風に揺られて

君が
ミクロで見た現実を
それがすべてだと
思い違いをして
浅い呼吸を繰り返していたら
おおらかな空だって
憂い顔に染まるだろう

そんな小さな顕微鏡に
この空は見えるのだろうか　と

鳥のさえずりや
大地の息吹
星たちの交感
耳を澄ますと
聴こえてくる
生命の深呼吸
静寂の中で
生まれる
ことばたち

感情はいつも
不確かな現実と
向かい合う
そうして
行き交い
すれ違い
通りすぎ
遠く霞んで
消えていく

君が
見ている世界は
星の欠片にも
満たない
ミクロな破片の中

ただ一切は
風に揺られて