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010.【麻雀最強戦2024#2】健在のマムシ、怒濤の死神、伝説を継ぐライバル対決…いつまでも錆びつくことないレジェンド達の殴り合い

※この話は麻雀、および麻雀最強戦についてある程度知識のある方にしかわからない話がふんだんに含まれています。ご了承ください。
※長いです。どうかどうかお許しください。

どうも、風茶でございます。

今回は2024年3月31日に行われた麻雀最強戦の2戦目『伝説を継ぐ者』を素人目線ながらレポしていきます。

前回の若手〜中堅女流プロの闘いから一転、今回は実績充分のベテラン勢が8名集まりました。


早速A卓から。

佐々木寿人プロ(連盟)。
前原雄大プロ(連盟)。
土田浩翔プロ(最高位戦)。
沢崎誠プロ(連盟)。

やっばすぎる。

夢のメンツすぎます。


業界を引っ張り続けた大ベテランが揃ったドリーム卓。

贅沢すぎます。ありがとうございます。

東1局。

最初にリーチを宣言したのは、この日も実況を務める日吉辰哉プロの相方ともいうべきこの人。

土田浩翔選手。

このお方、つい最近解説の姿しか見たことないという方はあまりイメージがないかもしれませんが、実は麻雀界の発展に古くから寄与してこられたレジェンド。

麻雀界の伝説の中に名を残す偉大な方なのです。

土田選手といえば七対子、という方もおられるかと思いますが、ここはドラ2枚を抱え5200点から、好形の面子手で先制リーチとなりました。

ここに追いついたのが、愚形上等、『チームガラクタ』の総帥こと前原選手。

しかし、リーチ宣言牌はあたり牌の4索。

力が入ったか、倒そうとした牌が乱れる土田選手。
それだけこの闘いにかけるものがあったように見えます。

裏ドラは惜しくも両面の当たらなかった方。
しかし5200点のあがりは幸先のいいスタートとなりました。

東2局。

寿人選手が役なしのテンパイ。

先ほどあがりを決めた土田選手も一向聴で待ち構えています。

そんな中で…

沢崎選手。

かつてMリーガーとしても活躍し『マムシ』とも呼ばれた大ベテランです。

一度病気で療養されていましたが、こうして復活されてまた麻雀を打つ姿を見ることができるのは嬉しい限りですね。

この局はテンパイできなかった土田選手はオリ。2人テンパイで流局となりました。


それぞれが持ち味をじわじわと見せる中…

試合が動いたのは流局を何度も挟んだ東3局3本場。

前原選手が絶好のカン7筒を引き入れ、二、伍、八萬待ちでリーチ。

そこに沢崎選手が追いつき4、7索待ちリーチ。

さらに寿人選手がカン8筒ながら清一色のテンパイと、場が沸騰します。

ここで前原選手が7索を掴み放銃。
沢崎選手の8000点の3本場、8900点に供託4本の大きなあがりを決め、トップ目に立ちました。

さらに次局の東4局。

苦しむ前原選手に見せ場が現れます。

あれよあれよと鳴きまくり、あっという間に…

裸単騎。

もはや代名詞とも言うべき、防御完全無視、ほぼノーガードの戦法ですが、必ずテンパイしているゆえに相手からすれば現物以外確実な安全牌がないという捨て身の戦法。

そこに…

追いついたのはまたしても沢崎選手でした。

こうなると圧倒的に有利なのはさすがに両面待ちの方。

高目の9筒を一発で掴んだ前原選手が、痛恨の12000点放銃となります。


その後の親番では3本場まで粘りを見せるも、

寿人選手のあがりで箱下に沈んだまま親を落とし、前原選手はかなり厳しい状況に追い込まれます。


南3局1本場。

2着目の土田選手が役牌の白に続いてオタ風の西もポン。素早く混一色向かいます。

ラス前で供託も2本あり、あがりの意味が大きい状況。

ドラの9索が出ていったものの、1、4、7索待ちでテンパイを果たします。

最後はラス牌となった4索を寿人選手が掴みます。
3900点の1本場、4200点に供託2本。

この直撃で、この後親番を迎える土田選手と寿人選手との差は16700点。寿人選手が決勝卓への通過圏内である2着には跳満ツモ以上が必要となり、大きな条件が突きつけられます。


しかし、オーラス。

最強戦の神は、またしてもドラマを用意していました。

寿人選手の配牌は、対子が4つ見えます。
これを見た実況の日吉プロは、現実的な手役として「(ドラを引き入れた上で)リーヅモ七対子ドラドラ」と予測。

次巡でドラの3索を引き入れ、8筒を切り対子手に向かいます。

しかしなかなか手が進まないのが七対子。

そうこうしているうちに、沢崎選手にテンパイが入ります。

平和、高目タンヤオの6、9筒待ち。
沢崎選手は無理する状況ではないため、ここはダマテンとします。

この時点で寿人選手の手牌はというと…

依然として二向聴。

これは決まったか、と観てる人のほとんどが思ったでしょう。

しかし、ここからが神の用意したシナリオ。

数巡後、寿人選手が2枚目のドラを引き入れます。
さらに次巡。

連続で有効牌の西を引き入れテンパイ。

逆転の手を作りあげてリーチをかけます。

このあたり牌の二萬を、沢崎選手が一発で掴んでしまいますが、寿人選手が少なくとも跳満級の手を抱えていると思われる以上、万が一一発で振り込んで倍満、などど言われてしまったら敗退になる沢崎選手。
ここはたまらずオリを選択します。

