帝国「北極の覇国」と相性のよいカード群(備忘録)-It's a Wonderful World(ドラフト・拡大再生産)

 本記事は、It's a Wonderful Worldのカードリストおよびその画像について、

を参照させていただいています。


導入

 前提として、「荒廃と隆盛」拡張入り・A面プレイ(固有の産出資源・得点有り)の考察です。
 「北極の覇国」は、産出資源:黒黒黒、得点コンボ:黒カード×2点の帝国です。主に黒資源を必要とする黒カードまたは黄カードの構築を起点にしてゲームを進められると高得点を狙うことができると考えます。
「荒廃と隆盛」拡張では、青以外の資源を産出できる黒カードが追加されましたが、それらの黒カードはたいてい他の資源産出を減らしてしまいます。リサイクルで資源を得ることとして、1~2種類の資源産出を諦めてしまう決断も重要です。

特徴

 「北極の覇国」は、前述のとおり、大量の黒資源を産出することができるので、黒資源を必要とするカードの構築を目指すこととなります。黒資源を必要とするカードの多くは青資源の産出を持つため、青資源置き場となるカード(主に青カード)の構築も見据えておくとよいです。

黒資源を必要とするカードの例(主に青資源産出を増やす)
青資源置き場となるカードの例(基本的には青カード)

 黒資源を必要とするカードは黒カードだけではありません。青資源産出を持つ黄カードは黒資源を必要としています。これらの黄カードは「北極の覇国」で産出しにくい色の資源を必要としないことも重要です。

黒資源を必要とする黄カードの例(青資源を算出する)

 「北極の覇国」は、産出資源:黒黒黒と初めから多くの黒資源を産出できますが、プレイ中に黒資源の産出量を増やすことが難しく、ゲーム終了までに産出できる黒資源の総量はそれほど多くありません。黒カード×2点にとらわれて黒カードを取りすぎないように気をつけなければなりません。

黒資源産出を増やす白カードの例(白資源の必要量が多く構築が難しい)

 ここからは「北極の覇国」でゲームをプレイするにあたって、優先的にドラフトした方がよいと感じたカードについて、「得点カード」・「資源産出カード」の2つに分けて考えていきます。先に「得点カード」を取り上げるのは、後で「資源産出カード」を見た時に「このカードをドラフトしてどの得点方法を目指すのか」を明確にするためです。It's a Wonderful Worldで高得点をとるためには、序盤~中盤に「資源産出カード」をドラフトし、中盤~終盤に「得点カード」をドラフトすることが効果的です。序盤でドラフトする「資源産出カード」から後でドラフトしたい「得点カード」を思い描けるようにしたいですね。

得点カード

 It's a Wonderful Worldにおいてはコンボによる得点が大きな部分を占めています。特に「荒廃と隆盛」拡張によって追加されたペアコンボカードはより多くの得点をとる手段です。

コンボの例(青カード×2点)
ペアコンボの例(黄カードと青カードのペア×12点)

 「北極の覇国」が「黒カード×2点」のコンボ得点を固有で持ちますが、黒カードそのものは得点を生みにくいため、黒カードだけを集めても高得点をとることが難しいです。青資源産出を増やす黒カードや黄カードの構築から青カードの構築につなげることでペアコンボの得点を目標とすることがよいと考えています。

ユートピア(黄カードと青カードのペア×12点)

 「ユートピア」は、「荒廃と隆盛」拡張のペアコンボで最大の得点倍率を持つ緑カードです。緑カードではありますが、構築には5色の資源を2つずつと投資家トークンを必要とします。各色資源の必要量は少ないため1~2色をリサイクルまたは赤資源を活用することで十分構築可能です。一方で、投資家トークン2つの確保は意識する必要があります。「北極の覇国」は、白・緑・黄資源の産出で他国を上回ることが難しく、資源産出ボーナスよりも、カードの構築ボーナスで投資家トークンを獲得することを目指すのがよいと感じました。
 「北極の覇国」は青資源産出を増やすことが得意な帝国であるため、青カードは十分な枚数を構築することができるでしょう。黄資源の産出量を増やすこと・黄カードをドラフト・構築することを意識することで、「ユートピア」の得点を大きくすることができます。
 大量得点が期待できることから、積極的にドラフトして良いカードであると考えます。このカードをドラフトしたら、それ以降のドラフトでは黄カードを多く構築することを意識しましょう。

