フットサル界で誤解されていること①(インターコンチネンタル杯)

別に誤った理解されることを、積極的に正していこうという気はないのですが、情報の真偽を確認するというのは大変なので、誤解されやすいこと・正しく理解されていないことについて少し書いていこうと思います。

今回は第1回ということで、世界一のクラブチームを決めるインターコンチネンタル杯についてです。

元サッカー選手の那須大亮氏がYoutubeでブラジルのMagnusというチームの練習見学をした動画を公開しています。これはすごく価値のあることだと思います。まだ観ていない方は、一度見てみるとよいと思います。


この中で、「Magnusは3度も世界一になったんだ」ということが触れられています。大陸間王者同士が対戦するのがインターコンチネンタル杯です。3度も世界一に輝いた、それはすごいことだと思いますし、そもそもブラジルで勝ち抜いて、南米(リベルタドーレス杯)を勝ち抜いて、その大会に参加していること自体がすごいと思います。

では、インターコンチネンタル杯って、どのような位置づけの大会なのでしょうか?それは、各大陸の王者が集まって行うということですが、本当に世界一を決めるのに相応しい大会なのかというのが自分の疑問点です。ここに大きな落とし穴があると思っています。

サッカーのように巨大資本が入っているわけではないので、それほど優勝賞金が高いわけではないと思います(確認はしていませんが)。大会の権威がそれほどではないと思うのです。そしてなによりも、大会の開催時期は南米の各国シーズン中であり、欧州の各国のシーズン開幕前になります。欧州のチームからしてみたら、【プレシーズンマッチの位置づけ】です。その後開幕する自国リーグに比重を置いて、インターコンチネンタル杯はあくまでもプレシーズンマッチの中の1大会に過ぎないのです。

例えば、Magnusが優勝した大会で言うと、近年では、その時の欧州の参加チームはInter Movistarでした。ただ、この大会に当時のエースであったRicardinhoは帯同していません。10番をつけていたのは当時のInter Movistar Bの選手、いわば2軍の選手です。こうした姿勢がそもそもこの大会を重要視していないということを物語っていると思います。

欧州のプレシーズンはエースといわれるほどの高給取りの選手はチームへの合流が遅くなります。これはチーム側の事情での契約の問題です。例えば、10月末にシーズンが開幕するとして、1か月半前の9月中旬からチームが始動するとしたら、エース級が参加するのは10月になってからです。9月の数日間参加しただけで、「月給」を払わないといけない。これが日割りではないので、高給取りに支払うのが勿体ないし、経済的な余裕がないので、上記のようにチームへの合流が遅くなります。つまり、当時のインターコンチネンタル杯は欧州側のInter Movistarはプレシーズンとしてチームを作り始める段階で、まだまだ仕上がっておらず、エースも帯同していない。あくまでもプレシーズンマッチの一環でしかないのです。これを世界一のクラブを決めるという大会の一側面になります。

ただ、この試合は南米と欧州のそれぞれのGK特徴が分かりやすく、GKにとってのバイブルになる試合だと思って、何度か繰り返し観た記憶があります。また、現在、名古屋オーシャンズにいるDarlanも出場しています。よろしければ、一度観てみてください。

さて、今まで、南米と欧州の話ばかりしてきました。各大陸の王者が集まるということは、アジアの王者も出場するわけです。当然、日本の名古屋オーシャンズにも、かつてその出場する機会はありました。しかし、名古屋オーシャンズは参加しませんでした。後から、当時所属していた選手に聞いてみたら、「たしか、日程的に厳しいので辞退したんだったと思います。」とのこと。日程的に厳しかったら、世界一を決める大会を優先して、他の日程を調整しそうなものですが、アジアのチームでさえ、このインターコンチネンタル杯を重視していないのです。権威のない大会といってもおかしくないと思います。

「3度も世界一になった」それ自体はすごいことだと思います。ただ、その言葉を正直に鵜呑みすると、やはり誤解が生じてしまうと思うのです。物事は正しく理解して、正しく評価する。Magnusは非常によいチームで栄光を勝ち取っているチームではあり、その価値を貶めることはないと思いますが、「世界一」というのを単純に言葉通り受け取らない方がよいのかと感じています。

いじょう、おしまい。


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