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【月末相場/PCEシナリオ】6月17日週相場振り返り 6月24日週シナリオ


今週の相場は小休憩となりました。米国経済では小売高が発表され、消費の弱さが見受けられました。これにより米金利は一時的に低下しましたが、4.20%は底堅く金利安は限定的となりました。その後金曜日のPMI上振れによって米金利高となり引けています。

ドル円はじりじり円安が進み、為替介入が行われた160円手前の159.700で引けました。ユーロドルは全体的にレンジでしたが、米金利の上値が重たいこと、欧州政治不安が一時和らいだことによって下落は限定的となっています。

米株式市場は安定しており、利下げ期待による株高はすでに織り込まれていますが、大きな下落要素もありません。銘柄やセクターごとにばらつきはありますが、全体的に安定していると感じています。

ユーロやカナダ、オーストラリアに続き、スイス中銀も利下げを実施し、世界的に利下げの流れが漂っています。米利下げについては市場は年内1回は確立的に高く、2回目の利下げは半々の確率とされています。最初の利下げを9月に期待する声が約6割弱ありますが、現状では利下げ期待だけで米金利が下げづらくなっているため、今後のデータに依存するでしょう。

翌週は月末期末となり、FRBが重視する個人消費支出(PCE)の発表が控えています。この点を踏まえて、今後のシナリオを解説していきたいと思います。


こちらは先週の振り返りになります。
まだご覧頂いてない方は、先にご覧ください。
流れが掴みやすくなります。





Ⅰ.米国経済


<米指標振り返り>

小売売上高 6/18(火)

この指標は、米国の様々な規模の小売店の売上を月毎に測定するもので、国民の消費の増減を把握することができます。個人消費がGDPの約2/3を占める米国では、小売売上高の動向が非常に注目されています。特に、自動車を除いたコア小売売上高が重要視されています。

小売売上高:結果0.1% 予測0.3% 前回-0.2%
コア小売売上高:結果-0.1% 予測0.2% 前回-0.1%(下方修正)

コア小売売上高

自動車を除くコア小売売上高が下振れし、前回値も下方修正され、2カ月連続でマイナス圏にあります。直近のCPIやPPIなどのインフレ率の鈍化に続き、この消費減はインフレ低下に向けて好材料でした。しかし、影響度としてはそこまで強くなかったため金利安が進行するまでには至りませんでした。

また別の視点から見ると、消費の継続的な弱さは景気にとってマイナスであり、米経済が衰退する可能性が懸念されます。まだ景気後退のシグナルとは言い難いですが、最近は雇用や景気観などの経済指標の悪化が目立ち、米経済が軟調気味なのは雰囲気としてあるかと思います。



失業保険申請件数 6/20(木)

結果23.8万人 予測23.5万人 前回24.3万人

最近、失業者の申請件数も増えており、消費に続いて労働市場の悪化も目立ち始めています。市場では労働市場や景況感への懸念が強まっていますが、FRBは依然として楽観的な見方をしています。この点で市場とFRBの間に乖離がありますが、さらに悪化が進むと無視できない状況になるでしょう。

失業保険申請件数


PMI 6/21(金)

この指標は、製造業とサービス業の購買担当者へのアンケートに基づいて、経済活動の健康状態を測定する指標です。数値が50以上なら経済拡大、50以下なら縮小、50付近なら経済活動に変化がないことを意味します。


・マーケット総合PMI
結果54.6 予測53.5 前回54.5
・製造業購買担当者景気指数
結果51.7 予測51.0 前回51.3
・サービス業購買担当者景気指数
結果55.1 予測53.4 前回54.8

マーケット総合PMI
製造業購買担当者景気指数
サービス業購買担当者景気指数

製造業とサービス業の両方が節目の50を上回り、予測値と前回値を上回りました。特にサービス業の上振れが全体を押し上げました。最近は米国の経済指標が軟調気味でしたが、今回は久しぶりに良い数値が出たため、金利上昇要因となりました。しかし、雇用統計やISMなどと比べると影響度は弱いため、参考程度に捉えています。継続的な金利高には材料不足でしょう。



米金利

今週米金利は、小売高で金利安になるも4.20%は底堅く、その後PMI上振れによって金利高となりました。しかし4.30%には届かず4.25%付近で引けています。

10年債1週間チャート

市場の利下げ織り込み具合としては、「年内1回は可能で、2回は半々」といった様子であり、今後のインフレや雇用、消費などのデータ次第になってくると思われます。

それに対して2.10年債利回りを見ると、2年債は年内利下げ2回10年債は来年を考慮した3回程度織り込んだ水準で推移しています。今のところ金利安はある程度落ち着いていると思いますので、さらなるインフレ鈍化や労働市場の悪化などがないと金利は下げ渋る想定です。

2年債
10年債


米国株

利下げ期待による株高はほぼ織り込まれ、現在は各銘柄やセクターによってパフォーマンスが分かれてくる業績相場になっております。

そのなかで6月のダウ30工業とNASDAQを比較したところ、
ダウが38,686⇒39,150 +464(+1.20%)
NASDAQが16,735⇒17,693 +958(+5.73%)
 でした。