ヴァルハラ(黄カードと将軍トークンのペア×6点)

 「ヴァルハラ」は、構築に黄・青資源と赤資源(青カードの構築ボーナスで獲得したい)を必要とする青カードです。「ユートピア」と比較すると半分の得点倍率であるため単体で勝敗を決めるほどの得点を得ることは難しいですが、他のペアコンボとの共存が狙いやすく、補助的に総得点を伸ばすことができます。例えば、上記「ユートピア」のペアコンボによる大量得点を目指す場合、

  • 黄カードの構築

  • 青カードの構築

の2つをゲーム中の目標とします。これらの目標を達成するためには、黄・青資源の産出を増やすことになります。これら2つの資源は「ヴァルハラ」の構築に必要となる資源であり、構築のために大量のリサイクルを求められることはないでしょう。また、「青資源産出を増やすこと」は、

  • 黒・青資源産出ボーナスによる将軍トークンの獲得

  • 青資源産出カードの構築ボーナスによる将軍カードの獲得

につながります。

構築ボーナス(将軍トークン)を持つ青資源産出カード群の例

以上のことから、「ユートピア」のペアコンボによる大量得点を目指す帝国が「ヴァルハラ」のペアコンボによる得点も併せて狙えることがわかります。「ヴァルハラ」と相性のよいペアコンボ得点カードによる得点を目標とするゲームでは、「ヴァルハラ」をドラフトする優先度を高く設定してよいと思います。

ケンタウルス座アルファ星(25点)

 「ケンタウルス座アルファ星」は、「荒廃と隆盛」拡張における3つの巨大プロジェクト(高得点だが構築に大量の資源が必要)の1つです。構築には黒・緑資源と大量の青資源を必要としますが、「北極の覇国」はこれらの資源を産出することが得意な帝国なので、無理することなく構築することができるでしょう。
 「ケンタウルス座アルファ星」は(他2つの巨大プロジェクトもそうですが)、25点/1枚というすさまじい得点効率を持つカードであるため、構築を狙える帝国であればドラフトの優先度が高いカードであると考えます。このカードのドラフトは他プレイヤーの得点を抑えるという目的も持ちます。

天上大聖堂(黒カードと黄カードのペア×8点)

 「天上大聖堂」は、黄資源産出カードを構築できている場合には十分な得点を生み出すペアコンボ得点カードです。「北極の覇国」は黒資源産出を増やすのが得意な帝国ではないため、構築する黒・黄カードの枚数バランスには注意が必要です(青資源産出を増やす黄カードの構築に黒資源を使用すると、黒カードの構築に使用する黒資源の量が心もとなくなりがちです)。
 「天上大聖堂」の構築を目指す場合には、白資源の確保にも気をつけなければなりません。「北極の覇国」は、相性のよい資源産出カードにしろ資源産出量を減らしてもらうものがあり、白資源産出を増やすことが難しい帝国です。「天上大聖堂」の構築に必要な白資源のために、構築ボーナスで赤資源を獲得できるカードの構築を意識するとよいでしょう。

白資源産出を減らす資源産出カードの例(特定の資源産出を減らす代わりに別の資源産出量が多い)
赤資源を構築ボーナスとするカードの例

墜落船(黒カードと緑カードのペア×6点)・ハイパーボリア(緑カードと青カードのペア×10点)

