見出し画像

【群青戦記&真・群青戦記考察】不破瑠衣の5つの謎を追い求めて

この記事は骨の髄まで不破瑠衣の魅力にやられてしまった人間が、群青戦記と真・群青戦記の盛大なネタバレと共に、考察とは言えない妄想をつらつらと綴っているので平気な方のみ進んでください◎

不破瑠衣…上限のIQ161を越える天才で、感情がすっかり麻痺した特進科クラスで帰宅部の17歳
屋上から飛び降り、蛇石にぶつかったことで命を落として戦国に一足先にタイムスリップし、千利休と組み、明智光秀を味方につけ、織田信長に阿片を盛るなどして暗躍した戦争を愛するイカれたとんでもない男ですね。

頭脳だけでなく戦闘能力も異常に高い上に、何のバックボーンもない戦国時代で蒸気船とボルトアクション銃を作り、麻薬各種を製造し、造船、治金、機械、材料、燃料の5工学、そして物理学、化学、数学の博士号を持っている可能性を持つ激ヤバ男です。

とは言え、主人公の蒼やミチロウに帰還方法を教えるなど謎の親切心と指導力を持っていたり、人心掌握に長けていたりと、ただのヤバイ恐ろしい奴だけでは終わらない魅力を持った黒幕ということで、刺さった方も多いのではないでしょうか。
詳しいプロフィールや活躍はPixiv百科事典に有識者様が書かれた素晴らしい記事がありますので、そちらをご覧ください。


①織田信忠への成り代わり

第一部の最後、帰還式を終えた不破が学校の屋上で織田信忠の能面を手に持っていたことにより信忠に成り代わっていたことが示唆されていました。
続編の「真・群青戦記」28話で信忠と同じ服を着た一週目の不破が、再び戦国を訪れたもう一人の不破と対面。一週目の不破が信忠に成り代わっていたことが判明します。

「一週目の私が、織田家の中心にいてね。
―――そう…この座標時に不破瑠衣という人間は2人いる。」

出典: 「真・群青戦記」コミックス 4巻より

第一部の帰還方法は、蒼が本能寺の変を起こし、信長を倒すことが条件でした。
本能寺の変といえば、信長と信忠の親子が命を落としたことでも知られていますね。
蒼が信長を倒すことはもちろんのこと、信忠も倒さないと本能寺の変として成立しないため、不破が裏で信忠を討ったと考えられます。

不破の当初の目的であった織田内部の崩壊を達成させるためにも、親子共々討つことが必須となっていくのでしょう。
史実の方でも親子を討ったことで織田家が崩壊しています。仮に信忠が生き延びた場合、日本の歴史は相当変わって改変されるのですが、不破は織田家崩壊の方を優先したのかもしれません。
史実改変を楽しんでいた不破が史実通りに動いてくれたことは意外ですが、織田家の内部崩壊の目的とは別に、蒼のことをどこか認めており、敬意を払ったのではないのかなと…

とまぁ不破の心情はさておき、彼が信忠に成り代わっていたという設定にはいくつかの謎が残ります。
信忠に成り代わり、織田家の中心の一員となったとされるのは蒼との対決後で、安土城最上階から飛び降りたあとだと考えられます。

本物の信忠の見た目は黒髪でガタイも不破よりいくらか良く、本能寺の変の1ヵ月前となるシーン(16巻)にも登場し存命であることが分かります。
この時既に不破が織田家の一員となって信忠に成り代わっているはずなので、二人の信忠が存在していることになるわけです。
真逆の見た目の問題もそうですし、二人の信忠が存在するとなると"成り代わる"という表現は相応しくない気がしてくるんですよね。

つまり、信忠に"成り代わった"というよりは共謀してダブル信忠として同時に存在していたのでは?と。
というのも信忠は作中で一切セリフがなく、父である信長とのやり取りも皆無。信長が一瞬正気に戻った瞬間もノーリアクションで、親子とは思えないほど関わりがありません。
史実だとどうやら信忠は信長に対してあまり良く思っていなかったという説もあり、もしかすると群青の信忠も信長に対して好意的ではなく、不破と接点を持って利害関係が一致したので手を組んでいたんじゃないかという説もありそうで。
そして最終的にはその信忠も裏切られ、不破の犠牲者に…という末路だったのかなという妄想。

