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カンザキイオリは天才ではない。

※これはカンザキイオリへの公開書面です。

カンザキ君へ。
本当にお疲れ様。
今日のライブを見せてもらって沢山の事を考えたよ。

素晴らしかった。感動した。泣いた。

身内として君の今迄の事をずっと観てきたからこそ、こんな言葉を簡単には言えなくて。言いたくなくて。
この気持ちをどう表現したらいいのかを今ずっと考えている。

自分は「この子は天才だ」みたいな事をすぐに他人に言ってしまうんだけどさ。
それは僕の仕事柄「才能」を誰かしらに“採用”してもらうのが自分の仕事でもあるからで。
だからある種の職業病なのだけれど「カンザキイオリは天才」などとセールストークで言ってしまっている。

でも良く考えてみると「最初からの天才」なんて殆どいなくて。天才がいるとすると、きっとなんらかの試練、過程の中で「普通の人」が天才になっていくのだと思うのだよね。

ここ2年間くらいカンザキ君がずっと「歌」に関しては、マネージャーと二人三脚で悪戦苦闘してきているのを僕もみてきました。

正直言うと、カンザキ君は歌に関しては“先天的な才能”は無いと思っていた。

でもカンザキ君がリハと本番の時に“持てる力全て”を使って、とんでもなく成長を遂げた「今のあなたの歌」を聞かせてくれた時に、お世辞ではなくて本当に涙が止まらなかったんだよ。
それはとても感情的で素晴らしい情景だったと思う。

思えば僕は、カンザキ君に過去余計なアドバイスをしてしまっていたのかもしれないね。
君が「セルフボーカルアルバム」をやりたいと言い出したのはたしか2019年頃だったと思う。
その当時にセルフボーカルアルバムを結局リリースしなかったのは、僕とマネージャー達とカンザキ君が長く話し合った上での結論だった。

2年前のあの当時、「セルフボーカルアルバムのリリース」を止めた事自体は今もそこまで間違えてなかったのかなと思っています。
でも僕は当時もしかしたら、あなたの才能を疑ったような事を言って君を傷つけてしまっていたかもしれない。

あまりにもリスクを考えすぎて、結果として君の可能性を絶つようなことをしていたのではないか。※考えすぎなのかもしれないけれど。
たとえ失敗したとしても、それも含めて「君の権利」でもある事を僕は忘れていたのかもしれないね。

でも君はそれを正面から真摯に受けとめた上で、驚く程の努力と情熱でそれを本気で打ち返してきて。
まさかの「歌」で説得力を伴って、もう一度君が立ち上がってきた事に対して、もう「感動」なんて言葉だけではとても返答が出来ないんだよ。

君、弾き語りなんてそんなに出来なかったじゃないか。一体どれだけこのライブに賭けていたんだよ。

それを目の当たりにした瞬間に「マーケティング」とか「勝てる音楽」とか本当にどうでも良くなったんだよ。

活動を継続させる為にビジネスはとても重要だと思う。
僕ら運営の仕事は第一にそれなので、「アーティストに失敗させない事」その一点にずっと拘ってきた。
でも君の「不器用な男」を観て、裏方の予測をはるかに超えていくのもまた、本当のクリエイターなのだと思い出せたんだ。
「どうしてもはみ出てしまう予想外なもの」こそが本当の芸術だった。僕はそれをいつの間にか忘れていた。

僕が間違えていた。
ごめんなさい。

そしてあらためて、今思うこと。

カンザキイオリは天才ではない。

素晴らしい才能を持ってはいるが、産まれもった先天的な才能では無くて、後天的な才能だと思っている。

はっきりいって君は「天才」と言うには全然スマートではない、泥臭くてお洒落さのあまり無い人間だ。
でも君はどんなに傷ついても、諦めないで前に向かう事が出来る。突破してくるその力は、その辺の天才なんかよりも余程凄いと思うんだ。

だから僕は、今後カンザキイオリを簡単に天才とは言えない。※たまに勢いでいってしまうかもしれないけど。

そして同時に「君が観せたかった美しいもの」をなるべく沢山の人に観てもらいたいと思ってる。

僕らの予定調和の予測を君の歌で圧倒的に超えてくれ。

それがきっと「昔の君のような人達」にとって、呪いばかりの今の世界で少しの希望になるかもしれないから。

心からありがとうという気持ちになったし、変な話なんだけど、なぜだか負けたくないなあ!とも思えたんだ。そんな気持ちにさせてくれて僕は本当に嬉しいんだよ。

今回の公演は、なるべく沢山の人にみせたいなと思っています。
だからこその「全編無料ライブ」だったので。

そしてもっとこの公演を拡げたいよね。

引き続き頑張りましょう。
そして運命を変えよう!

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