いぬじにはゆるさない 第7話「過去」
純度100%の悪意をぶつけられると、どれほど精神を消耗する事か。
できれば一生知らずに過ごしたかったが、25歳の終わり際、私はそれに直面していた。
当時の私は、資格の勉強をしつつ、小さめのショッピングモールにある小売店でアルバイトをしていた。
いや、順番から言えば、逆だ。
新卒で入った職場を体調を崩して辞め、とりあえずアルバイトをしていた頃、恋人が出来た。その人と結婚する予定で、更に言えばその三つ年上の恋人は比較的に裕福かつ相手に家庭に入って欲しいという考えだった事も