2021年2月、プロレスの日、ターニングポイント

2021年2月、かなり興味深い出来事が多かったので、自分が思ったことを整理しようと思います。本音は素直に試合を見て色々予測したり、こうなったらいいなぁと想像したり、そうならずに悶々としたり、そういうプロレスの見方をしています。ただ今回は少し天邪鬼な視点からプロレス業界のことを考えてみたいと思います。堅苦しいところがありますが、見ていただけると嬉しいです。

ちなみにプロレスの日は2月19日でした。なぜこの日がプロレスの日なのか調べてみたら力道山がシャープ兄弟と戦った日、1954年2月19日のことでした。流石に知らないですね。。まだ戦後、、日本が復興していく中で街頭でテレビを見ながら日本中が熱狂に包まれていた試合だったんだろうな、と想像します。

ブシロードの業績
今回は企業業績を中心に見ていこうと思います。言わずと知れた新日本プロレスの親会社です。2020年12月に四半期決算が出ていて一部抜粋です。

□2021年第1四半期 業績
売上高 8,971 百万円、前年同期 8,306 百万円(+8.0%)
営業利益 -82 百万円 前年同期 1,203百万円(めちゃくちゃマイナス)
⇨コロナの影響がまだ残る中売り上げが前年比で8%上がってます。一方で営業利益がマイナスになっています。

ブシロードの事業
□ライブIP事業
・この事業に新日本プロレス、スターダムが入っています。
売上高 2,320 百万円、前年同期 2,319百万円(+0.0%)
セグメント利益 -91 百万円 前年同期 450百万円
⇨売上は前年同期比で比べるとほぼ変わらず、100%の興行ができない中、本当に素晴らしいです。一方で利益は大きく減少してます。

決算資料からのコメントを抜粋します。
・有観客とオンライン配信を組み合わせたライブ・興行・イベントの開催が増えたことにより、 売上高はビフォーコロナの水準に戻りつつあります。 セグメント利益については、有観客興行の再開によりスポーツ部門は黒字化いたしましたが、 劇団飛行船の公演中止による影響もありライブIP事業全体では減収・赤字となりました。
⇨スポーツ部門は黒字化したようです。これも凄いことですし、色々な工夫をして運営をされている社員やスタッフの方々、レスラーの方々には頭が下がります。

こういうことも書いてあります。
・スポーツ部門:前年同期比では売上高は減少したものの、新日本プロレスでは大型大会「G1 CLIMAX 30」を開催し前四半期比では大きく改善いたしました。動画配信サービスの提供のニーズが増加傾向にあり、新日本プロレスワールドの有料会員数は過去最高の約11万人まで増加しました。
・スターダムの売上げも堅調
⇨新日本プロレスの損益が大きく改善したと書いてあります。そして注目すべきは動画配信ですね。11万人の加入者、月額999円なので約1.1億円/月の売上げです。4半期だと4.4億円で、ライブIP事業における売上の19%〜20%を稼いでいる計算になります。興行しなくても20%の収益があるのは経営上素晴らしいことですし、新日本プロレスが国内外含めコンテンツとして認められているのは嬉しいことです。とは言っても継続的に質の高い興行を行ってコンテンツとしての価値を維持向上していくことが求められます。

参考ですが、ブシロードのメイン事業のIP事業の数字です。

デジタルIP事業(全体売上の74%ですね)
売上高 6,651 百万円、前年同期 5,986百万円(+11.1%)
セグメント利益3 百万円、前年同期 760百万円(▲99.6%)

会社のコメントをまとめるとこのようになっていました。
・デジタルIP事業全体では四半期として最高の売上高を達成しました。 一方、新規IP「D4DJ」のTVアニメ放送・アプリリリースにあたり宣伝販促費を多く投じたため、 セグメント利益を確保することはできませんでした。
説明です
⇨確かにD4DJ、広告やメディア露出など大きく、攻めの投資とのようです。

ここからは個人的な意見です。

売上を増やすためには現状のファンから収益を上げるか、新規でファンを獲得し拡大可能な余白をどれだけ作れるか、の2つです。
新日本プロレスはどちらかというと新しいファンを拡大する方針が強いように感じます。今のAEWとの提携のような関係性などからWWEを意識した海外展開を本格的に行う時期にきているのではないかと想像します。メイ社長が就任された時からこの方針は明確だったように思いますが、ROKUとの提携でアメリカではストリーミング配信されることもその大きな取っ掛かりです。
※ROKUはテレビ・ストリーミング・プラットフォームで、テレビ画面から課金ユーザーは直接新日本プロレスを観戦できるようになります。

視点を変えて次はサイバーエージェントの業績です。
NOAHとDDTの親会社で、子会社のCyber Fightがプロレス事業の運営会社です。
こちらも決算資料から一部抜粋しています。

四半期売上高
131,014百万円
ABEMAは今後、海外からの視聴・課金も強化
⇨売上だけで比較するとブシロードの14倍の企業規模。ABEMAなどのインフラも持っていて、ブシロードと同様にプロレスとメディア戦略の融合が見えます。
ただプロレス事業がどのくらいの規模にあるかは分かりませんでした。


そしてNOAHとDDTのベルトに関わるストーリーは今後非常に注目すべきだと思います。
・2月12日の日本武道館大会で58歳の武藤敬司がGHC3冠ベルト戴冠、そしてNOAHへの入団。
・DDTでは51歳の秋山準KO-D無差別級王座、そしてNOAHへの完全移籍。
⇨これ完全に何か大きなビジョンがありそうですよね。想像が膨らみます。

まとめ
新日本もNOAH/DDTも独自の戦略をもとにひたひたと何かを狙っているのが顕在化してきました。新しい次元に入りそうな雰囲気がプンプンします。そしてその中で繰り広げられるこれからのプロレスが本当に楽しみでなりません。個人的に思うプロレスの醍醐味は非日常性とサプライズです。これから一体何が起こるのか、焦らずに楽しんで待ちたいと思います。

そして最後はWWEです。
売上高は約1000億円、ブシロードの決算資料から推測するとブシロードのプロレスの約12〜13倍の規模、純粋にプロレス事業でこの事業規模です、もう桁違い。日本のプロレスがこの巨大な企業に追いつけ追い越せで迫っていくことも私の楽しみの1つです。

自分の興味だけで長々と書いてしまいましたが、読んでいただいてありがとうございました。

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