見出し画像

背徳のタマゴサンド。

「ヤング企画をやってほしい」というお話を頂いた。

私は仕事柄、薬膳についての講義をすることがある。だからこれも20代の人たちに食材の効能のお話なんかをする講座かと思っていた。ところがそうではなく、テーマは「心の在り方」についてが良いということだった。

確かにそれは、効能を覚えるより大事なことかもしれない。

目が疲れたからニンジンジュース。

表現の仕方はいろいろあると思うけれど、一般的には薬膳といったら健康のため、不調を改善するための食事や食べ方のことだ。

専門のスクールなどでは食材は症状と紐づけて覚えていく。一通り学んだ人は「最近いつもより目が疲れてるな。ニンジンが目に良いから、毎朝ニンジンジュースを飲んでみよう」というようなセルフ診断やセルフケアができるようになる。もちろん、それも薬膳だ。


おいしくないなら飲まないほうがいい。

でもそこで、「もしそのニンジンジュースがおいしくなかったら?」と考えてみるのがわたしは好きだ。「もしオエッとなったら?」「あーあ飲まなきゃと義務感が湧いたら?」

そういうときは頑張って飲みつづけてもあまり体調に変化はないように思う。ニンジンジュースは効かない? そう考える前に、体が求めていたのがニンジンの効能ではなかった、と考えてみるのがおもしろいのだ。


普段は好きなものがおいしくない理由。

だって「嫌いじゃないものがいきなり全然喉を通らない」って、実際そうなったらちょっとびっくりしませんか?

 今、うちの冷蔵庫にも1/3ほど残ったトマトジュースのペットボトルが、3日くらい放置されている。この間まで五臓六腑にしみこむように美味しかった。暑さがひいて元気になれていた。なのに今のこの扱いのひどさ!

そういうのをただ「飽きた」で片付けてもいいのだけれど、何か理由があると考えて、内臓を擬人化してみる。「その効能もう要らないわ。足りてるし」と言って来てる!と捉えてみるのも、おもしろい。そうか要らないのか、ムリして飲むことないのねと、改めて今飲みたいものの仕切り直しをしてみるのだ。

ちなみに今うちではミントティをつくりおきしていて、これはここ数日たまらなくおいしい。先日までのトマト同様、文字通り五臓六腑に染み込むようだ。ミントが重要なミッションをしてくれているに違いない。内臓も「助かるわぁ、この効能が欲しかったのよ」と満足している。私はこれも、一つの薬膳だと思っている。


ハマりものから体調を診る。

この間、「タマゴサンドが旨くてしかたなくて6日間も食べ続けている」という人に会った。40代前半くらいの男性だ。

その方は関西人で、あちらではタマゴサンドの卵は焼いたものを挟むらしい。それで毎日オムレツを食パンに挟んだものを飽きずに食べ続けているということだった。

ちょっとメタボを気にしてもいるようで、ちょっと背徳感ただよう表情をしていた。ふだんはそこまでタマゴサンドを好きなわけじゃないから不思議だ、とも言っていた。

実は、こうした「意味不明のハマりもの」からも今の体調を推測することができる。まず卵のもつ「血を作る効能」がそのカギをにぎっているのでは?と仮説をたてる。

血をつくるって本来はからだが自分でやれるはずのことだ。でもそれができていない。するとそれができる卵を細胞が欲するのだと推測してみる。そして素直に食べると、これがたまらなくおいしく感じる。自分の体の声を信じて食べることは、とても楽しい。


「ヤング企画」で伝えたいこと。

話がだいぶ遠くにいってしまったけれど「ヤング企画」(このネーミングが個人的にツボなのですが)で、このことをどんな風に伝えようかなとずっと考えています。

一歩間違えば偏食も招いてしまうだろうし、そもそも「何を食べたいのかわからない」ということもあるし、私だってある。20代のころはひどかった。食べたいものなんて源氏パイ、アイス、以上という感じで、本当に食べたいものを食べようなんて、考えたこともなかったのだから。

この場がとても勉強になりそうなので、またレポートできたらと思います。

タマゴサンドのかた、その後。

ちなみに40代の男性からは、後日メッセージが。「タマゴサンド熱は無事冷めました」とのこと。暑くて寝不足でずっと貧血気味だったそう。涼しくなってよく眠れるようになったのか。真実は神のみぞ知るだけれど、血を作る仕事が卵的に無事完了ということだと思う。よかった、よかった。