 「墜落船」および「ハイパーボリア」は、どちらも緑カードの構築を条件の1つとするペアコンボ得点カードです。「北極の覇国」は「墜落船」が条件とする黒カードおよび「ハイパーボリア」が条件とする青カードの構築は得意としていますが、緑カードの構築は本来それほど得意ではありません。ゲーム序盤で緑資源算出に目処をたてることができた場合にのみドラフトの選択肢となるカードであると思います。
 共通の条件を持つペアコンボ得点カードの構築は高得点の獲得につながります。すでに紹介したペアコンボ得点カードの中でも共通の条件を持つものがあるので、ドラフトの際にはこれらの組み合わせを意識するとよいでしょう。

資源産出カード

 前述の通り、It's a Wonderful Worldというゲームの基本は、序盤~中盤に資源産出カードを構築して、中盤~終盤に得点カードを構築することです。序盤に強力な資源産出カードを構築できるとゲーム全体を通じた資源産出量に大きな影響があります。特に第1ラウンドでは強力な資源産出カードを最優先でドラフトするようにしましょう。
 「北極の覇国」は、初めから多くの黒資源を産出することができるため、当然ながら構築に黒資源を必要とする黒カードの構築は容易です。また、青資源を産出する黄カードも構築に黒資源を必要とする特徴があります。総じて、青資源産出カードの構築が得意な帝国であるため、資源産出を増強する青カードの構築も優先度の高い強力な選択肢です。

青資源産出を持つ

 黒資源により構築が可能な資源産出カードの多くは青資源を産出するため、併せて青資源を配置するカードもドラフトしておくこととで無駄なくゲームを進めることができます。

共同事業(産出資源:黄黄黄青青)

 「共同事業」は、構築に必要な資源6つに対して産出資源5つと資源効率が非常に高い資源産出カードです。第1ラウンドで見ることができれば、「北極の覇国」を選択したプレイヤーは絶対にドラフトするべきカードだと思います。構築の恩恵が大きいため、必要な黄資源はリサイクルでまかなってでも早期に構築完了させましょう。構築に必要な黒資源は「北極の覇国」の初期資源でまかなうことができ、黒資源産出フェイズで構築できれば、続く黄資源産出フェイズから大量の資源産出を始めます。
 「共同事業」は、黄・青資源産出を増やすことから、ペアコンボ得点カード「ユートピア」と大きなシナジーを持ちます。

「共同事業」自体も黄カードであるためペア完成の一助となり、ネックになると思われる投資家トークンの獲得も担っています。
 また、「ヴァルハラ」との相性もよいです。

「共同事業」の黄資源産出により黄カードの構築し、青資源産出ボーナスにより将軍トークンを獲得することができます。構築する黄カードは前述の「諜報機関」等の青資源産出を増やすものの優先度が高いと考えます。黒資源の置き場所にもなり、青資源産出を増やすことにより青資源産出ボーナスを獲得しやすくなります。
 「共同事業」の構築により確保した黄資源産出によって「プロパガンダセンター」を構築すると、さらなる黄資源産出の増強(黄カードの構築)を狙うことができます。

産出資源:黄×構築済み黄カード数

 「プロパガンダセンター」は、黄カードの構築により勝利を目指す他帝国が優先してドラフトするカードです。「共同事業」を構築するためのリサイクル黄として活用することもできるので、「共同事業」をドラフトできている場合には、「プロパガンダセンター」を見つけ次第ドラフトしましょう。

パンドラの箱(産出資源:白黒緑黄、構築ボーナス:赤)