のちに本能寺の変当日に不破が信忠を討ち、シンプルに考えれば、不破が蛇石に落とした桶の中身は信忠のものであると考えられますが、作中では中身のものが信長か信忠のものかは明かされておらず、第二部の方でも描かれることはありませんでした。

この蛇石に頭からぶつかりタイムスリップした不破と木本徹のことを考えれば、人間の頭部の血液を流すとタイムスリップが発動し、本能寺の変が帰還条件の場合は、織田親子のどちらかの血が流れたら条件成立なんだと思っています。
いずれにしても、蒼たちの激動の本能寺の変の裏でせっせと動いて帰還式まで行った不破もなかなか大変だっただろうなと…
その後、不破は現代の日本に帰還したことが明かされており、唯一の星徳高校事件の生き残りであると第二部で明かされました。

②タイムスリップする場所を選べる?

長野県U市の拘置所に入った不破ですが、今回のタイムスリップはその理由が判明していません。
前作のような蛇石もなく、なぜこの拘置所がタイムスリップしたのかも謎の中で、不破は「拘置所を選んで良かった。」という発言を残しています。
この場所自体がタイムスリップすることを知っていて入所した、という意味にも捉えられますし、不破この場所を選んだからタイムスリップした、という意味にも捉えられます。
前者であれば「なぜ知っているのか?」と考えられますが、前作で蛇石のある星徳高校に入った不破のことなので他のタイムスリップポイントを知っていても何らおかしくありません。
後者であれば、史実改変を行えて、歴史を変えることを(何かに)望まれている不破瑠衣が選ぶことによりなんらかの理由でタイムスリップが発動しても特におかしくはない気がします。

というのも、不破が行きたかったであろう年代(1578年)にタイムスリップ出来ているのも不思議なんですよね。
もしかすると年代も自由に選べる可能性もあるのではないかなと。もしくは、その付近の時代に強制的に飛ばされる運命とか。
少々ファンタジー過ぎる気がしますが、タイムスリップして戦国時代に飛んでしまうこと自体がもう相当ファンタジーなので、このくらい非現実的な能力を持つ人間がいても何ら不思議ではない気がしています。
原作者も「不破は現実離れしている」と話していたので…

③2人の不破が共存出来る謎

そして今回北条軍となったもう一人の不破は1578年の安土城で、信忠に成り代わっている高校生の自分と出会い、書状を3通受け取ります。

この2人の不破についてですが、同じ時間軸で同一人物が共存出来てしまうという展開、かなり斬新であり驚かされるものがありました。
大体のSF作品だと同じ時間軸に同一人物が一緒にいることはタブーであり、大体「もう一人の自分と会ってはいけない」とされ、例えその瞬間は共存出来ても、いずれはどちらかが消滅してしまうことが多いのです。

例えば映画『TENET テネット』では、現在の自分が過去の自分と接触することはタブーとされていました。
不破という人間が時間の影響を受けないとなると、ますます謎さとファンタジーさが増す気がする一方で、不破ならまあアリだなと納得しちゃいそうになるのもまた面白いところ。

しかし、ここでもやはり不破による意味深な言葉が引っ掛かります。
「そう…この座標時には不破瑠衣という人間は二人いる。」という言葉です。
この❞座標時には…ということは、不破が二人いる世界線と一人しかいない世界線もあると考えられるでしょう。
「真・群青戦記」は、滋賀の星徳高校が忽然として消えたという事件が起きた前作と地続きで、同じ世界線の設定です。
しかし、それは拘置所がタイムスリップするまでの話で、タイムスリップして不破が過去の不破と出会ったことで新たな世界線が生まれたとも言えるのではないのかなと。

