確の動きが入りやや下落基調にありますが、悲観的になる必要はないと個人的には思っていますので良い押し目になると思っています。

ダウ
ナスダック
S&P500

よって、今後は企業の業績や米国の景気観で株価が左右される状況になるかと思っています。MicrosoftやAmazonなどの大型テック企業や半導体業界を代表するNVIDIAなどのガイダンスは悪くない状況です。しかし小売業などのサービス業の見通しはやや悪化しており、米国経済の減速も意識されているのが現状です。最近の経済指標でも雇用の下振れなど労働市場にネガティブな面も出てきています。今のところ大きな影響はないですが、翌週のベージュブックや1QのGDP二次速報値が仮に悪ければ、株価の多少の下落要因になるかもしれません。翌週は月末週でもありますし、PCEも控えているため調整の動きも視野に入れておくのも良いかと思います。



Ⅱ.為替


ドル円

5月20日週は、週足で170pipsと値幅も出ておらず、目立った動きもないため特に取り上げることはございません。短期的に米金利高の上昇と円安継続でじり高となっているくらいです。デイトレするにも値幅が出ていないですし、今は取引量も少ないと思います。

先週の解説でも述べたように、チャンスとなるのは米金利安材料が出たその織り込みを探り、ドル円買いをするのが一番ベターな立ち回りかと思います。翌週だとPCE辺りがチャンスとなるか?といったところですね。月末でもあるので引き付けはしっかり意識するのが無難です。

また、上値は158円の水平線が意識されるラインとなるでしょう。ここは前回為替介入を実施したであろう価格帯ですので、AIや利確の動きなどで瞬間的に1円ほどの下落も想定しておくべきかと思います。ちなみに31日にはこれまでの介入の規模が明らかになります。




ユーロドル

中長期的なトレンドは下目線であり、この詳細は過去のnoteに記載していますのでここでは割愛します。短期的には高値切り下げ・安値切り下げで下降トレンドを形成し緩やかに下落しているものの、気持ちよくは下げてくれない状態が続いています。

1時間足

5月20日週はCPIで金利安は織り込み→指標などにより利下げ期待後退による金利高となりましたが、その材料も弱いですし、株高ユロドル高の相関や欧州・独のPMIが思ったより良かったことから戻しもある状態です。欧州圏は6月利下げが前々から言われており、「実際のところできるのか?」と懐疑的なこともあってユーロ安にはなりづらくなっているのも現状としてあります。しかし、タカ派で知られる独連銀総裁のナーゲルは6月利下げはほぼ濃厚であり、次の利下げは9月を視野に入れているとの発言をしています。欧州圏のインフレ率は米国と違って緩やかに低下してきているので、個人的にはユーロ高にはなりづらく6月6日のECB理事会で利下げとなると安値を割って下落していくかなと思っております。

あとは、米金利に左右されます。翌週はGDPやPCEなどの指標を控えており、金利安材料が出てくるとユロドル高で反応してくるので、材料のインパクトや織り込みなどタイミングを見て売りを狙っていきたいと思います。月末フローで実需でユーロ買いも考慮すると、しっかり引き付けることが良いでしょう。個人的には1.08950はタイミング次第ですが少し弱く、その上の1.09500-1.10000の価格帯で金利安折り込みと合うのがベストです。




Ⅲ.5月27日週シナリオ


まずはじめに、27日月曜日はイギリスとアメリカが祝日のため休場となります。

そして月末週です。日本時間は円買いになりやすく、欧州時間ではユーロ/ポンド買いと方向性とは関係なく実需的な動きは考慮しておくべきでしょう。

deflatorやPCE上振れとなると年内利下げ回数が1回程度に後退し米金利4.6%付近までの上昇も考えられます。ただ指標のアシストなしにそこまでの上昇は考えづらく、逆に月末フローで金利安になるとじりじり下げる可能性もあるでしょう。ただ底型さもありますし、PCE下振れでサプライズがなければ、米金利4.3%付近の反発を見ながらドル円買いを狙っていくつもりです。

米10年債

今週は月末リバランスもあり相関が合わない時がありますので、個人的に月末週が苦手ということもあって基本トレードしません。ただドル円の押し目買い、ユーロドルの戻り売りは目線としてありますので、月末・指標・金利などタイミング見ながらトレードをしていきます。



<今週主なイベント>
5/29(水)27:00  ベージュブック(米地区連銀経済報告)
5/30(木)21:30  米GDP、deflator、失業保険申請件数
5/31(金)18:00  欧州CPI
     21:30  米個人消費支出PCE

FRB、ECBメンバーの発言もちらほらございます。



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