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残り7秒で失点後、木暮賢一郎監督はなぜタイムアウトを取らなかったのか

 フットサルインドネシア代表を率いたモハンマド・ハシェンザデ監督は、試合後の記者会見で「これもフットサルだ。私たちは10秒の間に2失点を喫した。もし最後が残り7秒ではなく、残り10秒であったら、私たちも同じことができていた。でも、これがフットサルだ。2チームがぶつかり合い、戦った。みんなが目撃して楽しんでくれた。これがフットサルだ」と語った。

 10月4日に行われたAFCフットサルアジアカップ準々決勝で、日本を相手に1-3とリードされていたフットサルインドネシア代表は、残り7秒で1点を返した。そして日本のキックオフからのボールを回収すると、再び攻め込み、右サイドからの折り返しをゴール前に詰めていた選手が押し込んだ。残り7秒で2点を取る奇跡的な同点劇かと思われたが、ゴールは認められなかった。得点が入る前に、すでに残り時間はゼロとなり、試合が終了していたという主審の判断だった。

 同点に追いついたと思って喜びを爆発させかけていたインドネシアの選手たちだが、敗戦を知ると、崩れ落ちる者や審判に詰め寄って抗議する者もいた。対する日本の選手たちは、先制された難しいゲームを勝ち抜いたことに安堵していたが、終了間際の幻の失点にモヤモヤした気持ちも残っただろう。むしろそうでなくては困る。

 なぜ残り7秒で1点差に詰め寄られた時に、木暮賢一郎監督はタイムアウトを取らなかったのか。もし、ここでタイムアウトを取っていたら、一度冷静になってキックオフからGKを使ったボール回しを行い、ゲームを終わらすことができていたはずだ。

 試合後のミックスゾーンで、木暮監督に「最後、残り7秒でやられたところについて。もう一度、締めなければいけないこともあるのかなと思うのですが」と振ると、勘の良い指揮官は質問の意図を汲み、「誤解なく言えば、タイムアウトは残っていたので、取ることもできました。そこは自分の決断で、取らなかった理由としては2つですね」と切り出し、なぜタイムアウトを取らなかったのか、理由を説明してくれた。

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