見出し画像

令和5年2月2日 赤口

京都拾得

1.潮騒
2.あそぼうよ
3.天使とドライブ
4.お嬢さんよろこんで
5.旅に出なさい
6.ウルスリ
7.夜の底
8.星はただの点
9.他人の不幸
10.何者
11.リバイバル
12.惜別の歌
13.JET SONG
14.密猟の夜(友部正人)
15.タワーホテル
16.お嬢さん気をつけて

京都拾得50周年の記念公演に出かけて参りました。この日本最古のライブハウスの重要な節目となるイベントに参加できたことが大変誇らしく、呼んでくれてありがたい気持ちでいっぱいです。あらためて、この店を経営し続けてこられたテリーさん、ふうさん、そして後継者の大海さん、支えてきた歴代のスタッフのみなさんに心から敬意を表します。

出演者やお客さんにとって、この店が親密な場所であるように、ぼくにとっても、まだうぶ毛の残る十代後半から、人前で歌うことを本格的にスタートさせた思い出の場所であり、音楽を通してたくさんのことを学ばせてもらった特別な場所です。
このステージなくしては当時のぼくは歌う場所もなく、毎週毎月の達成感というものをほとんど得られなかったでしょうし、双葉双一という発明品を見つけられぬまま終わっていたかもしれません。ぼくは最初にステージに立ったときからすでに双葉双一だったわけではなく、自分のスタイルを確立するまで沢山の試練と経験を積む必要がありました。ひたむきに先人の技を盗んで自分のものとし、歌のレパートリーを増やし、それを覚えるよりも先にステージに立って歌い、観客を笑わせることに意識を集中させ、人生の切なさや詫びしさ、挫折の繰り返しのあとの束の間の成功の喜び、アルコールやバカ騒ぎ、詩や文学や貧苦に至るまで、青春時代の初期に経験しておくべきことをひと通り経験しなければなりませんでした。もちろん他の人たちと比べて特別違うことを経験したわけでは決してないけれど、もっとも多感な時期にその場所で当時の仲間たちといられたことは、ぼくの生涯に渡り何物にも代え難い心の財産であり続けることは間違いないでしょう。ぼくのあまり知られたくない恥ずかしい時代を知る人たちがいるのもどうやらここだけのようです。

当時はあんなに広く見えた会場だったけど、今回久しぶりにステージに立って見渡してみても、やっぱり広く感じられました。何十年経ってもなかなかこの会場を満杯にすることは出来ないものです。まだまだ修業が足りないようです。

双葉双一

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?