勝利をした馬が後世に名が残らない位のダービー~第90回日本ダービーを振り返る

2023年5月28日、東京競馬場で東京優駿~第90回日本ダービーが施行され、4番人気のタスティエーラ(ダミアン・レーン騎手鞍上)が優勝しました。
4年前のダービーではテン乗りで騎乗したサートゥルナーリアが発走直後に立ち上がってしまい惜しくも敗れてしまった事からその雪辱を晴らした事にもなります。
そして1番人気のソールオリエンス(横山武史騎手鞍上)はクビ差の2着でまたもや鞍上の横山武史騎手はまたもダービージョッキーに届きませんでした。

それらよりも衝撃的な事が現場では起きていました。
まず発走直後にドゥラエレーデが突っかかる格好になり鞍上の坂井瑠星騎手が振り落とされ(競走中止)、青葉賞馬で2番人気のスキルヴィングが4コーナーを過ぎてからペースを落として何とかゴール板は通過して(完走で17着扱い)、そのあと鞍上のクリストフ・ルメール騎手が下馬した後、1コーナー手前のラチに頭からもんどりうつように倒れてしまいました。
この様子はフジテレビ制作の映像では映っていますので、そちらを視られていた方はおわかりでしょう。
その後馬運車が到着するも幕が張られる状態で輸送され、急性心不全で亡くなった事がレース後に発表されました。
ネット上では勝った馬云々よりスキルヴィングがトレンド入りしていたようですし。

まずはスキルヴィングに哀悼の意を表します。
何とかジョッキーを振り落とさないように責任を持って走り、騎手が下馬した後に倒れたという姿には涙が止まりませんでした。

これについては色々な意見がありなんとも言えないところではあります。
よく言われるのが担当している調教師の調教スタイルになるわけですが。
ただ私から言える事は青葉賞という存在がどうなのかなと言う点です。

青葉賞は4月の最終土曜日にダービーと同じ2400メートルで行われるダービートライアルなのですが、そのレースから勝った馬がこれまでありません。
今回優勝したスキルヴィングはそのチャンスがあるだろうと言われていて実際にクリストフ・ルメール騎手も皐月賞では3着だったファントムシーフからスキルヴィングに乗り換えたのもそちらの方がチャンスがあると判断したからでしょう。
(ちなみにファントムシーフは武豊騎手鞍上で8着)

ただ結果は最悪な結果になってしまいました。
やはり3歳の若駒に2400メートルを中3週で2本走るのはコンディション的には過酷でしかないでしょう。
そして、今回青葉賞の優勝馬が死亡するという事案が起きてしまった以上はこのレース自体の見直しをしないとならないでしょう。
やるとすれば青葉賞の施行を1週間早めて2回東京の開催週にしてダービーまでのローテーションを中4週にするか、施行は同じ週として距離を2000メートルに短縮するかするしかないでしょう。
できるならば中4週であっても距離は2000メートルにしてほしいのですが。
どちらにせよ今までのやり方ではできないということは間違いないのです。
それを今回スキルヴィングはその命を以てJRAに突きつけたのだと思います。

普通であればゴール直後は大歓声が沸くはずだったスタンドが静まりかえっていたのが今回のダービーを物語っていた気がします。
そのあとタスティエーラがスタンド前に戻ってきたときこそ歓声が沸いていましたが。
さすがに目の前であのようなショッキングな事を視てしまったら盛り上がれと言う方がどだいムリな話です。
私も中継を視ていましたが、レースが終わってからは盛り上がれる気がしませんでした。
ネット上では競馬を止めるなんてヒトも散見されましたが。

天皇賞(春)の一件もありましたが、第90回という記念すべきダービーはもっとも最悪な結末になってしまいました。
恐らく京都競馬場で観戦していた皆さんはダービー直後にライスシャワーの石碑に並んでいた事でしょう。

とにかく黒歴史にもされそうな第90回日本ダービーでした。
ここで気になる事を。
今回のスキルヴィングの件はグリーンチャンネルの中継ではほとんど触れられていないように思いました。
フジテレビ(からその先の関西テレビ発のKEIBA BEAT)には倒れた後のスキルヴィングが映っていましたが、グリーンチャンネルではスキルヴィングには全く触れておらずまたアナウンスが全くといってよいほどされておらず淡々と事務的にキャスターが進行していたのには違和感がありました。
ゆえにスキルヴィングの安否が分からないことからネットではそれがトレンド入りをしたとは思っていますし。
臭いナントカには蓋をしているのでしょうか。
だとするとそれも残念で仕方が無いですが。

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