 「パンドラの箱」は、青以外の4色の資源産出と構築ボーナスで赤資源を獲得できる青カードです。構築に必要な青資源は他の資源と比べて産出が難しいですが、青資源産出を増やしやすい「北極の覇国」は、他の帝国に比べて容易に構築できるはずです。前述の「共同事業」と同様に、「パンドラの箱」を序盤で見ることができれば最優先でドラフトしてよいと思います。ただし、「共同事業」とは異なり、リサイクル青を4つ集めて資源産出フェイズ前に構築する、という行動は悪手になることが多いと考えます。「パンドラの箱」とリサイクル青のカードを4枚ドラフトしてしまうと、残り2枚のドラフトで大量の資源の置き場所を確保することは困難です。第1ラウンドに「パンドラの箱」をドラフトして、第2ラウンドの資源産出フェイズまでに構築することができれば真価を十分に発揮できます。
 「パンドラの箱」の強みは大きく2つあります。1つはその資源産出です。構築後は、青以外の4色の資源を1つずつ産出することができ、「パンドラの箱」構築以降は、細々としたリサイクル資源を拾う必要がなくなります。4色の資源の中でも黒資源産出の効果を感じることが多いです。「北極の覇国」は黒資源産出を増やすことが難しい帝国ですが、構築したいカードが多くの黒資源を必要とするためです。
 2つ目の強みは、構築ボーナスで赤資源を獲得できることです。ゲームを通じて赤資源が必要となる場面は多くあります。

構築に赤資源を必要とするカードの例

序盤~中盤であれば、産出できない資源を代替することで他の強力な資源産出カードの効果を早期に得られるようにすることもできます。構築ボーナスで赤資源を獲得できるカードは限られているため、構築に必要な資源が控えめな「パンドラの箱」は取り合いになってしまうでしょう。
 「パンドラの箱」と併せてドラフトしたいカードを見ていきましょう。「パンドラの箱」は、「ユートピア」の構築に必要な資源産出を1枚で全て行えるため、この2枚の相性は非常によいです。

「パンドラの箱」の構築後に資源産出フェイズを2回迎えることができれば、「ユートピア」の構築に必要な各色資源の全てを揃えることができます。また、「パンドラの箱」は、「ユートピア」のペアコンボ条件の1つである青カードであり、その中でも構築に必要な資源が少ないカードの1枚です。しかしながら、前述の「共同事業」とは異なり、「パンドラの箱」単独では、十分な黄資源産出には至りません。その柔軟な資源産出を活用して別の資源産出カードの構築を進めましょう。

黄金都市(産出資源:黄黄黄)

 「黄金都市」は、構築に必要な青資源が少ない割に多めの黄資源産出を持つ青カードです。黄資源産出の増強は、前述の「共同事業」などの強力な資源産出カードの構築に結びつくため、序盤に積極的にドラフトしたいカードです。
 黄資源産出を持つ青カードであるため、ドラフトしたラウンドの次ラウンドの資源産出フェイズまでに構築することを目指します。第1ラウンドで「黄金都市」をドラフトできた場合には、併せて青資源産出カードも忘れずにドラフトしましょう。青資源産出カードを第1ラウンドの青資源産出に間に合わせ、続く第2ラウンドのリサイクル青を使って、第2ラウンドの資源産出フェイズ前に構築することで効率の良い資源産出となります。

「黄金都市」と併せてドラフトしたい青資源産出カードの例

 「黄金都市」の構築が完了したら、前述の「共同事業」と同様に、黄資源の置き場所となる黄カードをドラフトしましょう。

「黄金都市」構築後にドラフトしたい黄カードの例①(黄資源産出カード)
「黄金都市」構築後にドラフトしたい黄カードの例②(青資源産出カード)

 「黄金都市」は、黄資源産出を増強する青カードなので、「ユートピア」と相性のよいカードの1つです。「黄金都市」の構築に必要な資源が少ないことも、ペアコンボ得点の仕組みと噛み合っています。

 「黄金都市」を早期に構築できるゲームにおいては、「ユートピア」から得られる得点の期待値も上がります。ただし、「ユートピア」の構築に必要な白・緑資源を得る方法については留意しなければなりません。

空中宮殿(産出資源:黒黒)

