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少女であること

少女であることの消費期限は曖昧で分かりにくいものだと思うけど、それに比べて少女であることの賞味期限って目に見えてわかる時期だと思っていて。
それが17歳だと思うのです。
真っ白なセーラー服に黒髪ストレート、化粧っ気がない顔に指先まで美しい所作。
どんな失敗も「社会に出たら通用しませんよ。次からは気をつけましょうね。」ですまされてしまうこの時期に私は大人になることがとても怖い。
お金はたくさん払わないといけなくなるし、お仕事だって学校みたいに沢山休んだりできなくなる。でもきっとそれだけじゃないんだ。

若さ、とはそれだけで正義だ。
少しくらい可愛くなくたって大人から見れば「若いから」でチヤホヤされる。
じゃあ若さがなくなったら……?
考えるだけでも恐ろしい。
同級生に言われる「かわいい」も、親戚から言われる「かわいい」も、君から言われる「かわいい」にも期限がある。いつかは絶対不味くなってしまう日が来て、本当はまだ取っておいてもいいはずなのに新しい商品が棚に並ぶからもういいや、とゴミ箱に棄てられてしまう。
私はそれが怖いんだ。
皆の記憶の中で永遠の少女であり続けるためには遅かれ早かれさようならが必要であって。
「まだ若かったのに可哀想」と言われたアスファルトにめり込んだあの子も私からしたら全然可哀想なんかじゃなかった。
この汚い世界で唯一完全な形で、自分の手で少女を終わらせたんだから。
この狭くて暗くて苦しい世界から抜け出せたんだから。
私も早く連れてってよ。
そこが天国でも地獄でも、私のこの成長しきってない矛盾だらけの精神と、大人になりきってしまった肉体のままであっても、そっちの世界に行けるんだったら私はなんだっていいよ。
もう大人だから、行ってはいけないんでしょうか。

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