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ドライバー登録者数1万人超えの物流版Uber 「PickGo」がシリーズBでソフトバンクなどから約12億円調達〜元航空管制官の異色起業家とは一体何者なのか〜

8/24に行われるTORYUMON TOKYOのプラチナスポンサーとしてご協賛いただくCBcloud CEOの松本隆一氏と弊社代表の両角将太氏の対談が実現ました。

CBcloudはつい先日、ソフトバンク株式会社をリード・インベスターとして、佐川急便株式会社、日本郵政キャピタル株式会社、株式会社シーアールイーの4社を引受先とする第三者割当増資を実施し、2019年8月1日にシリーズBラウンドとなる総額約12億3,900万円の資金調達を完了を発表したばかりの日本で今、最も勢いのある物流系スタートアップです。

そんなCBcloud CEOの松本氏と弊社代表の両角氏ですが、実は昔から親交のあったそうです。そこで、今回は公私ともに親交のあるお二人に、今まで語られてこなかった物流というレガシーな領域で戦う松本氏のCBcloud立ち上げのきっかけや今後のビジョンについて、二人の出会いを含め赤裸々に語っていただきました。

CBcloud CEO 松本隆一氏1988年生まれ、沖縄県出身。高校時代に独学でプログラミングを修得。自身が通っていた「東進衛星予備校」の授業配信システムを開発し同校に導入、現在も採用されている。高校卒業後、航空保安大学校を経て国土交通省に入省。航空管制官として羽田空港に勤務。2013年に退省、他界した義父の運送業を継ぎ、配送ドライバーを経験。同年CBcloud株式会社を設立。運送業経営の現場で、多重下請け構造や非効率な慣習から、業務改善に余力がない物流業界の現状を実感。自身の会社だけでなく、あらゆるドライバーの環境を改善することで業界全体をより良くすべく、ITによる業界変革を決意。これまでに、ドライバーに意思決定権のある自由な働き方、効率的な稼働、正当な業務評価により努力が可視化される環境を提供してきた。ドライバーの価値が正当に評価され尊敬される存在になることを目指し、常に「現場で働く人のため」に尽力する。

PickGo登録ドライバー数12000名の荷物を届けたい人と届けられるドライバーを直接つなぐ軽貨物マッチングプラットフォーム。マッチングにかかる時間はほとんどなく、荷主は急な荷物でもすぐに運んでもらうことができます。ドライバーにとっても、自分の好きなタイミングで働くことができ、まさに今までの物流の形を変える革新的なの配送クラウドソーシングを実現しました。

―航空管制官から、物流の世界へ。人生を変えた義父との出会い。

両角:
以前は、航空管制官だったと聞きました。今のPickGoからはだいぶかけ離れていますが、どのような経緯で物流の世界に飛び込んでいくことになったのですか?

松本:
そうですね、まず航空管制官になろうと思ったのは、空と飛行機が大好きだったというのがあります。それに加えて、やりたいことは突き抜けてやりきってしまう性格だったので、パイロットか航空管制官になりたいとずっと思っていました。最終的には、航空管制官を選んで、実際に羽田で管制業務を行っていました。

松本:
私が羽田の管制官だった時に、お付き合いしていた彼女経由、今の奥さん経由で運送業を営んでいた義父に出会ったのが人生の転機になりました。義父から、日本におけるラストワンマイルの運送を担っているのが個人事業主のドライバーであることや運送業界の闇深さについて初めて聞きました。例えば、ドライバーは電話で受発注を行うのですが、それを受けないと次の日から仕事が来なくなってしまいます。こうした話を聞いて、私自身も物流を変えていきたいと思うようになりました。その後、義父から物流の受発注や運送に関わる業務支援をITの力を使って、一緒に仕組み化したいという風に誘われました。そして、もともと私はプログラミングができたので、助けないわけにはいかないでしょということで、義父のもとで運送に関わる業務支援の仕組み化をしていくために、CBcloudを立ち上げました

両角:
その時、航空管制官をやめるという選択にとまどいはなかったですか?

