世界5位のポルトガルから、敵地で2度のリードを奪った2ゴールを独自に徹底解説#10
※サムネ画像は名古屋オーシャンズ時代のリカルジーニョ(フットサルポルトガル代表)です。
8月18日(水)、フットサル日本代表はポルトガルのリオマイオルスポーツセンターで、FIFA フットサルワールドカップ リトアニア2021に向けた親善試合の第1試合、ポルトガル戦を戦った。
第1ピリオド(前半)は、スコアレスのドロー。
しかし後半の立ち上がりの21分、日本はカウンターから⑬清水 和也が先制ゴール。
25分に、ポルトガルにサイドを崩された日本は1-1に追いつかれるも・・・
28分には⑬清水 和也の前線からのディフェンスから、ポルトガルリーグのベンフィカで活躍する⑩逸見勝利ラファエルが再びの勝ち越しゴールを挙げた。
試合はその後、ポルトガルの反撃にあい、2-3の逆転負けを喫しますが、(Futsal Planetによる)世界ランキング5位のポルトガルを追い詰めた2ゴールを、今回は独自に徹底解説してみます。
『独自に徹底解説』シリーズの10弾目となりました。前回の記事はコチラです。良かったら、合わせてチェックしてみてください。
1点目、⑧加藤 未渚実の背後をつく"右足"ループ。ストライカーらしい、思い切りの良い振り抜きでキーパーのまたを抜くゴール
1点目はハイライト動画の3分14秒から。
ポルトガルの右サイドのキックイン。キッカーがゴール前に蹴り込んだボールを日本は⑥アルトゥールがカット。
受けた⑧加藤 未渚実は右足裏でコントロール後、すぐにディフェンダーの背後のスペースをつく精度の高いループパスを(利き足と逆の)右足で通したのが、まずはお見事でした。
受ける⑬清水 和也も、⑧加藤 未渚実にボールが渡るとわかった時点で"前に行くジェスチャー"を入れながら、走り出しているのが素晴らしい!
位置的には相手ディフェンダーの方がポルトガルゴールに近い位置に居ましたが、①体を反転しないといけなかったのと、②加藤 未渚実がループパスを清水側のスペースに出したことで、ボールは日本の⑬清水につながります。
真上、頭上を越えてくるパスを、うまく走るスピード調整も入れながら体の前に落とした⑬清水 和也はボールを体に当て、ワンタッチ目で加速、ディフェンダーの追随を許さないようにして、ゴールとキーパーの位置を確認・・・
次のタッチで右足を振り抜きます。
ポルトガルの高い位置でのキックインから始まったこともあり、この時、キーパーはペナルティエリアを出ていました。
よって清水のシュートに手を使って対応するにはペナルティエリアに戻る必要があり、(シュートのタイミングを見逃さないように)常に清水を見ながら、バックステップの状態だったので、キーパーとしては難しい対応になったと思います。
ここは推測が入りますが、おそらく清水もキーパーがバックステップでの対応になることを目視して、ドリブルで運ぶよりもシュート、を選択したのではないか?と思います。
キーパーがニアのコースを消すために、清水のシュートに対して足をいっぱいに伸ばしに行ったのに対し、シュートコースは中央に行ったこともあり、ボールはキーパーの股下を抜けて、ポルトガルゴールのネットを揺らします。
⑥アルトゥールの隠れたマーク交換のファインプレー
起点となったのは⑥アルトゥールのパスカットですが、個人的に、このプレーはアルトゥールのファインプレーだったように思います。
この場面、アルトゥールの前には2人のポルトガルの選手が居ました。
1人は自身がマークする⑦ブルーノと、2人目は⑬清水 和也がマークする⑨ジョアン・マトスです。
清水のマークする⑨ジョアン・マトスは外側、ボールに寄る動きを"一瞬"入れます。ここに⑦ブルーノのブロックが清水の外側からかかります。
⑨ジョアン・マトスは実は外によると見せた後、すぐに反対方向に動き直し、ファーに走っています。
日本のアルトゥールは⑦ブルーノと⑨ジョアン・マトスをしっかり視野に入れ、(双方の)動きを確認していました。
自身のマークの⑦ブルーノが清水のブロックに行ったことを確認後はボールだけを見て、『ボールの出所』を探っていました。よってポルトガルのファーポスト、⑨ジョアン・マトスへのパスをカット、⑧加藤 未渚実につなぐことができました。
清水がブロックされた瞬間、アルトゥールは清水のマーク(⑨ジョアン・マトス)を"拾う"準備が瞬時にできていた、からこそのパスカットだったと思います。
2点目、アグレッシブなディフェンスがゴールに直結。ワールドカップに向けた、確かな手応え
試合を通じて前線から積極的な『プレス』を続けた日本。
試合後、ポルトガルのホルヘ・ブラズ監督も「ワールドカップで驚きを与えることができる素晴らしいチームだ」と日本を称え、「私たちは躊躇してミスを犯しましたが、それは非常によく組織された攻撃的なチームに対しては起こりえることです」と日本の守備も評価しています。
その日本の『前プレ』がゴールに直結したのが2ゴール目。ハイライト動画の4分40秒からです。
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