ダウよりもNASDAQのほうが約4.8倍上昇率が高いことになりますが、この要因としてはNVIDIAをはじめとした半導体関連銘柄、生成AI銘柄などテック関連の構成比率が多いからだと考えています。

NYダウ 6月パフォーマンス
NASDAQ 6月パフォーマンス

下落要素があるとすれば、景気後退懸念によるリスクオフですが今のところはそれほど懸念する必要もないと思います。よって少しずつ上昇していく想定でいますが、先ほどお伝えした通り銘柄やセクターによって分かれてくると思います。

投資家心理を伺うツールFear & Greed Indexを見るとFEARと少し警戒感がありますが、そこまで神経質になることもないかと思います。

Fear & Greed Index


総じて、各銘柄やセクターによってバラつきはあるものの、全体として非常に安定した相場であると考えています。




Ⅲ.為替

ドル円


6月22日週ドル円レンジ 157.150-159.830(週足270pips)

今週ドル円の上昇は、金利安の落ち着き+円安圧力が主要因です。米指標で下振れてもドル円の戻しが早い要因としては、金利安の織り込みもあると思いますが、円安要因が大きいでしょう。ファンダメンタル要因であまり下落要素がないというのが現在のドル円です。

テクニカル的には160円が意識され、為替介入が実施された価格帯、キリ番、年足20円など色々ありますが、個人的にはここは通過点かと思っていますので突破するのは時間の問題と考えております。

6月22日週ドル円レンジ 157.150-159.830(週足270pips)




ユーロドル

ユーロドルは、米金利の上値が重たいこと、欧州政治不安が和らいだことから一時下落が限定的となっています。テクニカル的に1.06650付近が堅かったこともあるでしょう。しかし今後米金利高材料が出てくると1.06000付近までの下落余地があると考えています。

今週は欧州圏のPMIが続きましたが、全体的に景況感は良くはないですね。経済状況で見ても米国>欧州かと思いますので、引き続きユーロドルは下落トレンドを想定します。




Ⅳ.6月24日週シナリオ


6月25日(火)23:00 消費者信頼感指数
        26:00 米2年物国債の利回り入札
6月27日(木)21:30 米GDP、deflator、失業保険申請件数
6月28日(金)21:30 米個人消費支出PCE
        23:00 ミシガン

今週材料は、月末期末フローPCE/GDPが注目指標となります。値幅が出るとするなら週後半にかけてだと思いますので、週前半は比較的緩やかな動きを想定しています。ただし火曜日の消費者信頼感指数が100を切ると景気悪化で短期的には金利安に触れるかもしれません。

コアPCEでは、直近FOMCで年内見通しが2.6⇒2.8%に上方修正されました。しかしこれはパウエル自身の「保守的なスタンス」も含まれており、米銀各社の今週コアPCE予測では前年比2.6%となっています。今回はこれの答え合わせをすることになると思いますが、仮に市場予測通りであれば米金利安要因となります。ただし年内の利下げ期待はMAX2回のままかと思いますので、米金利が下げ過ぎることはないかと思っています。

2年債は4.60-4.65%、10年債は4.10-4.15%付近を下限と想定します。発表前の価格帯にも寄りますが、コア値2.7%であれば初動は金利安ですが反発も早いと思います。2.8-2.9%なら金利高ですが、10年債4.45-4.5%付近が上限と想定します。

2年債
10年債

今週ドル円はテクニカル的に160円を試す動きが予想されますが、月末期末ということもあり、日本時間の円買いフローを考慮する必要があります。特に日本は期末でもありますので、実需や利確の動きを意識し、ドル円買いをするならいつもより深めに見る方が無難かと思います。あと、まだ先にはなりますが夏枯れ相場の時期も近づいているため数円単位の調整も頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

立ち回りとしては、押し目を狙っていく戦略です。月末の円買い/ドル売りやPCEでドル安になったタイミングが良い押し目になると考えます。テクニカル的には、ローリバ158.300付近はタイミング次第でロングを検討します。また、米10年債金利4.10-4.15%に合わせてドル円買いシナリオも検討しています。

仮にPCEが上振れした場合、10年債金利が4.45-4.50%に達し、ドル円の月足値幅8-10円、週足値幅も加味してドル円売りも考慮します。

ユーロドルは月末実需で欧州通貨の買いや米株売り/米国債買いのリバランスが入ると米金利安になるためユーロドルは持ち直してくるかもしれません。

ただその際は戻り売りを狙っていきます。PCEで米金利安で上がってくると1.08100-200は良い売りポイントとなりそうです。ただここまで来ない場合も考慮すると、1.07450-1.07550デイトレでは狙えると思います。その際は値幅や時間帯、米金利を見ながら判断すると良いでしょう。

また、金曜日には独失業率や小売高が控えており、欧州ではドイツの影響は大きいため、これらの悪化が目立つとユーロ売りの要因となるでしょう。





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