この時点で二萬は山に残り1枚。
その1枚は……

見事、寿人選手の手元へ。

オーラス開始時に日吉プロがまさに言った通りの、リーチ、ツモ、七対子、ドラドラの跳満に仕上げ、寿人選手が奇跡の逆転2着となりました。

これには土田選手もこの表情。

しかし、やれることをやり切った上での3着に、後のインタビューでは晴れやかに、

「楽しかった。やられちゃったな、さすが寿人だ」

と、寿人選手を称えていました。


A卓からの勝ち上がりは沢崎選手、寿人選手となりました。


続いてB卓。

滝沢和典プロ(連盟)。
荒正義プロ(連盟)。
忍田幸夫プロ(麻将連合)。
伊藤優孝プロ(連盟)。

やっば(以下略)


起家・忍田選手の1500からという比較的緩やかなスタートになったこの対局。

東1局1本場。

さらに畳みかけたい忍田選手が平和ドラ1の形からリーチをかけます。

しかし滝沢選手から追っかけリーチが入ります。待ちは2、5、8筒。

待ちの広さの割に時間がかかったものの…

最後に忍田選手が掴んでしまい放銃。

滝沢選手は先の放銃を取り戻すことに成功。
そしてここから、『タッキータイム』に入ります。

1300オールの2本場、1500オール。

忍田選手からダマテンでとらえ、2900点の3本場、3800点。

2000オールの4本場、2400オール。

着実に点棒を積み重ね、これはもう1枠決まったか、という空気になりかけました。



東3局6本場でようやく忍田選手が1000、2000は1600、2600のあがりを決めたことでようやく局が進むと、

ここまで独走していた滝沢選手をまたしても忍田選手がとらえ、2着目に浮上し、通過圏内に入ってきます。

しかし、この瞬間はまだ、ここまで大人しく場に埋もれていたように見えた『死神』が目を覚ますなどとは誰も想像していなかったのです。


南1局。

ここまでなかなか手の入らなかった荒選手ですが、ここで仕掛けから先制のテンパイにこぎつけます。


しかし、ここに追いついたのが忍田選手。

南、白、混一色、ドラドラの18000点のテンパイ。これが決まると一気にトップ目に立ちます。

打点が圧倒的に違う両者でしたが、ここにもうひとり参戦してきます。
こちらもここまで見せ場のなかった伊藤選手が追いついたのです。

安いながら待ちの広い手。

これをツモった伊藤選手がめくり合いを制しました。

ここで、前半は滝沢選手、中盤は忍田選手が押していた卓上の空気を、死神の優とも呼ばれる伊藤選手が一気に呑み込んでいきます。

まずは親番を迎えた南2局。

2600オールで忍田選手をかわして2着目に立ちます。


続く南2局1本場。

忍田選手が先にテンパイを入れるも、

親番の伊藤選手が追いつきます。

待ちは3、6、9筒。
一盃口のつく高目3筒なら満貫以上確定、さらに一発までつけば跳満からという超弩級のリーチです。

結果は、伊藤選手がその高目3筒を一発ツモ。
リーチ、一発、ツモ、平和、一盃口、ドラ、裏1。6000オールの1本場、6100オールとなり、一気にトップ目に立ちます。

続く南2局2本場でも伊藤選手が4000は4200オールをツモり、かなり離れたトップ目まで突き抜けます。この時点で56200点にまで達した伊藤選手の1抜けはほぼ確定となったといっていいでしょう。

2着争いは滝沢選手と忍田選手の争いになりましたが、忍田選手が果敢に攻めるも差が縮まらないままオーラスへ。

最後も伊藤選手が滝沢選手から切られた九萬であがり切り、B卓の対局は終局となりました。

B卓の通過は伊藤選手、滝沢選手となり、これで決勝卓の面々が出揃いました。


B卓では荒選手の見せ場がほとんど無く、荒選手本人もインタビューで「今日は受け麻雀の練習の日でしたね。受けてばっかりで…」と言うほど手牌に恵まれませんでした。

麻雀というゲームの特性上、こういう対局があるのは仕方ないのですが、最強戦のような着順で勝ち抜きが決まるルールでその席に当たってしまうとかなり辛いですね…(--;)

個人的には荒選手の放銃回避からの、あたり牌を重ねてのテンパイなどは心踊りました。

この局は流局となりましたが、精密機械と呼ばれる荒選手の持ち味が出た局だったといえるでしょう。


さて、今回もいったん某ドラゴン氏の金言をブレイクタイムに挟んで……

……いや待って、園田さん、それ初心者の篠原さんに教える内容なの……?(^_^;)

