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「日本に勝った後、チームを現実に引き戻すのが大変だった」ルイス・ベルナット監督

写真©勝又寛晃

 AFCフットサルアジアカップ・タイ2024は、まもなくグループステージが終わる。グループステージ最大の番狂わせは、ポッド1で世界ランキング15位の日本代表に対して、ポッド4で世界ランキング47位のキルギス代表が挙げた勝利(3-2)だろう。

 キルギスを率いているのは、ペスカドーラ町田の前指揮官であるルイス・ベルナット監督だ。町田時代にはGKピレス・イゴール、FP甲斐稜人、FP山中翔斗の3選手を指導した経験を持ち、ほとんどの日本代表選手たちとも対戦経験がある。

 そんな日本を破ったキルギスだが、続くタジキスタン戦には大苦戦した。2点をリードされる展開となり、残り3分となる。しかし、ここからパワープレーを仕掛けると、数々のチャンスを作り出して2-2に追いつき、勝ち点1を奪取した。

 前回大会も日本は初戦でサウジアラビアと対戦したが0-1で敗れている。この時は、サウジアラビアが第2節のベトナム戦に1-3で敗れたことで、日本はグループ首位通過を果たすことができた。今回はキルギスが第2戦を引き分けに持ち込んだため、日本のグループ首位浮上はかなり難しい状況(日本が勝つだけでなく、キルギスが韓国に引き分けるか敗れることが必要)だ。

 日本を知るルイス監督はどのように日本戦に臨んだのか。また、日本戦に勝った後の準備では、どんな困難があったのかを聞いた。


町田を退団した後、タイ1部チョンブリを経てキルギス代表監督に就任

以下、ルイス・ベルナット監督のコメント

――素晴らしい同点劇でした。今日の試合を振り返ってください。

ルイス 信じがたい、信じがたいよ。素晴らしいことだ。私はたちはいつも「自分たちを信じないといけない」と話していた。なぜなら、パワープレーの攻撃にしっかり取り組んできたからね。それでも何度もシュートして、シュートして、それでも決まらなくて、最後の最後に(残り12秒で)ゴールが決まった瞬間と言ったら、最高だね。

――おっしゃったようにパワープレーは本当に機能しました。

ルイス 合宿で取り組んできたものでした。監督としては常に、これを使わずに終わることを期待しているんですけどね(笑)。選手たちが自分たちがトレーニングで取り組んできたことを信じていると感じています。それが普段以上の力を私たちに与えてくれています。

――第3節で韓国に勝てば、決勝トーナメントに進めます。

ルイス まずはしっかりリカバリーをしないといけません。日本戦に続き、私たちは素晴らしい成果を残せました。また、フィジカル的にも消耗した試合でした。1週間前、私たちはこのポジションにいることを夢見ていました。この事実に対して責任があることを感じないといけませんし、同時にこの絶好の機会を楽しまなければいけません。もし、グループを首位で通過できるのであれば、私たちは準々決勝でイランとの対戦を回避できます。これは信じられないようなことです。先ほども言いましたが、1週間前、「こういう結果になるけど、契約するか?」と持ち掛けられていたら、一瞬の迷いもなくサインしていたでしょう。私たちのいる状況というのは、そういうものです。

――すべての国にリスペクトを持たないといけませんが、韓国は日本と比較すると弱い相手です。これもより自信を持つ助けになりますか?

ルイス 相手のことを考えるよりも、私は自分の選手たちを信じています。私はいつも彼らに初日から努力を続けてきたし、できる最大限をやってきたと言っています。すべてのチームが同じように努力をしているわけですから、私は今、自分のチームがこの大きな大会で幸運を手にしていると感じています。それが相手のことを考えるよりも、重要なことだと思います。もちろん、彼らのセットプレーや長所など、可能な限りすべてに目を配りますが、最も重要なのは自分たちのことです。

――日本と対戦すると決まった時、どんな思いでしたか?

ルイス 厳しい。とても厳しいと思いました。日本を知っているからこそ、その強さはわかっていました。また、多くのメッセージを日本の友人、同業者から受け取り、彼らは一様に幸運を祈ってくれました。日本で3年間過ごしたので、変な感じでしたが、「今、私は日本にいない。日本を応援していない。なぜならキルギスのために戦わないといけない」と、自分に言い聞かせていきました。

――日本のことを知っていることは、自信になりましたか?

ルイス 2つの側面があります。私もそのように考えましたが、すぐに『待てよ、木暮も私のことを完璧に知っているぞ。イゴール、翔斗、稜人…みんなが私のことを知っている』と思い直したんです。3年間日本で過ごして、毎週末試合をしていました。全員が私がどんなことをやるかを知っているぞと、気を引き締めなおしました。

――堤優太選手や金澤空選手にスペースを与えず、かなり抑えたと思います。

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