 「空中宮殿」は、黒カード群の中で唯一黒資源産出を増やすことができるカードです。序盤に黒資源産出を増やすことができると、その後の青資源産出カードの構築を安定させることができるため、序盤のドラフト優先度が高いカードだと考えます。
 「空中宮殿」は、黒資源産出だけでなく、コンボ得点:黒カード×2点を持ちます。このコンボ得点は、「北極の覇国」が固有に持つコンボ得点と同種で相性がよいですが、黒カードの構築に固執する必要はないと考えます。他にドラフトできている資源産出カードと合わせて、目標としやすいペアコンボ得点カードの条件となる色のカードの構築を目指しましょう。

シャンバラ(産出資源:青×構築済み黄カード数)

 「シャンバラ」は、黄カードの構築(およびそのための黄資源産出増強)を青資源産出増強(およびそれによる青カードの構築)につなげることができる青カードです。青資源産出を黄カードの構築により増強する場合には積極的にドラフトしたい資源産出カードですが、構築済みの黄カード数に依存した資源産出量を持つため、第3ラウンドでもドラフトの優先度は下がりません。第3ラウンドの青資源産出によって構築しても、第4ラウンドの青資源産出において大きな効果を期待できます。一方で、第4ラウンドのドラフトではその資源産出を期待することはできないので、低コスト青カードとして優先度の判断をしましょう。
 黄カード構築を青カード構築に結びつけることができるので、「シャンバラ」もまた「ユートピア」との相性がよい資源産出カードです()。

 序盤から「シャンバラ」をドラフトする場合には、黄カードによって青資源産出を増やすことを心がけましょう。すでに紹介した「共同事業」は黄・青資源産出両方を1枚で担うことができ、大変相性のよい資源産出カードです。

青資源産出を持つ他の黄カードについては後で触れますが、どれも黒資源の消費を抑えながら青(や他の色の)資源産出を増やすことができるため、黒カードにより青資源産出を増やす場合より、総合的な資源産出量が多いと感じます(It's a Wonderful World全体を通じて、黄カードによる資源産出は強力なものが多いです)。
 前述のとおり、「共同事業」を構築できたら、「プロパガンダセンター」の構築も視野に入れましょう。黄カードの構築(黄資源産出の増強)が黄・青資源産出の両方につながり、ゲーム中の目標が明確かつ達成の恩恵が莫大に増えます。

人工知能(産出資源:緑×構築済みの黒カード数)

 「人工知能」は、黒カードの構築から緑資源産出増やす緑カードです。前述の「墜落船(黒・緑カードのペア×6点)」や「ハイパーボリア(緑・青カードのペア×10点)」による高得点を目指す場合には、「人工知能」による緑資源産出の増強が不可欠であると考えます。

 黒カードの構築(黒資源産出フェイズ)は緑資源産出フェイズより先に行えるため、「人工知能」は、とても効率よく緑資源産出を行うことができます(直前の黒資源産出フェイズで構築した黒カードも緑資源産出の際に参照されるため)。緑資源産出を持つ黒カードを構築できれば、緑資源産出量で他帝国を圧倒できるでしょう。

 「人工知能」を序盤から効率よく活用するためには

  • 「人工知能」を構築するための緑資源産出

  • 黒カードの構築

  • 黒カードを構築するための黒資源産出

が必要となりますが、限られたドラフト枚数でこれらを達成することは簡単ではありません。「北極の覇国」は、上記3つのうちの「黒資源産出」始めからある程度確保できているため、他帝国よりも「人工知能」を活用しやすい帝国であると感じます。「人工知能」によって得られる緑資源を活用することによって、「北極の覇国」が不得意としている黒資源産出の増強も狙えるかもしれません。

黒資源を産出する緑カード

 しかしながら、緑カードによる黒資源産出には、構築から1ラウンドの時差が発生してしまうため、黒資源産出の総量には注意が必要です。

装甲護送車(産出資源:黄黄、荒廃資源:白)

