〈ククリちゃんとふしぎな町⑤〉

「それじゃあサーチアイの力を借りるデシ。サーチアイ。」

「はい、チクリ魔。」

 サーチアイと呼ばれる物体が宙に浮いた状態でポンと現れた。それは丸くてトゲトゲが付いてて色は銀色の機械的な色だった。


「ククリたち、これからレイド様を助けに行くから着いてくるデシ。」

 チクリ魔ちゃんは僕たちをショッピングセンターの正面入り口に連れていく。すると駐車場の真ん中にバスが停まってた。そのバスは普通じゃないデザインだった。


「さぁ、乗るデシ。」

 僕たちが乗ると、サーチアイの運転でバスは動き出し、宙に浮いた。

「わぁ!」

 みんなは感激した。僕は言った。

「でもやけに協力的だな。」

「お前らとは一時休戦デシ。今はレイド様を助けるため協力してやるデシ。」

 バスは中心街に向かって浮遊飛行した。


「サーチアイ、音楽かけるデシ」

 チクリ魔ちゃんがそういうとサーチアイくんから音楽が流れ出した。

「へぇ、音楽も流せるんだ。いい子だね。」

 西ひつじさんは感心した。

「サーチアイはカメラとして撮影も出来るし、映像はスクリーンで見れるデシ。それにポット、コンロ、レンジ、ジャー、エアコン、冷蔵庫、お風呂のボイラーの機能も全部1人でこなす便利なモンスターデシ。」

 チクリ魔ちゃんが自慢気に語るとトマスキーくんは、

「それは便利ですね。是非販売しましょう。」

 アルカナイくんも共感した。

「一家に一台サーチアイなんていいかもな。」

「それもいいデシ。サーチアイを量産して普及させると人類のことを監視して支配して……。」

「そんなこと企んでたの?」

 僕は笑った。

「そしたらレイド様に褒められるデシ。」

「チクリ魔ちゃんが世界を支配したがるのはレイドくんに褒められるためだったのね。」

 ククリちゃんも笑った。


 やがてバスは佐賀の中心街のメインストリートの到着点、佐賀城のお堀の手前で着陸して停まった。

 サーチアイは喋り出す。

「ギリ様災害予報。今日は佐賀城のお堀はマグマなので上空を通ることは出来ません。」

 それを聴いてチクリ魔ちゃんは青ざめた。

「そうだったデシ。今日はギリ様が気分悪くてトイレで出したものがここに流れたこと忘れてたデシ。」

 ギリというのはチクリ魔ちゃんが従ってるモンスター軍の魔王だった。

 いつもなら水が貯まってるはずのお堀には今日はマグマが溜まってた。

「ってことはこのマグマって魔王ギリのう○○?」

 ひつじさんは嫌な顔した。

「ハッキリ言うなデシ。」

「災害ってそういう理由で起こされてるの?」

 ひなたちゃんもふしぎがる。

「仕方ないデシ。ここから先は自分たちの足で歩いて橋を渡るデシ。」


つづく

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