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ポンコツ芸人

私は自他共に認めるポンコツ。スマホも鍵も無くすわ落とすわ、チャリで出かけて徒歩で帰るし、無くした財布は冷凍庫。左右もとっさにわからなければ、東西南北なぞもってのほか。道を歩けば棒(電柱)に当たるし、左右のサンバルばーらばら。昨日は歯医者でマスク外すつもりがメガネ外して恥かいた。

まぁいわゆるADHDなんだと思う、たぶん。生きるのなかなか大変だけど、ネタが日々増えていくのは便利とも言える。こういう失敗談ってちょっとした場をつなぐのに便利なのよね。スモールトークから長尺エピソードまで、種類も豊富で話題には困らない。あと、ガタイよくて目つき悪いから怖がられやすいけど、ポンコツネタ話すと相手が結構ほぐれてくれる。

でも最近会社のミーティング中にポンコツやらかした時、いつものようにヘラヘラしてたらふと、なんだか急に恥ずかしくなった。あれ、なんでだろ。自分のポンコツにはもう慣れたつもりだったのに。

なぜか考えてみると、原因がわかった。「ウケる人」の不在だ。数ヶ月前に1番仲良かった同僚が辞めた。そいつが私をクソバカにして笑ってくるやつで。私にしたら日常でもはや気付きもしないようなポンコツを、いちいち拾い上げてはバカにしてくる。ムカついてたけど、今思えばそいつが笑うと周りも笑って、盛大にウケた。いつの間にか私は自分のポンコツを、武器と勘違いしてたかもしれない。場を沸かせる売れっ子芸人みたいな気分で。でも相方がいないと全然機能しないただのポンコツだったのだ。改めて書くと超恥ずかしいけど。

私のポンコツは、ウケる人がいないとただの不便だ。ヘラヘラしてたら「ただの痛い奴」だと気づいてしまったから恥ずかしかったのだ。

あいつ、クソやろうだと思ってたけど、実は自分にとっては(都合の)いい相方だったんだなぁ…。

とはいえ私のポンコツはそう簡単には治らない。あこまで心から人をバカにできる相方候補も周りに見当たらない。ポンコツを自力で瞬時にウケに昇華する技術を身につけないといけないのかもしれん。じゃないと日々襲い来る自分のポンコツにメンタルやられる。後から笑い話として編纂することはできても、起きた瞬間の対応力が足りないのだ。

コンビのボケがピン芸人になるって、こういう感じなのかもなぁ。こりゃ大変だ。

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