U-15で和歌山アベック優勝。結果を出し続ける、azzurro futsal club。中尾 隼土監督インタビュー
男子が『JFA 第26回全日本U-15フットサル選手権大会』、女子が『JFA 第11回全日本U-15女子フットサル選手権大会』。
中学生年代、U-15の男子・女子いずれの大会でも和歌山県優勝を果たした『azzurro futsal club』。
"こだわりの指導"を続ける、結果を出し続ける、中尾 隼土監督にお話を伺ってきました。
徐々に体を起こし、愛知遠征で手応えを掴むことができていた
―コロナウィルスの影響もあり、今年度は活動のスタートも遅れたと思いますが・・・?
中尾監督「遅れましたね。完全に。ただ解除されてからは、遠征もして、ギュッと、濃縮な活動ができたと思います」
ーどのような段取りを経て、遠征へ行かれましたか?
中尾監督「自粛期間中はまるまるチーム活動を休んでいたので・・・。まずは体を起こすトレーニングからでしたね、一ヶ月ぐらいは・・・。徐々に体を戻してから、遠征に行って、そこからチームをつくっていった感じです」
ー自粛期間中のチーム活動は?zoomミーティングなどを含めて
中尾監督「やってないですね。(機材などが無くて)できなかったので、先日、Macやパッドを買いに行きました。今後のために。備えておかないと」
ー体を起こすトレーニングとは?
中尾監督「楽しい雰囲気のなか脳トレから始まり、アジリティを加えて走ったり、体の筋を伸ばすようなトレーニングを、イチからしました。自粛明けは、サッカーなどでも、骨折とか結構ケガが多いのを聞いていたので・・・」
ー期間的には?
中尾監督「3月〜5月の緊急事態宣言が解除になるまでの3ヶ月まるまる自粛期間で、6月に空けてからスタートして1ヶ月くらいですね。その後、7月から対外試合と強度を上げたチームトレーニングを行い、7月末に遠征。その3週間後に県大会・・・、と、そんな感じです」
戦術は小学生年代で仕込んである。中学生年代の方が"簡素化"している
ー以前、バーモントカップ出場を決めた時にも取材をさせていただきましたが、小学生と中学生で、練習や試合の仕方などで、変わる部分はありますか?
中尾監督「変わりますよね。もちろん」
ー試合では、中学生になると、より本格的な戦術をやる感じでしょうか?
中尾監督「(戦術は)どのカテゴリもやるんですけど、小学生の時の方が、こだわった戦術を取り込んでます。中学になったら、フィジカルの要素が入って来るので、あまり逆に細かい戦術は入れてないんです。そのまま、ジュニアで培ったものを上げて行く感じですね」
ーフィジカル要素とは?
中尾監督「コンタクト、スピードなどの部分です。当たり前の部分でもありますが・・・。小学生の時はまだ体も弱くて、筋トレも(充分に)できないので、中学から入れています。高校まで行っちゃうと、(戦術などに関しては)ほぼ何も言わないですね。おおまかな決まり事はある程度ありますが、(細かい)チームの決まり事もありません。アドリブでできるので。試合の流れ的なポイントを指導している感じになります」
ー戦術は小学生の時に教えているということですね?中学で新しく入ってくるメンバーは居ますか?
中尾監督「居ます。そこは(戦術的な理解などに)差が出るところですが、1年くらい、一緒に練習や試合を重ねる中で、覚えて行ってもらいます」
トレーニングの流れは大きく変わっていない。戦い方は、毎年、変えている
―以前、『座学』もされていましたが、トレーニングの流れは、今も、大きく変わってませんか?
中尾監督「変わってないですね。ただ座学の頻度は少なくしました。結局、ピッチ上でもう一度説明しないと覚えてもらえない部分がありましたので・・・。遠征に行った時などに詰め込む感じです」
―大会に向けて、準備はうまくできましたか?自信はありましたか?
中尾監督「ありました。試合前はスカウティングも行いますし、遠征の中で、愛知の強豪チームや名古屋オーシャンズ(の下部組織)相手にも、トレーニングで行ってきたことがある程度できていたので。男子も、女子も、手応えはありました」
―戦術に関しては、男子と女子でやることに違いはありますか?
中尾監督「違います。男子で、女子でというよりは、その年に所属しているメンバーの個性によって、毎年、変えているので」
―関西大会の手応えは?
中尾監督「そこはまだ全然わかりません」
―サッカースタイルのチームも勝ち上がって来ると思いますが・・・、サッカーチームに対する戦い方は?
中尾監督「サッカーチームは『こうやってくるから、ここはこうなるよね』と言う話は子どもたちにしています。例えば、ルールの違い、オフサイドが無いといったところで生まれるギャップがあるので・・・」
相手の対策のまた上を行くのが、フットサルの指導者と指導者の戦いで面白いところ
―セットプレーなどに関しては、特に和歌山県内では対戦相手に研究されたりするのでは?
中尾監督「その上を行くので大丈夫です。1個目をやったら『あれ来るよ』と言われるんですけど、そこはわかっていますし、次のことを考えているので・・・。そこは、フットサルの、指導者と指導者の戦いで面白いところだと思います」
―和歌山県で、フットサルしてくるチームは増えていますか?
中尾監督「残念ながら全く増えておらず、増える兆しも無さそうです」
ー普段の練習は何人くらいで行っていますか?
