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知的障害者が育てた葡萄で作る『ココファーム・ワイナリー』の美味しいワインの魅力

この度、ココ・ファーム・ワイナリーさんが5月のゴールデンウィークにワイナリーでイベントをされるとのことで見学をかねて行ってきたので、

【ココファーム・ワイナリー】さんをご紹介したいと思います。


ココ・ファーム・ワイナリーは栃木県足利にあり、ワイン業界で知らない人はいないほどの地位にあるワイナリー。世界に通用する「最高の一本」を作り続けたその実績は、2000年の九州・沖縄サミットではスパークリングワイン「1996NOVO」が、2008年の北海道洞爺湖サミットで赤ワイン「2006風のルージュ」が、それぞれ関連行事でふるまわれたほど。

もちろん世界に通用するワイナリーとしてその名前をご存知の方が多いと思いますが、ココ・ファーム・ワイナリーのワイン造りを担っているのは、社会福祉法人こころみる会の指定障害者支援施設「こころみ学園」にお住まいの方が日中の作業として栽培・収穫した葡萄を使い、ワイン造りを行っているということでも知られています。

指定障害者支援施設:介護や援助が必要で、なおかつ自宅で生活することが難しい障害者を対象とした入所施設です。知的障害者や発達障害者、身体障害者などさまざまな方が対象となっています。

この度、ココ・ファーム・ワイナリーさんが5月のゴールデンウィークにワイナリーでイベントをされるとのことで見学をかねて行ってきました!

1. ココ・ファーム・ワイナリー


栃木県足利市に入り、目的地を目指していくと、自然豊かな山の麓にみえてきた『こころみ学園』『ココ・ファーム・ワイナリー』という看板。

到着するまで複数のポイント場所にこの案内看板がありました。

ココ・ファーム・ワイナリーに到着するやいなや、目の前の視界が埋まるほどの広さの急斜面に開墾された葡萄畑が登場。

圧巻の葡萄畑と、その上に青々と広がる空を眺めているだけで気分が晴れるような感覚になりました。

2.ワイナリー見学

早速楽しみにしていたワイナリー見学を申し込み、ココ・ファーム・ワイナリーのはじまりや作られているワインについて教えていただきました。

ココ・ファーム・ワイナリーのはじまり

1950年代、当時の特殊学級の中学生たちとその担任教師(川田昇 かわたのぼる:1920年12月18日-2010年12月17日)によって開墾されたこころみ学園の葡萄畑。

この地で葡萄畑を開墾されたのは川田先生の想いがつまった内容でした。

最初に畑をやろうと思ったのは、支援学校の先生をされていた川田先生が、学校に入学してくる子どもたちの手をみてびっくりしたこと。

それは赤ちゃんのようなふわふわな手で、『障害があっては何もできない』と過保護に育てられてきたのだろう、と感じられたといいます。

子どもたちの目をみて川田先生は『これじゃいかん!』と葡萄畑を開墾したされたのがここ・ファーム・ワイナリーのはじまりです。

この葡萄畑では除草剤を一度も撒いたことがないそう。
理由は除草剤を撒いてしまうと草がはえてこなくなから。通常の畑であれば、草が生えてこないように除草剤をまいてしまうことが多いように思いますが、草が生えてこなくなってしまうと、彼らのやることがなくなってしまう。それでは畑をやっている意味がないとのことで、除草剤は撒かない。

ココ・ファーム・ワイナリーの葡萄畑は急斜面にあります。ここで1日作業をすると都市部の生活が息苦しく、自宅で暴れていたような子たちも夜には作業で疲れ果ててしっかり眠るようになったとか。そんな作業を毎日繰り返し、卒業するころにはすっかり農夫の手になって逞しく育っていったようです。

この急斜面での作業は子どもたちの手を鍛えるばかりでなく、忍耐力や体力も鍛える。急斜面なので機械が入れないのですべて人の手でやる。

そんな作業について、川田先生は「キリのない作業には意欲が湧く。終わりのある作業には手を抜く」と言い、果てのない草取りも意欲的に取り組める大事な作業として捉えていたようです。

急斜面であるため、作業はすべて人の手で行う大変さもありますが、その反面、日当たりが抜群な環境のため、糖度24度の葡萄ができるそう。有名な果物屋さんのあまーいメロンでも糖度16度くらいのようなので、恐ろしく甘い葡萄ができる素晴らしい環境。

なぜ葡萄だったのか

葡萄を選んだのにも深い理由が。

まず、畑をするなら果物にしよう、と決めていたようです。
なぜなら果物は果物の成長がみられるので、自分たちの成果が目に見やすいこと。そして、果物はその場で収穫して食べることができるということ。この過程をしっかり味わえるから「果物」と決めていたようです。

そして、葡萄は1年かけて色々な作業があるため、休まることがないとのこと。美味しい葡萄を収穫するまで、1年中畑にでて作業をする必要がある。だから葡萄。そして、葡萄なら加工ができる。さらに葡萄ならワインになれる。障害者の子たちが支援学校で「ワインつくってる」って言えたらかっこいいよなー。と、そんな場面を思い浮かべながら葡萄畑の開墾に踏み切ったようです。

そして
『作るなら、とにかく美味しいものを作ろう。障害者、福祉、ではなく美味しいものを。美味しい物を作れば誰が作っているか関係ない。美味しいから、買う。そこを目指そう。』

というのが川田園長の強い想いだったそうです。

今では2.5haの訓練用の葡萄畑と6.0haの職業用の葡萄畑があり、さらに複数の契約農家さんから葡萄を購入し、ココ・ファーム・ワイナリーの美味しいワインは作られているということでした。

綺麗に整備されたワイナリーを一通り見学させていただき、作業を行う上で気をつけていることや、どんな工程があるのかを約50分間かけて説明をしてくださいました。

3.テイスティング

しっかりと見学させていただいたあとはしっかりとテイスティングを。

テイスティング
受付時間 10:00~17:00
■テイスティングセット5種 ¥1,500(グラス、チケット5枚付)
■テイスティングセット2種 ¥1,000(グラス、チケット2枚付)

ココ・ファーム・ワイナリーのワインを飲み比べしながら、食べながらゆっくりと味わいました。

4.ココ・ファーム・ワイナリーの様子

ゴールデンウィークのイベントには県外からも多くの方が来られており、駐車場は朝の11時時点で満車に。

さいごに


日本で「ドンペリ」の愛称で愛されているシャンパンは人の名前が由来となっています。その人物の名前は、”ピエール・ペリニヨン”。

その人物の名前に敬称である、ドン(don)を付けたのが、高級シャンパン「ドンぺリニヨン」。彼が修道院で酒庫係(セラリウス)としてワインの醸造と管理を行っているときに発泡性ワインを発見し(諸説あり)その後もシャンパン発展に貢献したことから「シャンパンの父」と呼ばれているそう。
そして、彼は盲目であったことも知られています。そのため、香り、味、などに鋭い感性があり、世界中に愛されるワインを作り出せたのではないかと言われています。

盲目の修道士から歴史がはじまったシャンパンをこころみ学園の方が育てた葡萄で、ココ・ファーム・ワイナリーで堪能する。

自分達ができることを、自分達の手でやれる幸せを改めて実感したワイナリー見学でした。

ココ・ファーム・ワイナリー
営業時間
OPEN 10:00~18:00
お休み
年末年始(12/31~1/2)、1月第3月~金曜日の5日間、11月収穫祭前日
各種セミナー受付(当日申込可)
ワイナリー見学:こちら

▼公式オンラインショップ


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