ケホンケホン……


決勝卓に参りましょう。

沢崎誠プロ(A卓1位)。
佐々木寿人プロ(A卓2位)。
伊藤優孝プロ(B卓1位)。
滝沢和典プロ(B卓2位)。

東1局。
いきなり試合が動きます。

寿人選手が三色確定のリーチ。

程なく1筒をツモり、2000、4000のあがり。
強烈な先制パンチをお見舞い。先ほどの予選卓と違い、リードを得てスタートすることになります。

また、流局を挟んだ東2局1本場も寿人選手のあがりとなり、早くも後ろと大きい差をつけていきます。

東2局2本場、またしても先制は寿人選手。

それに対し、沢崎選手が仕掛けを入れて寿人選手を止めにいきます。

トップどりが必要な決勝卓において、飛び出しを受けた3人は置いていかれるわけにはいきません。

その後、沢崎選手、滝沢選手と追いついていきますが、滝沢選手のリーチ宣言牌が沢崎選手のあたり牌。

沢崎選手の3900点の2本場、4500点のあがりとなり、寿人選手の親番が落ちます。


すると東3局。

ここまで息を潜めていた死神・伊藤選手が一気通貫を完成させてテンパイ、リーチを敢行します。

しかしこれは山になし。

そこにやってきたのは先ほど放銃にまわった親番・滝沢選手。

順目は深いものの、相手は純カラのため、圧倒的有利に立ちます。

結果は裏1を乗せて4000オールのツモあがり。
先ほどの失点をリカバリーし、ライバル・寿人選手に迫ります。


差が縮まった東3局2本場。

寿人選手がカン8筒で得意のガラクタリーチ。

ラス牌となった8筒をツモり、2000、4000の2本場、2200、4200。再び滝沢選手や沢崎選手を突き放します。

そこからは安いあがりが続き、差がなかなか縮まらないまま、局が進んでいきます。


南2局。

ラス目の伊藤選手が仕掛けます。
かなり捨牌も異様で、高そうに見えます。

続いて寿人選手が中をポン、テンパイをとります。

さらに伊藤選手がカン8索でテンパイ。

沢崎選手もリーチと、一気に手がぶつかります。

しかし結果は直後、あっけなく伊藤選手が8索をツモ。
北、チャンタ、ドラ3の2000、4000のあがりとなります。

親被りの寿人選手ですが、局がさらに消化され、いよいよ条件を考える段階に入ってきました。

南3局。

親番を迎えた滝沢選手。

悪い。

2着目とはいえかなり離された今、正直どう進行したものか、と頭を抱えそうです。

しかし、ここでまた最強戦の神は、滝沢選手にドラマを授けようとします。

5巡目の時点での手牌はこちら。

……何やらざわざわと気配がするような。

やがて、寿人選手からリーチが入ります。

待ちは一、四萬。

その直後。

滝沢選手の手牌はいつの間にか、こんなまとまった形に……

ここにあたり牌の一萬を重ねたりしたら……
そんな期待も抱かせます。

しかし数巡後、重なったのは5筒。
こちらが重なってしまっては、一萬と二萬が出ていく未来しかありませんでした。

先に切った一萬が寿人選手への放銃となり、寿人選手の通過がかなり濃厚になりました。

オーラス。

裸単騎にした沢崎選手が、寿人選手がかつてやった『T字置き』をやったりなど、お茶目な一面を見せたりもしましたが…

最後も寿人選手がツモり、自力で優勝を決定づけました。


この結果、今回の麻雀最強戦2024『伝説を継ぐ者』優勝者は佐々木寿人プロでした。
おめでとうございます!


これまで麻雀界を引っ張ってきた面々が己のスタイルとプライドをぶつけ合い、火花を散らす姿は、我々視聴者に麻雀が老若男女問わず楽しめること、そしてその闘牌に熱狂できることを改めて示してくれたと思います。

特に、予選卓で見せた沢崎選手や伊藤選手の衰えることなき爆発力、決勝卓でその意志を継ぐタキヒサのライバルコンビの対決。

視聴者の心を打つドラマは、その席に誰が座っていようと卓上に表現されます。

そしてそれらは伝説となり、その下の世代にもきっと受け継がれていく。


今回優勝した寿人選手も、自団体の最高タイトル・鳳凰位に返り咲き、麻雀界を牽引するレジェンドとなりつつあります。

彼らの意志と魂は、どのような形で『伝説』となり、麻雀界の歴史に刻まれ、語り継がれていくのか。
その姿を見て、またひとつ新たに伝説となる者が次々に現れる……


そのサイクルが起これば、きっと麻雀界はもっともっと発展していく。


そんな未来が少し楽しみになるような、そんな一日でした。


改めて今回素晴らしい闘牌を見せてくださった8名の皆様に拍手を。
本当にお疲れ様でした。


それでは。




おまけ。

沢崎さん、『T』ってやった時めっちゃ楽しそうやったなぁ(^^)

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