中尾監督「練習日によってバラバラですが・・・、平均して20人くらい。男女一緒に、高校生も一緒に練習しています。
うちは毎回練習の出欠を取っていません。
いろんな地域から集まってきてくれてますが、各自他の習い事やテスト勉強などもあり、予定がバラバラなので・・・。
中学生は約30人、高校生は約20人が所属しています。
メニューもその日その日で、来てから(メンバーを見て)決めます。キーパーが多かったらキーパーメインでやってあげたいですし、ピヴォが来たらピヴォ当てのトレーニングを入れるとか・・・」
―改めて、アベック優勝できた要因は何だと思われますか?
中尾監督「関西、周りのチームのレベルはある程度分かります。ずっと見てきているので。遠征の試合の様子を見て、『現状で今の完成度なら』と、自信がありました」
―トレーニングで落とし込んでいることができていたからでしょうか?
中尾監督「そうですね。守備でフォーカスしていた部分や、攻撃のシュートまでの間の部分など・・・。思っているぐらいはできていたので」
アイデアが降って来て、オリジナルの戦術をかんがえることもある
ーメンバーは小学生年代から変わっていないのでしょうか?
中尾監督「追加でも入ってますけど、基本は変わっていません。小学生の時に、ベースはつくるんですけど、小学生の時は6年生でチームをつくります。
中学になると1~3年(3学年)をまとめてつくるので、またやり方も変わる。ミックスした形になるんです。だから、ある程度、簡素化した形になるんです」
ー座学を続けて行くことで子どもたちは変わって行きますか?
中尾監督「結局その子の意識次第ですね・・・。練習中、問題が起こった時に、どうやったらクリアできるか?どういう問題が起こっているか?考えてない選手はずっと『わかりません』と答えるだけです。そういう点で言うと、女子の方が伸びます。どんどん、どんどんうまくなっていく」
―それは、素直だからでしょうか?
中尾監督「賢くて、理解力がありますね。素直なのは、ウチは男の子もみんな素直だと思いますが、言われていることを、受け入れて発揮しようとする力が、女子の方が高いと思います」
ー最新の戦術を取り入れたり、探したり、どう勉強されていますか?
中尾監督「それで言うと、申し訳ないですけど、基本、Fリーグは見ないですね・・・。たまに見た時に、『使えそうだな・・・』という戦術はありますが・・・。
実際に試合をやった時に、相手にやられて、『こうやられたら、こうなんねや・・・』と、自チームにも取り入れてみたりすることはあります。
一流のトップ選手がやる戦術を育成年代に、そのまま落としてもマッチしないし、いずれにせよ、アレンジが必要な部分があると思うので・・・
現在、当クラブでは、数年前より、社会人よりも育成年代に力を入れて指導しています。
たまに見るFリーグも、未来ある子ども達のために、最新のトレンドだったり、Fリーグで活躍する為に求められているものを把握するためです」
ーオリジナルを考えることもありますか?
中尾監督「あります。(アイデアが)降って来る時があるので。パッと思いついた時、ワクワクしながら直ぐに紙に走り書きします、取ったメモはいっぱいあります。
実際に子どもたちにやってもらって『使えるね』となったり・・・。ダメだったり、しっくり行かない場合は『やめよか』とすぐやめたりします」
ーバスケなど、他競技を見たりはしますか?
中尾監督「バスケとかはもちろん、昔から観ています。でも年々感じるのはトランジションとフィジカルの部分のスピードとか上がって、目立つようになってきていることです。
昔の関西リーグで、マグや高槻松原は、『どんなことやってくるの?』という戦術がいっぱいあって面白かった。
ただ単にゴリゴリのプレーで決めるよりも、どうやってハメて、どうやっていなしてゴールを決めるか、というのが(昔から)快感でした。
だから例えば、キックインのチョンドンも、試合展開などで、どうしても点が欲しい時に使うこともありますけど、ゴールしても一切喜ばないです。子どもたちにも『ごめんな、俺はあんまこれ好きちゃうねん』と言っています。相手が対策取って、やり合いが(フットサルは)面白いと感じています」
『フットサルの戦い方』ではなく、『ミニコートでの戦い方』が重要
―azzurroが結果を出し続けることができるのは、"フットサルしているから"というのはありますか?
中尾監督「あると思います。活動をしっかりやっていたら、それなりのものはできると思います」
ーフットサルの戦い方とは?
中尾監督「(フットサルの戦い方)というより、サッカー、フットボールでどう勝つか、ミニコートでの戦い方だと思います。フットサルにこだわる必要はなく、小さいコートで戦う方法が大事なんだと思います。
ゴール決めるためには、相手が居るので、『相手をどう崩すか』にフォーカスしたときに、食いつかすのか?ドリブルなど、個で仕掛けるのか?ライン間を取って、シンプルに崩して行くのか?
フットサルチームがエイトやクアトロでボールを回し続け、ゴールに脅威を与えないのは、今のフットサルでは必要性が少なくなってきてると思います、でも、そうやってボールを回し続けやり倒してゴールを目指すのが本来僕のやりたいフットサルでもあるんですけどね。
協会のルールもサッカーに寄って行っていますし、サッカーの人からしたら、その方が(フットサル にも)入りやすい、取り組みやすいのかな、とも思います」
写真・文:北谷 仁治
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Futsal Media Note
フットサルメディアを運営している三者による共同webマガジン。 発起人のFutsalXの河合拓、PANNA FUTSALの海野伸明、フット…
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