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アトリエ制作とカルパヴリクシャの渦
喜び勇んだ三連休が終わろうとしています。
明日からは通常運転。
さて、今回の休みにちょっと描いたもののご紹介。
さて、こんなのが描けました、ということでTOP画像の全体像です。
![](https://assets.st-note.com/img/1689594309631-SRumvOIia5.jpg?width=800)
「これはなに?」とは聞かないでください。
描いている当人も特に考えていないのです。
考えていないと言うと語弊がありますか。
画面上のおさまりと明暗のバランスは考えています。
それ以外のところは手癖としか言いようがないグルグルをひたすらに。
しかしながら、それでもこれは何なのか。
着想は、そう、表題の「カルパヴリクシャ」にあるのです。
カルパヴリクシャ。
とても舌を噛みそうな名前ですが
インド発祥の、非常に素敵な渦の名前です。
![](https://assets.st-note.com/img/1689594594440-3LE8RvVOZH.jpg?width=800)
これですね、
この複雑かつ精緻な渦の文様。
渦と言えば日本では唐草文様などですが、
こちらのカルパヴリクシャは「樹の吐息」、植物の呼吸を象ったものです。
私がこの渦を知るきっかけとなったのが
杉浦康平さんの『万物照応劇場』シリーズ。
もう、このシリーズが素晴らしすぎて
杉浦さんに会いに行こうかと思ったくらい。
Amazonを推奨するわけではないのですが、やはり見つけやすいので。
私の図像関連の知識は、このシリーズから得たものが多いです。
このシリーズは物の形や図像の意味するところについて書かれています。
日本・アジア各地の図像の沼を
杉浦さんが誠実な言葉と美しいデザインで案内してくれます。
ちょっとやそっとじゃ太刀打ちできない豊かな経験と感性、
そして鋭い考察、大きな視野。
前職辞めてからこの本に出会い、あまりの充実ぶりに打ちひしがれ、
あとがきで勝手に感涙する始末。(泣くところではありません)
ちょっと長いですが、杉浦さんのカルパヴリクシャ説明をば。
インドには「カルパヴリクシャ」と呼ばれる、強烈なざわめきをもつ「樹の吐息」の文様があります。(中略) 一本の樹木をめぐる、渦の力。万物を蘇らせ活気づける、新鮮な樹木の酸素の渦。カルパヴリクシャの渦は、樹木の吐息、酸素の流れを巧みに文様化したものです。
カルパとは「願いをかなえる」こと、ヴリクシャとは「樹木」を意味しています。つまり「願いごとをかなえる樹の呼び名です。
(中略)
残念ながら、その起源はさだかではありません。この魅惑的な文様の、現存する最も美しい一例は、西インド・グジャラート州のイスラム聖者の廟にある、大理石のレリーフです。
左巻きに沸きたつ激しい渦。だが、渦の内部は反転し、さらに小さな渦を生み出して、ざわめく大乱流と化しています。
求めるものすべてを、その流れにのせて産出する、「豊穣の樹」の吐息…。「渦の極致」を思わせるこの形は、子宮の中で次第に成長していく人間の胎児の姿にも似ています。
掲載されている図版は非常に美しいカルパヴリクシャで、
正直言って一目惚れしました。
こんなにも美しくて力のある渦があり、しかもそれは植物の呼吸や水流を現したものだなんて、
技術的にも思想的にもとんでもなくレベルの高いものがあるもんだなぁと!
いつか自分でも描いてみたいと思った図像の1つです。
さて、今はゾウさんを描いているのですが、
その試しや乾き待ち中に描き出したのが先のグルグル。
少しカルパヴリクシャをイメージしています。
ただ、一通り終わって感じたのは
なんかオドロオドロしいなぁ、という。
もうちょっと考えて描いた方が良さそうだ。
自分の内面がだだ漏れになっているではないか…と反省。
もっと乾いた感じの線と造りが目指したいところ。
なんだか軟体動物の寄せ集めみたいになってしまいました。
次はきちんとマネするところから始めたいと思います。
おまけ
杉浦さんってものすごい!と衝撃を受け一人ドキドキしていました。
私が知らなかっただけで「既にものすごい人」と知ったのは、シリーズを読破してからのことでした。
すごい人は凄い!
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