![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83150715/rectangle_large_type_2_9ce946fc3b837b5912f469b00ee27ce0.png?width=800)
Photo by
hd4ance
くちさみしいとき、
わたしはレギュラー あなたはメンソール かわいいあの子はキスをねだってる
むかし好きだったオトコと、喫煙所で居合わせた。
そいつは私の手元で燻る小さな火と、傍の山吹色の箱を見やって、
「かわいげが無いね、」と笑った。
口寂しくなるんですよ、キスしてくれる彼氏もいないんで。
先輩がなってくれてもいいんですよ。
そう冗談めかして笑った。
「オンナノコがタバコ吸ってるの、嫌だな。」
きっと彼の言うオンナノコは、かわいいかわいい彼女のことだ。
そういう自分は口元でカプセルを割っているくせに。
わたしは知っている。あなたのそれは、私のよりもずっと軽い味がする。
ニコチンやタールの軽重で何を測るでもないけれど。
あなたが吸うメンソールと、恋をしていた私が、何よりもバカらしかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?