隣の家が爆発して布団がふっとんだ話

10年以上前の一人暮らしの頃夜寝ているとマンションに
ドーーーーーン！ガシャーン！パリンパリン！　
とトラックが突っ込んできたようなとんでもない衝撃と爆発音で目が覚めた。
私は急いでメガネを探して窓を開けると向かいのマンションの人がこっち側を指差して「火が出てるぞー！！燃えてるぞー！」と叫んでる。

火事だ！！！
と思い財布と携帯だけ持ってとりあえず外に出る。
火事なんてあった事がない。めちゃくちゃ慌てる。.エレベーターがダメなのは知ってるから四階から階段で走って降りる。あれもこれも持って出たいけどとりあえず逃げる！

外に出ると火事になってるのはうちのマンションではなく隣のマンションだった。
（叫んでくれた人から見てうちの奥のマンション）
さっきの爆発音からすぐ外に出て、そんなに時間が経ってないのに燃えてる部屋の周りは真っ黒で火がメラメラ出ていて空が煙だらけになっていた。
ただ事ではない。めちゃくちゃ燃えてる！！
そしてすぐそこまでサイレン音ガンガン鳴らした消防車が来てる。めちゃくちゃ早い！

私は早めに外に出たのか同じマンションの人が次々と外に出てくる。
みんな犬やらネコやら鳥やらほとんどの人がペットを連れて出てきた。
ペット禁止なのに飼ってないのはうちくらいだった。

一人でいるのは私だけで心細くなって姉に電話した。
姉が電話に出ると安心してなのかうまく話せなくなってしまった。
姉からすると夜中に私からの無言電話でサイレン音だけがかかってとても怖かったと思う。

「あ…あ…あの…」と姉に向かってカオナシみたいになる私。普段めちゃくちゃ喋るのに大事な時にはカオナシになるタイプ！！
只ならぬ状況に「どうしたの！！！」と聞かれてもカオナシは喋れないので「あ…あ…」と言うだけ。
「あ…あの！大丈夫なの！大丈夫なんだけど！うちじゃない！」と私の無事を伝えると察した姉は「とにかく行くから」と電話を切った。

少しすると姉が到着した。
今日はうちで寝れないので姉の家に泊まる事にした。
うちの家も立ち入り禁止だったけど荷物を取りたいと事情を説明すると中に入れてくれた。
うちのマンションと燃えているマンションの隙間は50cmくらいで私の部屋のすぐ隣が燃えている部屋だった。
消防が火を消してるのを窓から見えて普段なかなか見れないので携帯で写真を撮った。

次の日の朝火事がニュースになっていないかテレビでチェックしているとめざましテレビでやっていた。
【家でガス爆発を起こしましたが命に別状はありません。爆発のせいで人が窓から隣の公園まで吹っ飛びましたが布団も吹っ飛んだのでそれがクッションになり軽傷で済みました】と内容だった。
布団が吹っ飛んで助かった！！
ダジャレが実話になった！！とこんな事未だかつて人類の歴史上あっただろうか！とガス爆発くらい大きな衝撃を受けた。
【公園で落ちてた窓のガラスの破片はこちらです。大きいですね。凄い爆発だった事でしょう】とスタジオででかいガラスを持ってる小倉さんか誰かアナウンサーが話していた。

昨日の夜中の出来事なのに朝のニュースで布団が吹っ飛んだ時のガラスを持っててすごい！

私は学校に行って「昨日隣の家がガス爆発して火事で〜」と話すとみんな「大丈夫？！」と心配してくれたけど「それで布団が吹っ飛んでさー」と話すと誰もそのニュースを見ていなくて「またなんか言ってるわ」くらいにしか思われなかった。
今ならネットニュースがあるから見せるのに。
私は普段から野菜屋さんと画材屋さんを聞き間違えたり、話をして大きく盛って話す癖があったので誰も相手してくれなかった。
嘘をついてる訳でもないのにオオカミ少年の気分。

布団が吹っ飛ばなかったら火事が怖くなったり夜が怖くなったりトラウマになったかもしれないけど布団が吹っ飛んでくれて伝説の笑い話になった。

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