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11/25/2020 ACL (G)上海上港戦レビュー

2020ACLの再開初戦、グループH第3節 上海上港戦のレビューです‼

コロナウイルスの影響を様々な面で受け、開幕後は2連勝していたにも関わらず、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)も中断せざるを得ない状況になりました。
あれから9か月の時を経た今回の試合は再開初戦であり、グループステージ3連勝とノックアウト進出に大きく進むことをかけたゲームです。


簡潔に試合を振り返ると、マリノスを象徴するテーマであった「速さ」をうまく上海が抑え込みどちらのゲームとも言えないような流れでしたが、最終的にはAJのゴールにより1-0で勝利を収めることが出来ました。

では、上海はどのようにマリノスの良さを消してきたのかのでしょうか。
両チームの試合での振る舞いを確認することで明らかにしていきます。

0.Lineup

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スタメンはこんな感じ。
様々な配置や役割を持つ上海はベース5-3-2で準備してきました。
また、フッキ・アーロンムーイ・オスカルの注目3人がそろい踏み。
リカルドロペスはベンチで出番を待ちます。

対するマリノスの前線3枚は、大然-エリキ-水沼パパ。
また中盤はタカ-喜田キャプテンかと思われていましたが、和田プロがスタメンに入りました。
さらに、GKはマリノスで三試合目のオビ・パウエル・オビンナ。
サプライズとも捉えられるような起用ですが、彼のパフォーマンスをみれば驚くほどの事ではないということは皆さんも思ったところではないでしょうか。


一つ、このスタメンで今後のACLの起用の基準を予測できるような気がします。

右のユニットに関しては<小池-水沼><松原-仲川>の二つのセット。
ベストメンバーとサブを織り込ませながら起用。
CBは基本チアゴ-畠中-伊藤の3人で回す(サネも含む) etc...

オナは出場しなかったため、明確ではありませんが基本は1列目・状況によっては浦和戦でみせた1.5列目での起用もあると考えられます。

1.Marinos football~速く・拡げる~

では、さっそくそれぞれが試合でどのようにふるまったかを確認していきます。
まず、マリノスの狙いについてです。

勿論マリノスは「試合をコントロールすること」を毎試合の狙いとしていますから、この試合でもMarinos footballの体現をテーマにしています。
そして具体的に言うならばそれは、自分たちは速く・相手の陣形を拡げる です。後者に関しては「スペースを作る」と言い換えることも可能でしょう。

(下図は H鹿島戦における「相手を拡げる」動き)

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ゴールを目指して速く前進する&相手からボールを速く回収する
選手の立ち位置と動きの変化で相手の陣形にスペース・ギャップをつくる

この様な、これまでもずっと貫いてきたMarinos football~速く・拡げる~をこの試合でもテーマとしていたと考えられます。つまり、基本はいつも通りです。


しかし、上海はこれらのマリノスの狙いをはじめから封じてきました。

2.上海上港守備

上海上港の守備におけるやり方を振り返っていきます。

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(青四角はマリノス側のポイント・赤は上海)

5-3-2の形を基本にしているため、3列で守ることになります。
また、プレス強度・ライン設定を低くく設定しており、マリノスに外回り循環を強いる立ち位置・プレスの向きをするやり方です。

細かくそれぞれを見ていくと、

最前線2枚...CBの前に立ち牽制。この時も積極的に奪いに行くようなことはしません。ただ、パスコースの向きを限定

中盤3枚...今回のマリノスSB(ボールサイド)は基本外側に立ち位置を取るため、ボールサイドのCMFがマリノスSB・DMFを目の前に置く立ち位置。
深めの⑯モザパはスペースを埋めながらマルコスをマーク。

HV...ボールサイドHVは、①SBとマリノスWGが1vs1の際のカバー役と②目の前のスペースのケア

このようにまとめられます。
上記のそれぞれの役割によって、マリノスは速さを奪われてしまいました

また基本5-3-2で構えるやり方の中で、陣形の最終ラインを自陣ペナの近くに固定するという方式をとることにより、「相手を拡げる」という二つ目の特徴も消されてしまいました

ただ、自分たちのシステムと相手のシステムの間の中でどこかにはスペースが生まれるものです。今回は上海の5-3-2における3の脇(ボールとは逆)に生まれていました

前半の中で逆SB(ボールサイドとは反対のサイドバック)に生まれうと思った私は、上海DFを容易に攻略できるのではと考えていました。

図にするとこんな感じです。

3.上海gif

基本的には「左→リュータ(が空いたスペースへ)」という流れが多かったです。
ブンちゃんの立ち位置は多くがサイド近くでしたからね。(ちなみに、AFCサイトでブンちゃんのタッチマップをみても通常よりは中よりではありませんでした。)

しかし、空いたスペースでボールを受けたとしても、その先に繋げるのが難しかったため、あまり効果的にチャンスを作ることが出来ませんでした

なぜなら、この場所でリュータがボールを受けても上海-最終ラインがペナに近いため、背後に狙って走るべきスペースがない(≒GKにいっちゃう)、結局マルコスには⑯モザパが近くにいる、最終的にはサイドで1vs1の状況にある水沼に出すことになる...といった結末になり、上海の最終ラインを脅かすことにつながらなかったからです。

また、このことに関して上海は少し修正を加えてきました。
上海側がゲームの始まる前からこの状況を想定していたのかはわかりませんが、どのように対応してきたのかを図にしときます。

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つまり、このスペースは上海HVの目の前にあるスペースであり、小池以外のマリノス選手にマークにいける仲間がいるため、HVを出せば小池自身の自由を奪うことが出来るということです。

5バックは何人かの選手がある意味余ることになるため、その選手をカバーに使ったり、最終ラインに人数をかけたことによって生まれるスペースを補う働きをさせたりすることが出来るのです。

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以上が、マリノスの狙いを消した上海上港の守備についてです。

3.上海上港攻撃

次に攻撃についてですが、これについてもマリノスの狙いを消してきた要素を挙げるだけにします。

攻撃によって上海が消したマリノスの狙い、それは速さです。
またかよ。そう、守備でも速さを消されている状況なのにも関わらず、攻撃によってもマリノスの速さを消してきたのです。

ネガトラ時におけるボール奪取の速さ、これもマリノスが強みとしてきたことろです。
しかし、何人かのビッグネームがマリノス選手のプレスをかわし(いなし)、タメをつくってしまうのです。

得にアーロンムーイとオスカル。
この2人は上海の前進の起点であり、中心の役割をこなしていました。
一度、前進の中心である2人にボールが渡ると、選手が集められてしまったり、プレスそのモノをかいくぐられてしまったり、他の選手を使って善戦したりなど本当にマリノスの強みであった速さの一つをこの何人かの選手の力によって消されてしまったのです。

よって、トランジションでの速さが薄まることになり、Jリーグなどでうまくいっている時のようにはいかなくなってしまいました。

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↑ざっくりとした動き

以上が、マリノスの狙いを上海がどのように消してきたかの内容・理由となります。
まあ、Jリーグでのゲームと比べるとレフェリングによって止まることも多かったと感じますがそれには慣れるしかないと思われます。

4.最後に

上海側としては勝ち点1以上はとれると考えられる試合でしたが、結果的にはマリノスが勝ち点3を手にすることが出来ました。
次の2連続2戦目でも勝利をあげて、ノックアウト進出を決めたいものです‼


ということで、最後までありがとうございました~🙇

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