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『2024年ドル円相場展望』ドル円は円高に向かうのか

年末になり、金融機関の2024年ドル円展望では「円高」との声が多いようです。1年先の相場を予測するのは不確実要素が多いので、長期展望は苦手ではありますが、幾つかの仮説のもとに2024年のドル円相場を考察してみます。


【日米金融政策差】

2024年には、米国FRBによる年内4回以上の利下げ観測があります。これに対して日銀は、マイナス金利解除の可能性が高いと言われていますが、利上げ開始が2024年内に実施される可能性は低いと思われます。「為替変動の大きな要因の金利差」から考えると2024年のドル円は下向き(円高)と考えるのは妥当だと思われます。ただ、日米金利差が縮小傾向となっても、一定のキャリートレード(金利の低い円を売って、金利の高い米ドルを買う)は継続されると思われるので、ドル円がどこまで下落(円高)になるかがポイントとなりそうです。

【不透明な米大統領選挙】

2024年は、米国大統領選挙(11/5)があります。通常、米国大統領選挙の年は、ドル安にはなりにくいと言われています。現職大統領に対し、「弱いドル→弱い米国」にはしないという忖度が働くともいわれています。今年の米大統領選では、トランプ氏の大統領復活の可能性があり、もし政権交代となれば、金融市場や世界経済は大混乱になると思われるので、ここでは深堀はしませんが、最大の不確定要素になりそうです。

【2023年の誤算】

2022年末においても、米国の利上げ打ち止め観測・日銀の金融政策変更が予想されていました。結果として、米国のインフレが粘着質だったこともあり、金融引締長期化のながれで2023年11月に151.90円まで上昇となりました。勿論、2022年末より2023年末のほうが、利下げ観測の感度が高くなっています。想定外だったのは、米国が高金利を継続しているのに経済が好調に推移した事があげられます。また、日銀に関しても、植田総裁が就任し金融正常化に向かう観測がありましたが、日本経済や政治がらみで、量的緩和継続となったことも、想定外の要因と言えるかもしれません。

【変動要因】

為替の変動要因は大きく3つに分類されます。
①金利(政策金利の推移や金利差)
②実需(外貨の実需的動きや大型の海外企業買収)
③投機(投資家の思惑)

①金利に関しては、上記で解説しましたが、日米金融政策差から考えると、ドル円は下落(円高)傾向になる可能性が高いと思われます。
②実需に関しては、本邦企業による海外企業買収案件は、何かしらあると推測します。また、来年からの新NISAスタートでは、米国に向けての投資が増加すると予想されているので、ドル買い要因につながると思われます。
③投機に関しては、今年11月にドル円が151.90円の天井を付けた以降、米国の利下げ観測の高まりから、夏場から秋口(大統領選挙11/5前)あたりまでは、ドル円は下攻めが主流になると思っています。

【テクニカル分析】

テクニカル的には(フィボナッチ分析)、2023年の上昇に対しての調整の下げが済んでいないと見ています。1/16の安値127.21円から11/13の高値151.90円に対する調整の50.0%押しが139.55円・61.8%押しが136.64円となっており、一旦どちらかを目標に下げが進むと見ています。その後は、下げに対する調整の戻りの動きがでると予測しています。139.55円が調整となれば、151.90円-139.55円に対し38.2%戻し(144.26円)・50.0%戻し(145.72円)・61.8%戻し(147.18円)。136.64円が調整となれば、151.90円-136.64円に対し、38.2%戻し(142.46円)・50.0%(144.27円)・61.8%(146.07円)が目途になるのではないでしょうか

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フィボナッチ分析の記事はこちら
執筆 FXエバンジェリスト 遠藤寿保


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