春猿火1stワンマンライブ「シャーマニズム」、そして耐諷について。
いつも応援してくれてありがとうございます。
春猿火1stワンマンライブ「シャーマニズム」を観ていただき、ありがとうございました。沢山のお褒めの御感想を頂き嬉しい限りです。
プロデューサーとしていくつかお伝えしたい事があり、このnoteを書いています。
今回のシャーマニズムに関しては「今迄の神椿のライブの延長戦」としての技術的な部分のアップデートというよりも、春猿火がずっと抱え続けてきた「想い」をどうやって表現するかの方が大変だったように思います。※勿論技術的にもチームで色々な試行錯誤はしています。
少しだけ昔話をすると春猿火との最初の出会いは「KOTODAMA TRIBE」というプロジェクトでのオーディションがきっかけでした。この2018年の冬から立ち上げたプロジェクトの主要メンバーに僕と耐諷はいました。
そのプロジェクトは様々な事情がありクローズする形になったのですが、上手くいかなかったプロジェクトの中で「春猿火とヰ世界情緒のオリジン達」と出会えた事が結果としては最大の収穫だったのではと思います。
プロジェクト自体は残念ながら終了する事になってしまいましたが、一年近くずっと頑張ってくれた二人に心から感動し「別の形」でも一緒に頑張っていきたいと耐諷と一緒に考えて、春猿火とヰ世界情緒が産まれました。
そしてその後、様々なクリエイター達によって徐々に「春猿火としてのアーティスト像」が育まれていきました。
その過程の中で彼女について分かった事は「自分への自信の無さ」と「他人への深い優しさ」です。
この二つが彼女を春猿火足らしめているのだと、途中から気が付きました。
でも何より彼女が凄いのは、誰にも出来ないレベルで「裏側」で努力をし続けてきた事なのだと思います。
春猿火を始めるまで彼女はラップなんて一度もした事が無かったのです。
勿論ラップ指導の先生を付けて長く訓練してきたのですが、とはいえなかなかこのレベルまではもっていく事は普通は難しいのです。
今回のライブ「シャーマニズム」には本人や彼女を取り巻くクリエイター達、運営である私達の様々な想いが込められています。
観測者の皆様も含めて、一人ではなくチームで頑張ってきたからこそ「シャーマニズム」は忘れられない感動的なステージになれたのだと思います。
本当にありがとうございました。
そしてもうひとつ大事な事があります。
それは昨日の耐諷の発表の件です。
観測者の皆様にはこういった結果になってしまった事を申し訳ないと思ってます。ただ色々な複雑な想いはありますが、僕としては彼女が「スタジオをやめずに会社に戻ってきてくれただけ良かった」という気持ちが強いです。
せっかくなので耐諷との出会いからお話させてください。
耐諷がTHINKRを訪ねてきてくれたのはまだKAMITSUBAKI STUDIOが出来るずっと前の時期です。
とても若い彼女に最初に会った時、素晴らしく感受性の高い頭の良い子だなと感じたと同時に、なんでTHINKRのような「知名度の低い環境も良い訳では無い会社」に入りたいんだろう?と当時は不思議で仕方なかったです。
既に素晴らしいキャリアを持つ彼女を受け入れる様な体制が、その当時のTHINKRにはまだ無かったと思います。
それでも音楽や物作りへの熱い気持ちを感じ、ジョインしてもらった後は、二人三脚でいくつかの実験的なプロジェクトを一緒に立ち上げていきました。その殆どは残念ながらちゃんと形にはならなかったのですが、ようやく実現化出来たのが「春猿火とヰ世界情緒のデビュー」でした。
だから二人の育成は基本的に彼女の主導で進んできましたし、僕は監修という立場で相談に乗りながら日々サポートしてきました。
過去の仕事の中で”何もしていない偉い人達”が部下の実績だけを持っていくようなやり方を何度も見てきました。“肩書きと仕事内容が見合ってない状況”が嫌でそういった仕事からは距離を置き、僕は今この仕事をしています。
頑張ってきた人が当たり前にフロントに立てるようなチームでありたい。
そんな気持ちもあって僕自身はこのライブには当初監修として参加し、プロデューサーとしてはクレジットしない方向性でしたが、耐諷の体調の件がわかり急遽途中からライブにフルコミットする事になってしまいました。
そしてバトンを渡されたからには、「耐諷と春猿火が観たかった世界」を実現させることが僕の使命にもなりました。
「シャーマニズム」に関しては”彼女が初めて立案したライブ”だったので、弟子の様な存在である耐諷には、出来ればプロデュースワークを一通り経験してその「大変さと喜び」をしっかりと享受して貰いたかったのです。
だからこんな結果になってとても残念だと思ったと同時に、もっとしっかり僕がサポートしてあげたら良かった...と非常に後悔をしました。
耐諷には本当に申し訳ないと思っています。
そして耐諷がシャーマニズムチームから半分外れる事になった時に(当たり前ではあるのですが)春猿火の落ち込み方が尋常ではなくて、一時期はどう慰めていいのかもわからないような状態でした。
その後春猿火と沢山の事を話し合い、このライブは「春猿火自身の為」だけではなく「耐諷の為」のライブにもしよう!と二人で決めました。
だから当初のアイデアを大きく変更させずに、より現実的な形に落とし込む構成のアレンジを僕の方でさせて頂きました。
「シャーマニズム」は”耐諷が当初描いた世界感”を僕が具現化する、耐諷との最初で最後の共作となりました。
ちなみにライブのOPや途中に入ってきた「猿のお面」は耐諷自身をイメージしたものです。色々あって結果的には出せなかったのですが、あの猿のお面は最初から耐諷の為にデザインしたものだったのです。
「春猿火と観測者の為のライブ」であり、「春猿火と耐諷の為のライブ」でもある。
それがシャーマニズムの個人的な裏テーマでした。
時間が足りなさ過ぎてとても大変ではありましたが、なんとか形になって今はとてもほっとしています。
そして耐諷は春猿火とヰ世界情緒の仕事からは手を引きますが、引き続き「同じ会社の仲間」として無理をし過ぎずに仕事をし続けていくので、皆さん安心してください。
昨日のお知らせに予想外に沢山の声を頂き、本人も凄く喜んでいます。
そして春猿火とヰ世界情緒に関しては、新体制が落ち着くまでは僕の方でも今迄以上にしっかりみていきます。
御心配をおかけしてすみません。
皆様本当にありがとうございました。
KAMITSUBAKI STUDIO プロデューサー
PIEDPIPER
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