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どこよりも速い、フットサルトップリーグ監督インタビュー。B北九州・馬場 源徳編<後編>

ボルクのシャツを着てなくても『馬場のチームだ』とわかるようにしたい

価値観や、自分が信じてきた戦術の優先順位を体現したい。例えば、馬場という監督が居れば、必ずアグレッシブにプレーしてくるし、みんな連動してくるし、切り替えが速いし、徹底しているし、規律があるといったように・・・。

その根底には価値観があるじゃないですか?ハードワークしているからとか、チームプレーを徹底しているからとか、そういう風に『価値観』が滲み出るフットサルがしたいと思っています。

ボルクのシャツを着てなくても、AとBが試合をしていたら、誰が見てもBが「馬場のチームだ」とわかるようにしたいですね。

僕は批判精神が強いので、自分に対しても、チームに対しても。危機感しかないんですよ。「まだ足りない」という意識で常に動いていて、「これじゃダメだ」「もっとこうしよう」というのが常にあるので・・・。

もちろん「ここが良くなった」と、選手たちを褒めることもありますし、『良い準備』をしたいと思いますが、『まだまだ良い準備ができてない』と思うようにはしていますね。

毎回毎回が勝負だと思っています。「もっと、もっと」の積み重ねでしか自分たちは強くなれないと思うので。緊張感が必要ですね。最初の『一個一個のパス交換』から大切にしてます。

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日本人選手は『癖がある』と思う

みんな『癖』があるんですよ。悪い言葉なんですけど。自分の感覚か、自分が居たクラブのことしかやってきてないか、何も考えずにナチュラルにやってきたか・・・。

スペインだと、25、26歳ぐらいの選手になると、色んなチームを渡って、色んなスタイルを覚えて、オールマイティになる選手は居るんですね。

ピヴォットもできればアラもできる。『3-1』もできれば『クアトロ』もできる。『マンツーマン』もできれば『交換』もできる。選べる選手が多いんですよね。

日本はそのあたりが偏っているというか・・・。『ひとつのことだけやってきた』か、『何も教えられていない』か・・・。

癖を抜くのは新しいことを教えるより難しいと思うんですよ。でもそのために指導者が居ると思うのでポジティブには受け取っていますが。

ただ、(選手たちは)しっかりと努力も自分たちの仕事もしているので、彼らの意欲に対して、言うことはありません。

そこはやっぱり僕ら(日本)の育成が無いからだと思います。ユースリーグも無ければ、中学生リーグも無いですし。どこかで誰かが教えて積み重ねて行くしかないと思うんですね。

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『フットサル監督』になるために必要なモノは『真のモチベーション』

普通のモチベーションはみんなあると思います。「フットサル好きだ」とか「フットサル毎日見ている」とか「フットサルの監督になりたい」とか「フットサルはこうだ」とか。

でも、本当に自分の生活がかかって、"それ"でしか食わなくて、貯金が無くても続けて、人に批判されたり孤独でも目標に向かってやり続けるとなると、また違ってくると思うんですね。

そこを僕は「モチベーション」と「真のモチベーション」で分けているんですけど・・・。

本当に徹底して「真のモチベーション」を持って向かっていくのは難しいと思うんですよね。

時間も努力も必要だし、孤独だし、モノも足りなくなるし。その中で足りないものを揃えるための努力をしてでも達成するためには『深いモチベーション』がないと難しいと思っています。

チームに足りないこととか、選手に足りないこととか、スタッフとか、自分に足りないことを、どうにか探していかないと、監督として満足できなくなるじゃないですか?

例えば「チームにお金がない」と文句を言っていたら、良い監督では無いと思うんですよ。自分がそのチームを出て行くか、自分がチームに働きかけて変えて行くしかないと思うんですね。上に行こうとしたらそれしかないと思うんですよ。

「選手が下手だから」と選手のせいにしたら、終わりだと思います。

ならば新しい選手が来たいと思うクラブをつくるか、選手たちを徹底して教えるしかないと思うんですね。

スタッフも同じだと思います。フィジカルコーチが居ないとか、キーパーコーチが居ないとか、育てるしかないと思うんですよ。

育てる中で、モチベーションが無かったら『インスパイア』する、励ましてあげるしかないと思うんです。それをしないと、『良い監督』にはなれないと思うんです。何故なら『良いスタッフが居ない』の方が普通なのだから。

『自分が全て請け負ってやる』ぐらいの気持ちでないと、監督にはなれないと思います。

自分はそれを手足を使って探すことをずっと昔から教育されましたし、『ボルク』に来ても、自分の持っているスタッフは徹底的に毎日、夜の12時に電話をしています。

LINE電話で「ああしたい、こうしたい」と滾々(こんこん)と言って、それをわかってくる人たちが残るんですね。

だから練習になったら息が合うし。これって、「モチベーション」だと思うんですね。

スペイン1部に行くまでに、色んなツテも辿りましたし、引っ越しも7回しましたし、スペイン1部のベンチに入っていましたけど、試合が終わった次の日には自分の車で、リーグの違う試合を観に行きました。

そういうのは『徹底』しましたね。貯金はずっとゼロでした。自分の貯金を使って違う指導者に会いに行っていたので。それでも(サンティアゴは)スペイン1部のクラブだったので、満足行く生活はさせてもらえていましたが。

サンティアゴで1部のベンチに入って、アシスタントもさせてもらって、ある意味『最高峰の試合』を常に観れていましたし、練習も目の前で見れていた。

でも、それと同時に他のチームにも『気になる監督』って居たんですよ。車で2時間くらいのところに。なので、友だちになって、試合が終わった次の日は、みんなオフでも自分けはその監督の試合だけを観に行っていました。

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選手は『フットサルの基礎』を徹底して練習すべき

サッカーとフットサルの『基礎』は違うので。サッカーの『止めて蹴る』とか『走る』という技術をフットサルの技術と混同しない方が良いと思います。

キックの質も違うし、フォームも違うし、体の向きも違うし、抜けて行く動きとか動き方も違うし、ディフェンスのステップ、寄せ方も違うじゃないですか?

その『基礎』を徹底しないと、うまくなれないと思うんですね。

だから「サッカーの基礎があるから」と思って、(フットサルの基礎を飛ばして)戦術練習とかをしてたら、すぐに(壁に)行き当たると思います。

フットサルの技術はフットサルの技術として向き合いながら、フットサルの練習をした方が良いと思います。

4人が『フットサルの基礎』ができていたら、簡単にボールを蹴り出す必要なんかないと思うんですよ。サポートも生まれるし、中に運び出したり、スペースがあればワンツーを使うとか、その基礎力があれば、その状況って、必ず発生してくるので。

選手としてはその『基礎』を徹底して習得することが大事だと思います。

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フットサルはなるべく『ピッチサイド』から観てください

フットサルは『なるべく近いところ』から観た方が良いと思います。

スペインは最前列で見れる。(ピッチが)近いんですよね。色んなものが聞こえて、指導者の声も聞こえるし。みんながブーイングしたり。一体感が楽しめる。なので、試合の全体像が見えなくても、ゴール裏やコーナー近く、またはベンチ裏などが一番ドラマチックで、感情的で、楽しめると思っています。

指導者の方の中には「俯瞰してみた方がわかりやすい」という人も居ますが、個人的にはそれはビデオで(後から見れば)良くて、会場では近いところから観るのが良いと思いますね。

実績ゼロから、どのようにしてスペインで『フットサル監督』になれたのか?

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