やがて物語は進み、今度は「真・群青戦記」の世界線の一週目の不破が帰還式を行い、再び彼が現代に戻ることになります。
この不破はもう一人の不破とエンカウントしているので、拘置所の話や今後の企みなど諸々話し合ってると考えるのが妥当でしょう。
彼がどの時間軸の現代に到着するかによりますが、「群青戦記」のあの一週目の不破とはまた違う考えを得た不破が、次にどういった行動を起こしてタイムスリップするのかと想像したらなかなか夢が広がるのではないでしょうか。(戦国の人からすればもう勘弁してくれ!となりそうですが)

ちなみに「真・群青戦記」の北条軍の不破は、自身を「二人目」や「二週目」とは主張していないので、この不破自体が何人目なのかも分かっていません。(怖くね…?)

結局のところ不破瑠衣という人間はタイムリープの使い方次第で、いくらでも増える気がしています。
恐ろしい話ではあるものの、トリックスターで便利なキャラクターだなぁと感心してしまうのと、群青戦記3(仮)が出来た暁にはまた斜め上の方法で登場するのではないかなと。
それとはまた別に、「真・群青戦記」ではこの世の何かを知る男としてエピソードの最後の煽りに書かれていたのでこちらもいつかは明かしてほしいなぁと思うのですが、これこそが「群青戦記」における最も重大な秘密だったりするのかもしれないので、明かすのは厳しい…のかもしれません。
でも、これが明かされる時こそが「群青戦記」シリーズの完結だと勝手に思ってるので、是非とも何らかの機会に教えてほしい気持ちでいっぱいです。

④永遠の17歳の可能性


出典:「群青戦記」コミックス第7巻より

再び「群青戦記」の話に戻りますが、不破は高校2年の17歳の時に屋上から飛び降りて戦国にタイムスリップしました。
蒼たちが来たのは不破が戦国に来てから3年後です。
単純に考えれば、戦国で3年過ごした不破は20歳になるはずですが、作中では3年間過ごしても不破は17歳で、蒼と同じ年齢であると表記されていました。

最初は間違いかと思ったんですが、20歳になってしまうと高校生たちの物語というテーマからもズレてしまいます。
さらに、帰還式の頃には19歳になっているはずの不破が学生服を着て、まだ高校生としてそこに存在しているんですね。これに関しては不破が学生服をメチャクチャ気に入ってるという可能性もなきにしもあらずなんですが…
この年齢の件は連載当時にも読者から指摘されていたそうなので、誰もが不思議に思った現象だったらしく逆に安心しました。
もしかしたら戦国にいると不破は年齢を取らないのか…?とも考えたんですけど、いくらファンタジーじみた彼とは言えしっくり来ずで。

でももしかするとふと、不破は蛇石にぶつかり17歳の年齢で命を落としたことによって、17歳のままで年齢が止まってしまっているのでは?という考えに至りました。

そうすると不破は不老で永遠の17歳になるわけですが、戦国時代に何度も訪れてループしているであろう彼としては違和感のない設定になる上、こういった謎に包まれたタイプの人間は年を取らない方がミステリアスさに磨きがかかるので、よりおいしい気もしています。
17歳って一番美しい時期でもあると思うので…(異論は認めます&何歳だろうと大ファンだよ!)

⑤何度でも転生=不死説

出典: 「真・群青戦記」コミックス 5巻より

不老の次は不死の話となりますが、厳密に言うと不死というよりは転生する、という表現の方が適格かもしれません。
不破は現代で命を絶ったあと、戦国時代に転生しました。
この場合死体の方は現代に置いたままで、親族によると、持ち物からして本人であることが間違いないと。
その後の相良のセリフになりますが、本誌の方では不破が戦国で生きているという話を聞いて「…何で…❝ここ❞は、現代で死んだはずの人間が生きてんだよ…」と震えながら話します。(単行本では変更されています)
逆に考えれば、戦国で命を落とした場合は現代で生きている、という意味にもなりそうなんですが、戦国で命を落とした星徳生が現代で生きているという描写は「真・群青戦記」でも描かれてないため、それはどうやら違うようでした。