松本:
義父から「運送x ITで起業しよう、物流を変えよう」というお話をいただいた時に、彼から「娘のことはいいから、僕と一緒にやろう」という風に言われました。きっとその言葉には、義父の覚悟が表れていたと思います。安定した生活を送れる国交省で働いている娘の彼氏である私に対して、娘のことはいいからとはなかなか言えることではないじゃないですか。だからこそ、彼の覚悟や想いが僕の中で決め手となって、義父についていけば間違いないなと思いました。そして、すぐに航空管制官をやめて起業しました。ですが、CBcloudを設立した後すぐに義父が他界してしまい、そこからの2年間は義父の会社をそのまま引き継いで、私一人とパートさんやドライバーさんで運送業務をやりながら、受発注を仕組み化していくことになりました。

―大量にフィードバックをくれた初期ユーザーが両角さん。~幻の投資案件~

松本:
義父が他界した後、2013年から2年間ぐらい実際に運送業務をやっていく中で、これだけでは業界は変わらないし、このまま今ある業務をただ仕組み化するだけではダメだというのをずっと感じていました。それと同時に、もっとドライバーさんに夢を見させる方法はないかと模索していました。その中で、もっとスタートアップ的な動き方をしていく必要があると思うようになりました。普通じゃない、一見するとおかしいと思われるようなアイデアが重要なのではと思い始めたのです。そういった思いから、今までになかった個人の方々から直接ドライバーさんが依頼を受けられるサービスを作ったりしていました。実はそのサービスをリリースした際に、大量にフィードバックをくれるユーザーがいたのですが、そのユーザーが両角さんだったのです。

両角:
その時の話をすると、僕自身がサムライインキュベートをやめたぐらいのタイミングで、天王洲アイルのオフィスから荷物を自宅に配送できるサービスを探していました。その時、以前に見かけていたCBcloudのプレスリリースを思い出して、松本さんのサービスに行き着きました。当時は、ユーザーが10名ぐらいのサービスとは知りませんでした。実際に使ってみたところ、ユーザー目線で改善できる点がたくさんあると思い、とりあえず思いつく限りのフィードバックを大量に送りつけたのがきっかけでした笑。

両角:
僕としてはユーザーフィードバックももちろんなのですが、いい起業家に会いたいという想いもあり、実際に渋谷でお会いすることになりました。そうしたら、非常に雰囲気のいい人が来て、その時がまさにファンド立ち上げのタイミングだったので、投資したいと伝えました。しかし、ファンド立ち上げの時間がかかっているうちに、トラクションも出てきた影響で、バリュエーションなどの条件が合わなくなってきてしまい、結局投資はできませんでした。ただ、その思い出は今でも強く覚えていますね。

松本:
そうでしたね、あの時は本当に申し訳なかったです。両角さんのファンドがまだレイズされていなくて、その間に僕たちの方はクライアントが来てくれるようになって、あれよあれよ売上がたってしまい、タイミングが合わなかったというのはありました笑。ですが、そこから両角さんとはいろいろな相談をできる仲になり、今でもその関係は続いています。

―物流の世界に深く飛び込んだからこそ、見えてきた課題

両角:
僕と出会った頃はまだ松本さんはスタートアップについて詳しくなかったと思います。ただ、PickGoのアイデア自体はスタートアップ的な素敵なアイデアだと思うのですが、このアイデアはどこから生まれたのですか?

松本:
私自身も最初は知らなかったのですが、個人事業主の配送ドライバーが26万人もいるという意外な事実があったことが大きかったです。それも、その事実は世間ではほとんど知られていませんでした。そのような個人事業主の人たちのために、物流の受発注の業務をITを駆使し、リプレイスしたという形で、PickGoのアイデアが生まれました。もし、その下地がなければ、ここまで大きくなるのにもっと時間がかかっていたと思います。本当に物流は奥が深くて、僕自身見えていない部分もまだまだありますが、その物流という世界を深く潜って行ったら、重要な課題やチャンスが転がっていたという感じですね。

両角:
確かに、PickGoは業界経験がない起業家がなかなか行き着けない事業アイデアですよね。一般的に、彼らは目の前にある顕在化された課題を解決するアイデアを着想しがちです。しかし、やはりレガシーな領域で経験を積んだからこそ見えるものがあると思っています。だから、学生にとっては、普通の人が知らない課題が多く残っているレガシーな領域での経験をするとそれが優位性になる。他の学生起業家が思いつかないような新しい発想を得られる貴重な経験ができますよね。

