2023 1/24

青い。目の前で寝る竜の目は私が今まで見たどんな青と比べてもその良さが霞むほどずば抜けて綺麗だった。脚は獲物を捕らえて離さない筋肉の塊で胸板も人間のそれとは比較にならないほど分厚い。全身が鱗で覆い尽くされているから強く抱きつくと鱗の先端が私の肉に食い込んで痛い。手や脚の爪もそうだ。特に手の爪は長い。彼女自身その長い爪をえらく気に入っているそうで時折見せつけてくる。筋骨隆々なパーツとは裏腹に関節は薄く細くそのしなやかさが目立つ。
尻尾は私を包み込んでもあと半周は出来そうなほど大きくて翼を広げて尻尾を緩やかに動かすと彼女の強かな一面が顔を覗かせる。こちらの面の方が馴染みがあるといえば…そうかもしれない。
彼女は火を吹かない竜だった。竜にも人間と同じように様々な種類がいて毒を吐く竜もいれば空を飛ばない竜もいるという。
争いは好きではないが戦いが起きた時逃げてばかりでは意味がない。戦ってそして勝つための努力はしている。彼女はそう答えていた。
彼女の強かさに憧れて私も戦う訓練をしたが10日と続かなかった。彼女は…そんな私をその青い瞳で見つめるだけだった。その瞳には失望も不信も感じられずただ真っ直ぐにこちらを見つめるだけであった。

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