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#BFC4 ジャッジをジャッジ(追記あり)

公式の発表に伴い、ジャッジ採点基準を公開します。

担当:Cグループ
ファイター:冬乃くじ

紙文 2点
笛宮ヱリ子 5点
〇 虹ノ先だりあ 5点(勝ち抜け)
白髪くくる 3点
ゼロの紙 2点

■採点基準

ジャッジを採点するにあたり、考慮した点は以下のとおり。評をつける行為とは、自らの視点と向き合うものであるが、そのときの姿勢がナルシスティックに過ぎないかどうか。自分よりも作品を見ているか。未知の存在と対峙したときにどんな反応を示しているか。文芸の未来を見ているか。最終的に、以下の点を高く評価する。わたしが望む文芸の未来を連れてくる人。

総評

 どのジャッジもよき「読者」であり、作品と誠実に向きあう姿勢が見受けられた。ただ異なったのが、未知の存在と対峙したときに見せる姿勢だった。紙文氏は自らの想像力を駆使し補完することでそれを乗り越えた。白髪くくる氏はわからないところはわからないままとばし、作品が自らに手をさしのべている箇所を拾い、調べ、分析することで乗り越えた。ゼロの紙氏は深く己の内に沈みこむことで乗り越えた。笛宮ヱリ子氏は作品世界にその身をたゆたわせることで乗り越え、虹ノ先だりあ氏は作品内の整合性を確かめることで乗り越えた。
 この段階で、作品内に頼りを求めた(以下敬称略)白髪くくる、笛宮ヱリ子、虹ノ先だりあが「評者」として一歩リードした。さらに白髪くくるの、細部を膨らませ自分の理解に近づけるやり方は、評を一定の水準まで高めることに成功したが、その方法ゆえに全体の流れやバランスをとらえ損ねる難点があり、作品全体をとらえることに成功した笛宮ヱリ子・虹ノ先だりあ両名の一騎打ちとなった。
 笛宮ヱリ子はその感受性の豊かさで作品内に耽溺することができる、稀有な才能の持ち主だ。虹ノ先だりあも感受性が豊かだが、笛宮ヱリ子と違うのは、作品から一定の距離をおき、その可能性を語れる点だった。わたしの望む文芸の未来を連れてくるのは笛宮ヱリ子だと思った。が、文芸そのものの未来や可能性を見ているのは虹ノ先だりあだと思った。
 笛宮ヱリ子の感性の豊かさが虹ノ先だりあよりやや勝っていたため、悩みに悩んだ。だが「無理をとおす特殊言語」としての「かわいい」を持ち出し、「この言葉の強さがなければジャッジはできなかった」という虹ノ先だりあの弁からは、生身では作品同士を戦わせジャッジをする過酷さに耐えきれぬほどの感受性の強さと、同時にそれを克服してやりとげようとする意志がうかがえた。力を行使することをおそれる笛宮ヱリ子に個人的に深い共感を覚えたが、文芸の未来をきりひらく試みであるブンゲイファイトクラブのジャッジとしてふさわしいのは、作品に沈みこむと同時に距離をもとれる、虹ノ先だりあかもしれぬと判断した。

以上

追記

 ジャッジの皆さま、拙作「サトゥルヌスの子ら」に素晴らしい読みをいただき、本当にどうもありがとうございました。
 作品に深く寄り添ってくださったゼロの紙氏、作品を自分のものとしてくださった紙文氏、作品の繊細なところまで掬ってくださった笛宮ヱリ子氏、作品の弱点を教えてくださった虹ノ先だりあ氏、そして特に、さまざまな参考文献を用いて読者の読みを深めてくださった白髪くくる氏に、心より御礼申し上げます。

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