「真・群青戦記」のクライマックスでは、ラスボスとなった不破が44話で倒されるわけですが、倒される前に「再会を楽しみにしているよ。」という意味深過ぎる言葉を残しています。
これに関しても「また新作や何らかの展開で再会」、「もう一人の自分が生きているので再会可能」、「不死身なので実は生きている」、「戦国で死んだら現代に転生する」といったことが考えられていて、考察しがいのある言葉として注目されています。

この場にいるのはミチロウとマコトですが、不破は2人に向かって話しているというよりはカメラ目線で、読者に対して言ってるようにも見えるので、この言葉は個人的には読者との再会を楽しみにしている=作者からのメッセージでもあるのかなと。(その次が最終話という駆け足の終わり方でもあったため…)

前作でもそうなのですが、不破はやたら主人公に対し、ここで自分のことを殺すことが最善であるということを主張します。
これは善人である主人公を殺人鬼にするために誘導している可能性もありますが、もしかすると自分は何人もいる or 不死身なので死んでも支障はないからという理由も有り得るんじゃないかと解釈しています。

不破が何人もいるのであればある意味で不死身とも言えるし、戦国(or現代)で命を落として現代(or戦国)へ転生するという行為を繰り返すのであればこれも不死身とも言えますし、色んな意味で不死説もなくはない気がしています。

一方で、

「静寂など、死後で充分…」
「……そんな事は私が死んでからにしてくれないか…」

というセリフから、自身が普通に死ぬことを示唆しているので、絶対的な不死身ではないのだろうなと。

話を戻して、「再会を~」という言葉にどんな真実が込められているかのかは原作者様と不破しか知らないわけですが、再会出来たらそれはもう無限に泣いて喜びます。
44話はずっと曖昧にされていた英雄の定義の答えとなる「戦争時代を止められる人が英雄」であると不破によって明かされます
さらに、戦争を愛するこのキャラが戦争をテーマにした「真・群青戦記」に登場し、再びキーパーソンとなった理由にも納得がいくので、彼を語る上では外せない貴重で心揺さぶられるエピソードになってるんじゃないかなと心の底から思っています。

番外編 不破瑠衣にはモデルがいる?

不破瑠衣というキャラクターにモデルがいたかどうかは分かりません。
が、実際の戦国時代には不破と似たような、武将らを惑わせる不可思議で高スペックな特殊能力を持つ果心居士というとてもおもしれー男なる幻術士がいたそうです。

オカルト的な逸話で、確実に実在していたかどうかも分からない男なのだそうですが、不思議な未来の技術で戦国武将を心酔させたり震えさせた不破っぽさがあって面白いので、興味がある人は読んでみてほしいです。
よくよく考えたら、明智ら戦国時代の人間からすると不破が持つ技術や知識はまるでマジックのように見えたでしょうし、あの強さを見たら心惹かれるのも無理はないなぁ、と。
そもそも現代人からしても不破のスペックは異次元で驚異的なので殊更ですね。

おわりに

その他、不破に関しては謎が本当に多く

・異常な強さの秘密
・指を合わせてトントンする癖の謎
・「理性のある私達がなぜこの時代に来たか分かるか?」の答え
・「私は歴史を変えることを望まれている。」→誰に?
・帰還して拘置所に入るまでの経緯

など…挙げればキリがなく、少しずつではありますが自分が納得いく答えを出せたらいいなと思ってます。
本当は原作で明かされてほしい気もしますが、謎は謎のままが良いという場合もありますのでね…
夢を見つつ原作と照らし合わせながら楽しい妄想ライフを広げたいと思います。
考えるのが果てしなく面白いキャラですが、頭打ちになる時もありますし、当方歴史IQが低いのでその時はよければ「こんな史実や考えもあるよ!」と教えてくれたら喜びます。
謎のキャラではありますが、不破瑠衣自体の魅力も語らずにはいられないくらいたまらないので、そういった記事もいつか書けたらいいなと思います。

長くなりましたが、ここまで読んでくれた方ありがとうございました!
また何か発見があれば、その都度記事に追記していきたいと思います◎


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?