構築後は白資源産出が-1されるため注意

 「装甲護送車」は、少ない必要資源から黄資源産出を持つ代わりに白資源産出を失うデメリットがある黒カードです。前述の「共同事業」ほどの強力な資源産出カードではありませんが、毎回それを構築させてもらえるとは限らないため、黄資源産出の基礎を「装甲護送車」で妥協しなければならないゲームも多くあります。「装甲護送車」のドラフト後に「共同事業」をドラフトできたら、前者はリサイクル黄としてしまえることもあり、「装甲護送車」のドラフト優先度も高いと考えます。
 デメリットについて、「北極の覇国」は、もともと白資源産出を持たない帝国なので白資源産出のマイナスはそれほど気になりません(気にしなければ)。ただし、前述したペアコンボ得点カードの中には構築に白資源を必要とするものがあるため、「装甲護送車」の構築後は、白資源の確保に留意しなければなりません。

諜報機関(産出資源:青青)・海底都市(産出資源:緑青青)

 「諜報機関」および「海底都市」は、青資源産出を持つ黄カードです。これらのカードは、「共同事業」や「装甲護送車」の構築後にドラフトしたい黄カード群です。また、「共同事業」がドラフトできない場合に青資源産出を増強する黄カードの候補となります。
 「海底都市」は、僅かながら緑資源産出を持つ黄カードです。緑カードの構築に必要な緑資源を産出するには足りませんが、「北極の覇国」にとっては、「ユートピア」や「ケンタウルス座アルファ星」の構築に必要な少量の緑資源を産出する補助となります。これらの得点カードの構築を目指す場合には、緑資源産出を持つ資源産出カードの構築にも留意しましょう。

移動基地(産出資源:緑緑青青、荒廃資源:白)

 「移動基地」は、「北極の覇国」が持つ初期資源産出を活用して、緑・青資源産出を増強することができる黒カードです。緑資源は、緑カードの構築以外にも、一部の黒カードの構築に必要な資源であるため、少量ながら必要となる資源です。黄カードでの青資源産出増強が望めない場合には、これらのカードを活用して青資源産出を増強することになります。

構築に緑資源を必要とする黒カード群

しかしながら、黒カードによって青資源産出を増やそうとする場合には、必要となる黒資源の総量が多くなってしまうため、黒資源の確保を意識する必要があります。
 また、構築コストの少ない緑カードであれば、十分に構築することができます。前述の「人工知能」は構築に必要な緑資源が少なく、以降の緑資源産出を増強することができるため、緑カードの構築を目指すことができるようになります。

飛行戦隊(産出資源:青青青)

 「飛行戦隊」は、1枚で青資源産出を十分に増強することができる黒カードです。「北極の覇国」は、このカードの構築に必要な黒資源を始めから産出できるため、リサイクルで緑資源を確保できれば、第1ラウンドの青資源産出からその効果を発揮することができます。「パンドラの箱」や「黄金都市」のような強力な資源産出を持つ青カードの構築につなげることができれば、順調なゲーム運びと言えるでしょう。

小惑星の採掘(産出資源:白白白白、構築ボーナス:赤赤)

 「小惑星の採掘」は、大量の白資源産出と赤資源2つの構築ボーナスを持つ黄カードです。非常に強力な白資源産出カードですが、ドラフトしたラウンドの次ラウンドの資源産出フェイズに間に合わせたいことから、ドラフトフェイズにおいて、リサイクル資源の獲得に注力する必要があります(ドラフトの難易度が上がります)。また、大量の白資源産出の使い道を用意しなければなりません(さらにドラフトの難易度が上がります)。「北極の覇国」が本来は苦手としている黒資源産出の増強が容易となることから、黒カードを多く構築する方針の大きな補助となります。

 「小惑星の採掘」の構築後は、大量の白資源産出および構築ボーナスで獲得できる赤資源2つによって、カード構築の自由度が急に広がります。白の資源産出カードの構築によって、黒以外の資源産出も増やすことができるからです。

