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富津・金谷のナリワイってなんだろう?

今回は、富津・金谷のナリワイ(生活をしていくための仕事)に着目します。

富津や金谷に住んでいる人はどういった仕事でご飯を食べているのだろうかということです。これを深堀していきます。

富津市、金谷の従業員分布

富津市と富津・金谷で働いている人はどこに多いのでしょうか。それを示したのが下記の図です。

北部の地域で多いことがわかります。同様に、金谷にもある程度の人数がいることがわかります。

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【出典】経済センサス-活動調査(2016年)

続いては、金谷地域における働いている人の分布です。

人が多いところ、特に浜金谷駅周辺から南側にかけて働いている人が多いようです。これは非常に実感にあいますね。

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【出典】経済センサス-活動調査(2016年)

産業別の従業者数

次に富津市の産業別の従業者数をみてみましょう。これがつまり、富津市のナリワイを示しているともいえます。

産業を18分類にし、それぞれの従業者数を100%の割合で表現したものが下の図になります。(2016年時点)

・「卸売業、小売業」「製造業」「医療、福祉」の割合が高い(赤△)
・千葉県や全国平均と比べると、「建設業」「学術研究、専門・技術サービス業」の割合が高い(橙△)
・「運輸業、郵便業」の割合は千葉県、全国と比較して低い(青△)

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【出典】総務省「経済センサス-基礎調査」再編加工、総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」再編加工
【注記】本社で働く事業所の従業者も事業所で計上。
※指定地域:富津市

最も大きな割合を占めるのが「卸売業、小売業」です。全国的に見ても働く人の2割がこの業種に該当する大きなものです。富津市においても約2割の人がこの業種でご飯を食べているといえます。

ちなみに、卸売業とは、生産者と販売の仲介を行うような仕事です。企業でいえば、商社が代表的です。

小売業はもっと分かり易いですね。コンビニやホームセンター、ドラッグストアが代表的なものです。

詳しい考え方はこちらをご覧ください。
https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/80/03/I

それでは、この「卸売業、小売業」をもう少し詳しくみていきます。

「卸売業、小売業」の近年の状況

下の図は、富津市における従業者数の推移です。

やや減少傾向といったところでしょうか。

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【出典】経済産業省「商業統計調査」総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」
【注記】グラフ上の破線は、日本標準産業分類の大幅改定の影響や、「商業統計調査」と「経済センサス-活動調査」の集計対象範囲の違い等から、単純に調査年間の比較が行えないことを示している。
「商業統計調査」該当年において、従業者数は「有給役員」「常用雇用者(正社員・正職員・パート・アルバイトなど)」「個人業主」「無給家族従業者」の合計。売場面積の数値は小売業のみ。産業分類については、日本標準産業分類の改訂を踏まえ、データ掲載期間において共通の業種分類となるよう、業種分類間の調整を行っている。業態分類は、平成26年商業統計調査における業態分類表を参考に、専門分野ごとに整理した10分類を利用している。1999年調査においては業態別集計が公表されていない。

気になるところは、単純に比較できないとはいえ、1994年から2016年の間で約3割ほど減少しているところです。人口全体が30年でおよそ2割減少だと考えるとそれ以上のスピードで減っている状況です。

インターネット販売なども増えたことで、この仕事自体が縮小傾向にあるのかもしれません。


次に、商品販売額の推移です。

こちらも減少傾向ではあるものの、近年増加する可能性も秘めているようにみえます。最新の調査ではどのような数字がでてくるでしょうか。

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【出典】経済産業省「商業統計調査」総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」
【注記】グラフ上の破線は、日本標準産業分類の大幅改定の影響や、「商業統計調査」と「経済センサス-活動調査」の集計対象範囲の違い等から、単純に調査年間の比較が行えないことを示している。「商業統計調査」該当年において、従業者数は「有給役員」「常用雇用者(正社員・正職員・パート・アルバイトなど)」「個人業主」「無給家族従業者」の合計。売場面積の数値は小売業のみ。産業分類については、日本標準産業分類の改訂を踏まえ、データ掲載期間において共通の業種分類となるよう、業種分類間の調整を行っている。業態分類は、平成26年商業統計調査における業態分類表を参考に、専門分野ごとに整理した10分類を利用している。1999年調査においては業態別集計が公表されていない。

最後に、私が気になるのは、やはり農業です。


富津市の農業の状況

富津市で農業に従事している人は全体の0.7%。115人しかいません。

正直にいえば、もう少し多いのかなと思っていました。しかしながら、気になるところではあるので、少しだけ深堀してみたいと思います。

調べることは、3つです。

①農業従業者数
②耕作放棄地率
③農業経営者の平均年齢

①農業従業者数

富津市の農業従業者数がこちらです。

・2009年から2012年に大きく減少し、近年は横ばい傾向

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②耕作放棄地率

耕作放棄地率は、耕作放棄地の農地に占める割合を示しています。

・富津市の耕作放棄地率は千葉県、全国平均を大きく上回る約35%
・この10年で5%程度増加している(千葉県、全国平均を上回るスピード)

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【出典】農林水産省「農林業センサス」再編加工
【注記】耕作放棄地率=(総農家の耕作放棄地面積+土地持ち非農家の耕作放棄地面積)÷(総農家の経営耕地面積+総農家の耕作放棄地面積+土地持ち非農家の耕作放棄地面積)

③農業経営者の平均年齢

次に農業経営者の平均年齢です。

・全国平均とほぼ同じ年齢であり、約66歳

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①~③からみてわかることは、農業業界には新しい人(特に若手)が入ってくることなく減少しており、それに伴い高齢化が進んでいるということです。

そして、人が減っていることで耕作放棄地も増加しており、有効に活用できる土地がどんどん増加していることです。

この傾向が変わる要素は今のところありません。それどころか、経営者の平均年齢が66歳ということを考えると、そのあたりの層の人たちが5~10年後に一斉に農業をやめることも考えられます。

そうなると、富津市は農業としては終わりを迎えます。たとえば、農業を営んでいる地域はある程度まとまっています。これは、土地が必要なためです。この問題が進展すると、小さい集落単位での消滅が考えられるかもしれません。農業がなくなるとはそういった意味を含んでいます。


今回は、富津市の大まかな産業(≒ナリワイ)についてみてきました。

富津・金谷の特徴については、別のnoteでまた分析してみたいと思います。


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