松本:
そうですね、僕自身の原体験が物流業界でした。この非効率の塊である業界を、なんとしてでも変えたかった。レガシーな分野では、新しいアイデアを持ち込んできても通用しないのが当たり前なのです。そこをどう使ってもらうかを考えていく中で、人を納得させ、巻き込み、動かしていく。若いうちから人を巻き込む経験をしてしまえば、どんな事業でも戦っていけると思います。

―世の中に存在するものには、必ず理由がある。

両角:
ちょっと話が変わるのですが、学生時代って、松本さんはどんな学生でしたか?

松本:
そうですね、私は沖縄県出身なのですが、高校は沖縄の進学校に通っていました。高校での生活は、成績をとっていれば特に咎められることもなかったので、ベランダでずっと寝てるか、午後から学校に行って部活だけしたりしてました笑。ただ、問題を解くことは好きだったので、それをいかに綺麗に早く解くかをずっと追求していました。東大模試などでも、短い時間で、どれだけ綺麗に解けるかだけを求めて、自分と戦っていました。それから、世の中にあるちょっとした「どうしてこの広告はここにあるのだろう」というような疑問を見つけては、それについてずっと考えていましたね。

両角:
そうだったのですね。スタートアップは、普通の人たちが見つけられない不都合や不合理を見つけていかないといけなくて、だからこそ常に「なぜ?」という思考を持って考えていく必要があります。そういう意味では、今の日本は便利すぎて、多くの人がある程度不自由ない生活を送れる。だからこそ、そういう世の中に無数にある疑問に気づけないですよね。しかし、古い業界には大きな課題が山積みになっている気がします。

松本:
少し考えればわかることですが、今の自分が置かれている環境も、もともとそうではなかったはずです。そういう日常の中に疑問を探していくことで、答えが見えてくる気がしています。世界が便利になり、不合理や不都合が見つかりにくいというのは間違いないと思います。ただ、それがインフラとして完成されたものとして捉えてしまっている節もあると思いますね。例えば、電車の椅子は、あれで完成されてしまっていますが、もっと快適にしようと思えばできますよね。それ以上改善されないということは、インフラとして成り立ってしまっているからなのです。だからこそ、そういう当たり前なところにこそ疑問を持つということは大切だと思います。

ー物流版ウーバーから全ての移動に関わるプラットフォームに! 今後はC向けサービスにも力を入れていく。

両角:
初期のCBcloudを知っているだけに、僕自身、かなり感慨深いものがあるのですが、最後にCBcloudのこれからについて教えてください。

松本:
今、私たちは仲間内でサービスを必死に作っていく段階から、会社を徐々に作っていくフェーズに入ってきています。まさに、第二創業期を迎えているといった感じです。その中で、今後目指したい組織としては、各人が自走し、独立して動ける集団が大きな会社を形成していくような形をイメージしています。また、意気込みのある優秀な人たちに対して裁量権やチャンスをどんどん与えて、締めるところは締めて、伸び伸び働いていただけるような環境を提供していける会社にしていきたいと考えています。

松本:
その上で、今までは一貫してB向けのサービスとして、物流版ウーバーのPickGoに力を注いできました。その結果、今では1万人以上のドライバーさんに使っていただけるようになり、移動のサービスを行う下地を作ることができました。なので、これからはB向けを最初にやってきたことで得たあらゆる移動手段などのリソースを生かし、ものの移動以外もやっていきたいと考えています。具体的には、全ての移動に関わる課題を解決するC向けのサービスにも力を入れてやっていく予定です。今も色々なところから、お話をいただいていて、今後CBcloudは移動に関わることなら何でもできるプラットフォームのようになっていくと思います。また、それらの新規事業をやっていく上で、私の下に直轄の学生プロジェクチームを作って、学生の柔軟で突飛な発想を生かしてC向けの面白いサービスを生み出していければとも考えています。なので、アイデア出しのところからC向けの新規事業を私と考えてくれる方は、是非一緒に作っていきましょう!

CBcloudの社長直轄の新規事業インターンに興味のある方はぜひこちらのリンクからご応募ください!!
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