 白の資源産出カードを構築できるようになることによって、前述の「北極の覇国」と相性のよい得点カードに縛られず、自由に得点手段を選べるようになります。もともとの黒資源産出も補助的に活用することで多くの白カードが構築できます。つまるところ、もはや「北極の覇国」ならではのゲーム運びの必要はありません。他帝国の戦略を参考にしながら無限大な夢を追いかけましょう。

他のドラフト候補カード

 これまでは優先的にドラフトしたい強力な得点カード・資源産出カードを紹介してきました。しかしながら、これらのカードを毎回ドラフト・構築できるとは限りません。他プレイヤーが構築するためまたは他帝国の妨害のためにドラフトすることもあれば、そもそもゲーム中に見ることができないこともあります。
 強力なカードのドラフトができない場合には、次の基準でドラフトするカードを選択するとよいと考えます。複数の基準に該当するカードはさらに高い優先度でドラフトしましょう。

  1. 必要なリサイクル資源を持つカード

  2. 他帝国と相性がよい強力なカード

  3. 他プレイヤーが必要としているリサイクル資源を持つカード

  4. 補助的な資源産出カード

  5. 補助的な得点カード

資源産出・得点カードの優先度は、ゲームが進むにつれて逆転させて判断します(そのタイミングは状況によりけりです)。
 以下では、補助的なカードについて概観します。「北極の覇国」と相性のよい(と考えられる)カードのみ紹介します。

補助的な資源産出カード

 「空挺研究所」は、「北極の覇国」が持つ初期産出資源でちょうど構築することができる黒カードです。黒資源産出フェイズで構築することができ、続く緑・青資源産出フェイズで資源産出してくれる効率のよさも売りです。ただし、資源産出量は控えめであるため、このカードだけでは緑・青カードの構築に必要な資源をまかなうことができず、リサイクル資源のドラフトを意識することが重要です。

 「略奪団」は、少ない構築コストから2つの青資源産出を持つ黒カードです。ただし、構築以降は黄資源産出マイナスのデメリットを持つため、黄カードの構築を目標とするゲームにおいては、序盤に構築してはいけないカードであり、注意が必要です。構築に必要な(黒)資源が少ないことから、黒カードの構築数を増やしたいゲームにおいて重宝することがあります。

 「超音波探査」は、構築済みの黒カード数分の青資源を産出する緑カードです。青資源産出を黒カードによって行なっているゲームにおいて、「超音波探査」の構築は、青資源産出の強力な増強となります。構築に緑資源を必要とするカードなので、「空挺研究所」や「移動基地」と併せてドラフトするようにしましょう。

 「プロパガンダセンター」は、構築済みの黄カードの分だけ黄資源を産出する黄カードです。このカードの構築によって黄資源産出量を加速度的に増やすことができるようになります。「共同事業」や「装甲護送車」のドラフトと併せてドラフトすることで、黄カード構築の目的達成を強固なものにします。

 「黒ひげの財宝」は、黄・青資源産出を持つ青カードです。構築に必要な資源が最も少ない青カードでもあります。構築難易度が低く資源産出を持つ上に、リサイクル黄としても活用することができるので、ドラフトして損することの少ないカードです。

補助的な得点カード

 補助的な得点カードとして扱うことができるのは、

  • 高い得点を持つカード

  • コンボ得点カード

の2つに分類できます。コンボ得点カードの中でも、「北極の覇国」と相性がよいコンボは以下のとおりです。

  • 黄カードコンボ

  • 青カードコンボ

  • 将軍トークンコンボ

補助的な資源産出カードよりもさらにあっさりと概観します。

 「巨大タワー」は、構築に必要な黄資源が少なめの黄カードです。ペアコンボの条件を満たしながらそれなりの得点を持つことから、得点の伸びに期待できます。構築に白資源・投資家トークンを必要とすることには注意。

