しまじろうと留守番
この土日は、某学会のブースのお留守番。
先生方のご厚意で、少し聴講もできた。
会いたい先生に会えて、多少の打ち合わせ的な事もできて、実り多しだった。
規模としてはあまり大きな学会ではなく、
託児がなかったが、ひとりの先生が小さい人と一緒に参加していた。
「私、昔子育て支援センターのボランティアをしていて、
多少の研修も受けたから、いざという時は声かけてください」
なんて話のネタにと思っていたら、
「本当にお願いしちゃってもいいんですか」と、先生は至って真剣だった。
聞けば先生には、
これからシンポジウムに登壇するという大役が控えているとのこと。
同じ職場から複数人参加しているから、
自分の出番の間は同僚が見てくれる予定にはなっているが、
絶対大泣きすると思うので...と。
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さすがお母さん。
数十分後、予想通りの事態になった。
「先生、そろそろ」と声がかかったとたん、
お母さんのスイッチが仕事モードに切り替わった瞬間を、
小さい人は敏感に察した。
うとうとしていた彼女は、お供のしまじろうを握りしめてギャン泣き。
「先生、頑張って!」と、小さい人をビリビリひっぺがし、
私は外へ。先生は会場へ。
パニックになって泣く小さい人には、
今のクルシミを凌駕する楽しい事を見せ、注意をよそに向けるのが良いのだ。
私がめっちゃ痛い時と一緒だ。
ということで、会場前を走る阪神電車(山陽と近鉄が相乗りしていて、
色んな見た目の電車が来る)を一緒に眺めて過ごした。
小さい人は観念して、お留守番を頑張る事にしたらしい。
五分ほどで泣き止み、カラフルな電車たちをひたすら待っている。
この辺、保育所で「預けられる」経験をしている子はかしこい。
しかし、はじめての場所で独りぼっちは相当辛いようで。
バナナにもお水にも見向きもせず、しまじろうを離さず、
表情は固まったまま、初対面のおばちゃんにしがみついていた。
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そろそろかなあと思った頃、お母さんが戻ってきた。
彼女の全ての表情筋がほぐれて、
ぽろぽろと涙をこぼし「まーーまーー」と。
ひと仕事終えたしまじろうは地面に落ちそうになった。
ずっと緊張して過ごしていたんだろうなあ。
おもちゃや絵本があれば、ちょっとはお互い楽だったのに。
私たち(お母さんが一番)、がんばったなあ。
医学業界の働き方改革は、まだまだ道半ばのようだ。
当事者だけに背負わせるのではなく、
みんなで知恵を出して越える山だと思うなあ、そこんとこ。