 「月面基地」は、3色の資源と赤資源によって構築することができる黄カードです。それぞれの色の資源必要量が少なめなので、どのゲームにおいても構築を目指すことができます。構築ボーナスで獲得できる将軍トークン×2が将軍トークンコンボによる得点に影響し、数字以上に得点をもたらすカードです。

 「センター・オブ・ジ・アース」は、青資源・将軍トークンで構築できる高得点を持ったカードです。将軍トークンコンボを構築するほど、得点の旨味が少なくなることには注意しましょう。

 「アレキサンダー大王の墓」は、青資源のみで構築でき、構築ボーナスとして将軍トークン2つを獲得できる青カードです。「センター・オブ・ジ・アース」とは対照的に、将軍トークンコンボを備えるほど高得点を生んでくれます。

 「古代宇宙飛行士」は、得点に加えて、赤資源2つを構築ボーナスに持つ青カードです。構築後は緑資源産出を補助してくれる効果も持ちます。

 「国際会議」は、黄資源・投資家トークンを構築コストに黄カードコンボ得点をを生みだす黄カードです。「プロパガンダセンター」の構築等により、十分な黄カード構築の基盤があれば、大きな得点カードとなってくれることでしょう。

 「ヘスペリデスの園」は、黄カードコンボ得点を持つ青カードです。また黄コンボ得点を持つ黄カードであることから、「ユートピア」のペアコンボ条件と噛み合っているカードデザインです。「博物館」とWIN-WINな関係を築くことができます。

 「惑星資料庫」は、青カードコンボ得点を持つ緑カードです。「移動基地」が構築できていれば、構築に必要な資源の確保に安心できます。このカードの構築後は、増えた緑資源産出も生かせるようにドラフトしましょう。

 「博物館」は、最軽量の黄カードで、青コンボ得点を持ちます。つまるところ「ユートピア」との相性がよいカードの1つです()。黄カードを条件とするコンボ得点に最小のコストで寄与することができます。

 「北極基地」は、黒・黄資源によって構築できる黄カードです。青資源産出を持つカードですが、構築に必要な資源が多いため、中盤~終盤に構築して青カードコンボ得点を期待するカードと考えています。

 「失われたムー大陸」は、青カードコンボによる得点と赤資源2つの構築ボーナスを持つ青カードです。2つの赤資源を獲得できることから、早期に構築完了させるメリットも十分にあります。

 将軍トークンコンボ得点を持つカードは、全7種類あり、「北極の覇国」が構築しやすい青カードに多いです(4種類)。

将軍トークンコンボ得点を持つ青カード

中でも「若返りの泉」は、赤資源3つの構築ボーナスを持つため、構築の見返りが大きいと思います。これらすべての構築を目指す必要はなく、将軍トークンによる高得点獲得を狙う他プレイヤーの妨害としてドラフトすることが有効です。一方で、「北極の覇国」は、将軍トークンの構築ボーナスを持つカードの構築が得意ではないため、軍人トークンコンボによる得点は補助的になものと捉えましょう。

まとめ

 ここまで紹介・説明してきたカードについて、「北極の覇国」でゲームをプレイするときのドラフト優先度を方針ごとにまとめます。再掲するカードの他にも補助的な資源産出・得点カードのドラフトおよび構築によって、ゲームを進めることになります。

黄カード構築を目標とする方針

ドラフトしたい資源産出カード

 増強した黄・青資源産出の使い道も併せてドラフトできると嬉しいです。また、「ユートピア」や「ヴァルハラ」のような、強力なペアコンボ得点カードが見えたときにはぜひドラフトしましょう。

緑カード構築を目標とする方針

緑カード構築を目標とする場合の流れ

 緑カードは全てがユニークカード(ゲーム中に1枚しかない)であり、代用できるカードが他にないため、上記のカードをドラフトできない場合には、緑カードの構築を中心とする方針は取りにくいです。「人工知能」の構築後は、緑資源産出を増強し(軽量の黒カードを構築して)、緑カードのドラフト運を祈りましょう。

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